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今季の神奈川ダービー第1戦まで1週間を切った8月6日(日)、
新都市ホールで神奈川が誇る両雄が、ひと足早くトークで激突した。
注目のトークバトルの模様を、笑いも感動もそのままにフルバージョンで大公開!

ぴあトークバトル スポーツ快楽主義 2006 Vol.54
勝つのはどっちだ!? 川崎vs横浜

Supported by:
SUNTORY
協力:
社団法人 日本プロサッカーリーグ/新都市ホール/テレビ神奈川

横浜・新都市ホール

<ホスト>
中西哲生(スポーツジャーナリスト)
1969年、愛知県生まれ。同志社大から1992年に名古屋グランパス入り。1997年に川崎フロンターレへ移籍してからはキャプテンを務め、1999年のJ2優勝・J1昇格に貢献した。Jリーグ通算95試合7得点。現在はスポーツジャーナリストとして「ズームインSUPER」(日本テレビ系)、「GET SPORTS」(テレビ朝日系)などに出演中。

<ゲスト>
宮澤ミシェル(サッカー解説者/ツエーゲン金沢スーパーバイザー)
1963年、千葉県生まれ。1986年にフジタ工業(現湘南ベルマーレ)に入社。1992年にジェフ市原に移籍。1993年には日本国籍を取得、アジア大会日本代表候補に。1996年現役引退後は、スポーツコメンテイターとして活躍。2006年1月、石川FC「ツエーゲン金沢」のスーパーバイザーに就任、JFAへの昇格を目指す。

鄭大世(川崎フロンターレ)

1984年、愛知県生まれ。朝鮮大学校初の現役プロサッカー選手として、2006年川崎フロンターレに入団。ずば抜けた身体能力と打点の高いヘディングを持つストライカー。2006年7月19日の鹿島戦でJリーグ初ゴールを挙げた。背番号16。

吉田孝行(横浜 F・マリノス)
1977年、兵庫県生まれ。滝川ニ高在学にU-17日本代表に選出され、U-17世界選手権に出場。1995年に横浜フリューゲルスに入団。1999年、横浜フリューゲルスの吸収合併に伴い、横浜F・マリノスに移籍。 2000年、大分トリニータに完全移籍。レギュラーポジションを獲得して、チームのJ1昇格に貢献。今季、6年ぶりに古巣・横浜 F・マリノスに復帰した。背番号17.

司会:「ぴあトークバトルvol.54 勝つのはどっちだ!? 川崎vs横浜」。さぁ8月12日、いよいよ来週に迫りました真夏の神奈川ダービーを前に、今日のぴあトークバトルはこの2チームにスポットを当ててお送りしていきます。2時間たっぷりと、みなさん最後まで楽しんでください。それではさっそく、本日の出演者をご紹介していきたいと思います。みなさん大きな拍手でお迎えください。まず、ホスト役はこの方です。スポーツジャーナリストの中西哲生さんです。
会場:拍手
司会:オッ!中西さん、ご自身がデザインしたフロンターレカラーのポロシャツで登場ですね。
中西:最初に謝っておきます。この服を着て来ちゃったんで。
会場:拍手
司会:拍手もありますが、若干ブーイングも出てますね。
中西:それはわかっているので、最初に謝ります。一応、フロンターレにいたんで。
司会:そうですよね。そのために今日はこの格好をしてきたというわけですね。
中西:自分でプロデュースした服を作っているので、ちょっと着てきたんです。
司会:わかりやすい衣装での登場ということで。
中西:でも、トークバトルはマリノスさんもやらせていただいてるので、今日は楽しくできるかなと。基本的には、フロンターレがマリノスと同じ舞台で戦えるだけで僕は嬉しい。ずっとJ2にいたんで。
会場:拍手
司会:ようやくJ1に上がってきて。
中西:やっと神奈川ダービーができるところに来てすごく嬉しいですし。順位的には、フロンターレが上にいますけど(8月6日時点)、基本的にマリノスは格上のチームですからね。フロンターレは謙虚に戦って欲しいなと、いつも思っていますね。僕らはよく新子安(神奈川県)のグラウンドで練習試合して、いつも負けてたんですよ。能活(川口、ジュビロ磐田)に「弱いっすね」なんて言われて、昔。全然勝てなかったですね。
司会:まだ半分以上リーグ戦がありますからね。来週の神奈川ダービーが楽しみですが、今日は両チームの選手たちも来てますし、いろんな話を聞き出してください。
中西:はい。頑張って聞き出したいと思います。
司会:若干、川崎フロンターレ寄り?
中西:いや、僕はもう中立で。
司会:わかりました。今日はよろしくお願いします。
会場:拍手
司会:それではさっそくゲストの方々をご紹介いたします。3人いっぺんに紹介していきますので、みなさま大きな拍手でお迎え下さい。まずは川崎フロンターレ、鄭大世(チョン・テセ)選手。横浜 F・マリノス、吉田孝行選手。そして、サッカー解説でおなじみの宮澤ミシェルさん。
会場:拍手
司会:まず、鄭大世選手からちょっと一言。どうですか、トークショーとかやるんですか?
鄭:あんまり経験ないですね。
中西:完全にマイクの持ち方がカラオケになってますよ。しゃべるのは好きですか?
鄭:大好きですね。
中西:今日は楽しく過ごしてください。お願いします。そして、マリノスからは吉田孝行選手。いつ見てもいい男なんですけどね。さっき聞いたら、結婚してるんだってね。女性ファンは泣いちゃうと思うんですけどね。
宮澤:してないよな?
中西:何言ってるんですか! してますよねぇ。相変わらずイケメンで。プレイもエレガントだし。どうですかトークバトルは?
吉田:全然こういうの慣れてないんで。
中西:今日は楽しく過ごしていってください。お願いします。
吉田:よろしくお願いします。
中西:そして、宮澤ミシェルさん。
宮澤:いいよなぁ。みんなこうやって日焼けしてよ。サマになってる。
中西:僕もちょっと焼きすぎちゃって。今朝「サンデーモーニング」(TBS系)があったんですけど、司会の関口(宏)さんが事務所の社長なんで、「髪が茶色い」って怒られちゃって。サッカー選手って、髪が日焼けするじゃないですか。ですから、今日黒く染めてきました。
宮澤:それで?
中西:染めて来たんですけど。
宮澤:染められる人はいいよね。
会場:笑い
中西:何でそんなに自虐的なんですか、今日は。
宮澤:違う違う。マジで夏は紫外線に気をつけろって。「地肌が焼けるから」って。ホントに言われたんだよ。
中西:吉田さん、笑えないですよね。
吉田:笑うしかない。
宮澤:わかってるって!
中西:では、今日はこのメンバーでお送りしていきたいと思います。
司会:2時間ノンストップでお送りします。皆さん最後までお楽しみください。それでは中西さん、トークバトル恒例の11の質問から行きたいと思います。

質問吉田
Q1 チームはオフなので、今日は休みたかった。NOYES
Q2 川崎と横浜、やはり隣のチームは気になる存在だ。YES YES
Q3 今シーズン、自分のプレイに満足できる試合があった。NOYES
Q4 昨シーズンから自分が進歩した点を、ハッキリ言える。NOYES
Q5 チーム内に、ポジションを争うライバルがいる。YESYES
Q6 今シーズン、チーム内に変化がある。あった。YESNO
Q7 アウェイ遠征は好きだ。YESYES
Q8 ホーム・日産スタジアムでの試合は、「ここが良い!」と、ハッキリ言える。YESYES
Q9 選手個人として、5年後の理想像がある。YESYES
Q10 「2006ヤマザキナビスコカップ」で優勝する!YESYES
Q11 いや、その前に! 神奈川ダービーには絶対勝つ!YESYES

中西:フロンターレはいつから休みなんですか?
鄭:今日だけです。昨日も中央大学と練習試合があって。今日はオフを返上して来ました。
会場:拍手
宮澤:すごいアピールだな。
中西:それだったら、「YES 」っていうのもわかりますよ。吉田選手は違うんですよね。
吉田:僕は3連休で、今日が最終日だったので。まぁ、全然。
宮澤:1日ぐらいならいいかと。でも、最終日はキツイよな。
吉田:ちょっとだけ。
中西:何でお休みが1日しかないんですか?
鄭:それは監督(関塚隆)が決めることなんで。僕はわかんないです。
中西:マリノスは3連休ですけど、何か?
吉田:けっこうJリーグが強行日程で、そのあとすぐセルティック戦(8月3日・日産スタジアム、マリノス3-0 セルティック)が入って。
中西:あぁ、そうだったね。
宮澤:楽勝だったね、セルティック。
吉田:そうですね。出てないんですけど。
会場:笑い
宮澤:楽勝のゲームには出なくていいでしょ。
中西:確かにそうだ。でも、セルティックはメンバー落としてましたね。
吉田:かなり落としてましたね。ユースみたいな選手がいっぱいいましたから。
宮澤:さっき控室で「あんなのとやって……」って言ってただろう、お前。
中西:言ってないですよ。僕が来る前ですか?
宮澤:来る前。俺なんか朝8時から来てるからね。
会場:笑い
中西:それ「サンデーモーニング」が始まる時間じゃないですか。
宮澤:それ見てた、見てた。
鄭:俺も見てました。
中西:中村俊輔選手(セルティック)と久しぶりに戦ってどうでした? 同じチームでやったことはなかったですけど。
吉田:あんまり見せ場がなくて。まわりの選手があんまりにもレベル的に良くなかったんで、モチベーションもたぶん低かったと思うんで。すごくやっててかわいそうに見えたんですけど。テレビのニュースなんか見ると、俊輔のフリーキックやらパスが出てましたけど、あの2つだけだったから。本当にかわいそうだと思いましたね。
中西:見せ場が2つしかなくて、その2つが俊輔から出てたな、確かに。たぶん、中村選手自身も走り込んで来る選手、ボールの受け手がいないとね。
吉田:そうですね。普段やってるメンバーじゃなかったと思うんで、やりにくさがあったと思います。
中西:そういうのは絶対あったでしょうね。ミシェルさんは見てたんですか?
宮澤:う~ん、随時。もちろん見てたけど、夜スポーツニュースに出てた俊輔は、疲れてたな。あぁいうスケジュールで来るっていうのは、日本は今までそういうチームを呼んでやらせてもらう方だったけど、もうそういうレベルじゃなくなってきたよね。来た次の日すぐ試合でしょ。帰ってもすぐ試合だし。
中西:1日空きで。
宮澤:我々も時差は経験してるけど、時差の中でやるっていうのはね。たまんないでしょ。
吉田:かなり大変です。
中西:特に1日じゃキツイですよね。
宮澤:キツイよ。
吉田:帰ってまた優勝争いしているチームと試合ですから。
中西:でも、僕は中村選手と一緒にいたんで話したんですけど、セルティックとしては今年は「チャンピオンズリーグ」があって、しかもロシアのチームとやるので、そういうのをシミュレーションしたかったんですよ。
宮澤:シミュレーション?
中西:要するにリーグ戦があって、「チャンピオンズリーグ」もあるじゃないですか。そういう日程で最初の方は動いて、ある程度慣れておくっていう意識がけっこうあったりする。それでも、キツイですよね。
宮澤:キツイよ。でも、2人への質問の中に「アウェイの遠征が好きだ」ってあるけど。強引に持っていくけど、何かいいことあるの、アウェイに。
会場:笑い
吉田:ないですけど、家にいるといつも子どもが僕のところに寄ってくるので。たまには、ホテルでゆっくりしたいと。
宮澤:そうだよなぁ。家庭ってイヤだよなぁ。
会場:笑い
中西:ちょっと待ってよ。何でそうやってマイナスの方に、マイナスの方に持っていくんですか。
宮澤:だって、そう言うからさ。
中西:いつも大変だっていうことだよね? 絶対そうですよ。僕もアウェイは好きでしたよ。
吉田:夜じゃなくてですか?
会場:笑い
中西:違うんですよ。僕はホテルでご飯を食べるのが好きだったんですよ、バイキングが。
宮澤:家のご飯がよっぽどうまくないんだな。
中西:違いますよ。好きな物を食べられるじゃないですか。あと僕、新幹線に乗るのが好きだったんですよ。
鄭:タダで飛行機に乗れるのがすごい嬉しい。
会場:笑い
中西:鄭選手はプロになったばっかりだから。
鄭:学生の時は、飛行機に乗るのも必死に金数えて。「うわ、1 万5000円高いな」と思いながら乗ってたのに、今はタダで乗り放題じゃないですか。
中西:それは嬉しいよね。新幹線はグリーン車?
鄭:グリーン車です。初めて乗りました、この間。「ふかふか!」って。
会場:笑い
中西:違うんだよ。J2にいたらね、指定席じゃなくて自由席になるんだよ。
鄭:自由席? 立ちっぱなしですか?
中西:僕なんか最初は自由席だったんですよ。行きは指定席なんですけど、帰りは自由席なの。フロンターレの10年も最初の頃は大変だったんですから。いろいろ戦ってて。吉田選手もJ2やってるからわかりますよね、あの大変さが。
吉田:はい。
中西:だって大分とか今はいいですけど、昔は川で体洗ってたもんね。
吉田:いやホント。
会場:笑い
中西:ホントですよ。川で体洗ってた。
吉田:ウソじゃないです。クラブハウスもないから、練習終わったあと自分の車の陰で着替えて。
中西:だから、みんなワゴン車買って。ワゴンの後ろをあけて、そこに座ってスパイク履いたりしてから練習したんだよ。ミシェルさんはJ1にしかいなかったからわかんないと思いますけど。
宮澤:いやいや。こう見えても1回行ってるよ。俺は元ブラジル代表の選手と一緒に甲府の土のグラウンドでゲームやったからね。
中西:あっ、出た。
宮澤:あの時の甲府はロッカールームに入れないんだよ、全員は。もう暑くて。
中西:しかもシャワーが2個しかない。笑いごとじゃないですよ、水ですよ。
宮澤:家にシャワー2つあればね、これはいいけど。
中西:チームに16人いて、監督もコーチも暑いからシャワー浴びるじゃない。大変だよホント。
鄭:若い選手大変ですね。年功序列絶対発生しますね。
中西:鄭選手なんか、絶対一番最後に決まってるよ。
鄭:絶対最後です。
宮澤:そうだよなぁ。そういう時があったんだよ、みんな。
中西:鄭選手はそういうの知らないから。フロンターレなんかいきなり首位にいるんだからね。しかも、今はちゃんと練習場もあるし、クラブハウスもあるでしょ。
鄭:あります。
中西:僕たちは、あの練習場ができるまでジプシーでいろいろなところに行ってたんですよ。「今日はここで、明日はあっちで」って。一度間違えて行ったことがあって。連絡網がちゃんと回ってなくて。
宮澤:ありますよね。
中西:吉田選手とかわかるよね、そういうのね。
吉田:そうですね。プロに入った当時はフリューゲルスにいたんで、すごくよかったんですけど、一気にガーッと行きましたから。
宮澤:大分で?
吉田:はい。でも、そこで頑張ることによって大分ビッグアイができたり、クラブハウスができたり、徐々にJ1に上がって。それは楽しかったですね。
中西:そこからチームをJ1に上げて、また戻ってきたんでしょ。すごいストーリーじゃないですか。
吉田:ここにまた戻ってこられたんで、本当にマリノスの関係者には感謝してます。
宮澤:結局、実力で戻ってきたんだけどね。大活躍だったもん、大分で。
中西:FWもできるし、ボランチやってたこともあるじゃない、大分で。
宮澤:選手名鑑を見るとさ、その選手がやるポジションに赤い矢印があるんだけど、彼の場合全部のポジションに矢印がある。いろんなポジションやってきたよね。解説者泣かせよ、それ。「吉田どこに入るんだよ」って。
会場:笑い
中西:メンバー表を見て、ポジションがわからないと困るんですよ、僕らは。
宮澤:俺は鄭選手が最初に出てきてゴールしたゲーム(7月19日・カシマ、川崎フロンターレ4-2 鹿島アントラーズ)、「Jリーグタイム」で「ええっと……」ってメンバー表探して、「あっ、FWだ」って。
中西:鹿島戦ですか?
宮澤:顔見て、「やっぱりFWだ」って。
会場:笑い
吉田:顔でわかるんですか?
中西:FWの顔ですか?
宮澤:FWの顔でしょ、どう見たって。
中西:僕から見たらDFっぽいんですけど。
宮澤:日焼けのしかたとか。
中西:それは一緒ですよ。
宮澤:吉田はちょっと日焼け気にしてるような感じでさ。こっちはまだガツガツと。
鄭:まだ将来のシミの怖さを知りませんから。
宮澤:中西くんも気をつけた方がいいよ。
中西:僕はもう完璧にお肌の曲がり角、行っちゃってますから。さっき話したんですけど、僕もうすぐ37歳で、鄭選手がもうすぐ23歳なんですけど、僕がグランパスの時に鄭選手を教えてるんです。
鄭:小学生の時ですね。
中西:それを聞いてちょっと引いた。僕は27歳までグランパスにいたんですから。教えたのは僕が23、4 歳の頃です。すごいアピールしてたらしいです。
鄭:中西さんの目を見ながらドリブルしました。
中西:絶対僕のこと覚えてないでしょ。
鄭:正直覚えてないです。
会場:笑い
中西:教えてるはずなんですよ。ちょうど教えてる頃なんで。
宮澤:グリーン車乗って「ふかふか!」とか言ってるんだから。
会場:笑い
中西:それ、ちょっと違うと思いますけどね。それぐらい世代の差がね。
宮澤:いまJリーグ何試合出場? まだ10試合以内?
鄭:10試合ぐらいです。
宮澤:吉田選手は何試合? 200 いくつ?
中西:もうすぐ180 試合くらいじゃないじゃないですか?
吉田:190 いくつです。J2と合わせたら300 弱です。
宮澤:どうだ? この経験の差がダービーに現れるんだよ。
中西:でも、どっちかというと吉田選手の方が若く見えるんだよね。
会場:笑い
宮澤:そうだろ?
鄭:「顔が老けてる」ってよく言われます。
宮澤:鄭選手は年取ってもずっと変わらないタイプ。30歳過ぎてもその顔だ。
会場:笑い
宮澤:そうやって言われるんだよ。俺も老けてる、老けてるって昔言われてたの、ホントに。でも、ず~っと変わらない。ちょっと変わったところもあるけど。
会場:笑い
中西:たぶん宮澤さんは「僕、38だからさ」って言っても、あんまり2人が疑わない。
鄭:「30代前半に見える」って言いました。
中西:それはないけど。今、いくつなんですか、ミシェルさん。
宮澤:43歳よ。
中西:43歳? 見えないですね、もう。鄭選手はミシェルさんの現役時代知ってる?
鄭:知りません。
宮澤:最近スクールとかやってて、それが一番困るね。「ホントにこのおじさんが教えてくれるの?」みたいな感じで。
中西:吉田選手は知ってるでしょ。
吉田:知ってますよ。ジェフにいた時。
中西:フジタの頃は知らないでしょ。
吉田:それは知らないです。
宮澤:どこだっけな、最初に会ったの。大分の時に会ってるのかな。フリューゲルスでも会ってるな。
吉田:プーマの展示会とかで会ってます。
中西:ものすごいローカルなところで会ってますね。
宮澤:「足が速いのがいるな」と思って見てたんだ。
中西:今日ここで知ったんだけど、僕は吉田選手のJ リーグ初ゴールの試合(1995年4月29日・三ツ沢、横浜フリューゲルス4-3 名古屋グランパス)、僕も出ていたんです。
吉田:僕が1 年目の時です。
中西:グランパスは当時ベンゲル(アーセン、アーセナル監督)が来たばっかりで、もうボロボロですよ。最初の10試合で、1試合しか勝ってないです。ベンゲルが来ていきなり強くなったように思われてますけど、最初の15試合全然勝てなくて。そのとき確か4-3 だよね。
吉田:僕の記憶では4-2 なんですけど。
中西:あれ、4-2 かな? でも僕は前半で代えられたからわからない。
会場:笑い
宮澤:自分の出てない試合ってそうだよな。選手は自分が外されると関係なくなるからな。
中西:僕は右の中盤をやってて。何でかっていうと、ベンゲルは左サイドバックとかに攻撃的な選手がいると、必ず僕を右の中盤で使う。鹿島の試合とか。
宮澤:「守れ!」っていうことか。
中西:相馬選手(直樹)とかがいると必ずそうだった。そこで起点になるところを抑える。そのときは、僕の対面が三浦選手(淳宏、ヴィッセル神戸)だったんです。
宮澤:それは手強いな。
中西:チンチンにされました。それで前半でリードされたからコロッと代えられて。点取ったの前半なんですか?
吉田:前半です。
中西:スタメンですか?
吉田:スタメンです。
中西:すごい。1年目でスタメンね。滝川二高から入った年?
吉田:そうです。
中西:もう何年前?
吉田:12年かな、今、12年目だから。
宮澤:よう稼げてるなぁ。12年やればたいしたもんだぜ。
中西:そうですね。プロで12年やったらね。
鄭:長いっすね。頑張ります。
中西:でも、鄭が12年やったら34歳だよ。
鄭:キツイっすね。
会場:笑い
宮澤:5年後は? ほら。自分の中の5年後のプランは?
鄭:サッカーに限らず、何をやるにおいても目標というのは高く持ちたいじゃないですか。自分の実力を過信するとかじゃないけど、目標は掲げないとっていうのがあると思うんで。自分はやっぱりヨーロッパを目指したいです。
中西:どこ?
鄭:オランダですね。平山(相太、ヘラクレス)に負けたくないから。
会場:笑い
鄭:ただそれだけです。
中西:同い年なんですか?
鄭:いや、平山が2 歳下です。
中西:なんで平山選手のこと意識してるの?
鄭:高校選手権で見て「大した選手じゃないな」と思ったのに、オランダ行ってあれだけ活躍してるから。勝手にライバル視してます。向こうは自分の存在を全く知らない。
宮澤:それが目標だもんね。
中西:でも、そういうの大事ですよ。
宮澤:たとえ5年後は違う仕事やっててもそれが大事、今はな。
中西:何でそうやって上げて落とすんですか。
鄭:そうするとまた違う目標ができてくる。
中西:何か自分の目標とするタイプの選手はいる?
鄭:アドリアーノ(イタリア・インテル・ミラノ)です。
中西:お~っ。
宮澤:すごいなぁ。アドリアーノ。
中西:鄭選手の代理人が稲本選手(潤一、イングランド・ウエストブロムウィッチ)とか中田浩二選手(スイス・バーゼル)の代理人をしている田邊さんっていう方なんですけど。田邊さんが鄭選手を見て、「どうしても代理人になりたい」って。
宮澤:代理人の方から。
中西:最初そういう話だったんですよね。
鄭:そのとき、たまたま調子良かっただけなんですけどね。
宮澤:今シーズンの前にはずいぶん悩んだらしいな。「自分がダメなんじゃないか」って。
鄭:そうです。前半はきつかったですね。試合にもあんまり出てないし。時間稼ぎばっかりでしたから。
中西:試合に入れるだけで幸せなんだよ。吉田選手、うんうんってうなずいてるけど、1年目からスタメンじゃない。
宮澤:いやいや、その後が大変だったんだから。
中西:ベンチに座れるだけでもチャンスがあるんだから。
吉田:そうですね。アピールする場があるわけですからね。ベンチにいれば可能性は。
鄭:監督の後ろでダッシュしたりね。バリバリにやってましたから。監督が振り向いた瞬間にダッシュ。
会場:笑い
宮澤:いいね。そのぐらいだよ。
鄭:そうして最後は見てなかった。
宮澤:見てなかった?
鄭:「あ~、トレーニング終了」とか。
宮澤:あの監督も曲者だからな。
会場:笑い
中西:そんなことないですよ。
宮澤:何、怒っちゃって。いや、仲いいよ。好きだけど、時々。なっ?
中西:何ですか、その「なっ?」は。
宮澤:インタビューしても「なぁ、ミシェルわかるだろ? わかるだろ?」って。
中西:監督はどうですか?
鄭:監督は自分に接してくれる態度がすごく優しいから、僕は全然悪いイメージはないんですけど。
中西:僕は……?
鄭:何かすごく意味深な発言になっちゃったけど、すごく優しいです。
宮澤:気をつけろよ。
中西:でも、選手からも監督は慕われてるでしょ。
鄭:……うん。
会場:笑い
鄭:そうです。慕われてます。
中西:そういう微妙なのやめなさい。
鄭:慕われてます。監督が聞いてたらマズイので、一応言っておきます。(笑)
中西:あそこに隠れてるかも知れないよ。
鄭:すみません。けっこう慕われてます。
宮澤:この間何かで読んだんだけど、ある先輩の言葉の「やるだけやってみろ!」みたいな一言で開き直ったんだろ。
鄭:そうです。すごい仲が良くて。
中西:誰に言われたの?
鄭:吉原慎也さん。いつも一緒にいるんですけど。俺、そのときはだいぶ悩んでて。大卒1 年目で試合に出られなくてまずいっていうのもあるし。チームとしては、高卒と違って即戦力で取るじゃないですか。そういうなかで、1年目にあんまり試合に出られなくてすごく悩んでて。練習しててもミスったら、「自分は本当にヘタで、プロという立場で見られていいのか」という気持ちになってしまって。そんなとき、ふっと吉原さんが何気なく「新人なんだから当たって砕ければいいんだよ」って言ってくれたんです。本当に何気ない言葉なんですけど、それが自分の中ですごくズキッと来て。「あっ、そうなんだ」って、それがオフのときだったんですけど。うまく切り替えられて、休み明けからは全然プレイが変わったんです。
宮澤:いろんなことを気にしすぎてたんだな。
鄭:プレッシャーもあるし。
宮澤:守りもやらなきゃいけない、監督の相手もしなきゃいけない。
会場:笑い
中西:相手じゃないです、相手じゃ。
鄭:そうです。やっぱりアマとプロの違いというか、それに順応するためにいろいろしてきたところもあるし。そこから全然プレイの質が変わって。
宮澤:良かったよなぁ。
中西:こんな若い選手を見てどう思いますか。
吉田:いいですね。先があって。
会場:笑い
中西:悩んでいる姿を見てると、先があるというよりは一生懸命頑張って欲しいなと思いますよね。
吉田:頑張って欲しいと思うし、悩む必要ないと思います。何か励ます会みたいになってますけど。
会場:笑い
中西:吉田選手は新人の頃はどうでした?
吉田:94年の「FIFAワールドカップ」でブラジルが優勝したとき出ていたジーニョとかがチームにいたんで、緊張しましたね。
中西:「FIFAワールドカップ」で見てた人が隣りにいるっていうのはね。
吉田:とにかくもう、試合中怒ってるんですよ。「俺に出せ、俺に出せ」みたいな感じで。2、3人いても俺に出せって言うから、仕方ないから出したんですよ。そしたら2、3人チョンチョンと抜いて行ってましたね。
中西:エバイール、ジーニョ、サンパイオだもんね。それに前園(真聖)選手がいて。
吉田:キレキレだったですよ、あのときは。
中西:強かった。首位走ってましたもんね。ずーっと首位を走ってて。で、グランパスが逆転したんですよ(1995年9月2日・長良川競技場、名古屋グランパス2-1 横浜フリューゲルス)。ロスタイムか何かに、グランパスのデュリックスのシュートがバーに当たって真下に落ちて2-1 で勝った。僕は守備固めで入ったら点取られて追いつかれて、やばいなと思ったらまた入ったから良かったんですけど。本当に強かったですよね。
吉田:強かったですね。
宮澤:楽しいでしょ、ああいうときって。
吉田:僕は1年目だったんでガチガチでした。
宮澤:あぁ、そうか。それからずっと歩んできて。マリノス行って、大分行ってまた戻ってきて。さぁ、5年後だ。
中西:5年後は全然イメージ湧かないですか?
吉田:恐らくもうサッカーはやっていないと思いますね。
宮澤:そう?
吉田:いや~、34、5 歳くらいですよ。そこまでやっていれば、もう選手としては最高だとは思いますけど。
宮澤:「毎年1年1年」ってよく言うけど、「まだ大丈夫だな」って思っているじゃない。でも、もう29歳くらいになるとその日暮らしじゃないけど、その年暮らしじゃない。
会場:笑い
宮澤:いや、ホントそうじゃない。
中西:いや、体がね。体どうですか?
吉田:いやもう全然違いますね、やっぱり。2、3年前くらいから落ちてきましたね。
中西:どういう風に落ちてきたの? 疲れが抜けづらいとか?
吉田:昔は持久走も速かったんですけど、今は全然走れないし。
宮澤:あれだけ元気に走ってるのに?
吉田:いや、けっこうごまかしごまかしです。やっぱり要領がついたんでしょうね。
中西:昔とか、無茶苦茶走ってましたよね。
宮澤:まだ走ってるよ。
中西:でも、落ちてる感じがする?
吉田:しますね。
中西:一発勝負のゲームの中で感じる? それとも回復力が落ちる?
吉田:回復力も落ちるし。試合が詰まっているときはわりとこうキツイくても90分持っていけるんですけど、試合があきすぎると一発目の試合は90分持たないです。
宮澤:なるほどね。
中西:2日後に筋肉痛が来たり?
吉田:それはまだない。
宮澤:それは俺らだろうが。
会場:笑い
宮澤:中西くんはまだ90分走れるらしいよ。
中西:走れますよ。ミシェルさんだっていい左を持ってるじゃないですか。珍しいんだよ、左利きのミドル。
宮澤:フリーキック蹴らせたらバリバリだったのに。でも行くところ行くところ、みんな
外国人に素晴らしいキッカーがいる。蹴らしてもらえない。
中西:ホントだよ。ミシェルさん、フリーキックすごかったんだよ。
宮澤:僕は大好きだった。
中西:よくあの頃はフリーキック蹴って入れてましたよね。柱さん(柱谷哲二、浦和レッズコーチ)とかと一緒にやってる頃。フリーキックすごいですよ、ホント。
宮澤:哲ちゃんに初めてほめてもらったよ。でも、マスロバル、リティ(以上ジェフ市原)、ピッタ(名古屋グランパス)、行くところ行くところに全部外国人がいた。
中西:ピッタか、懐かしい。
宮澤:全部入っちゃうんだ、あの人たちが蹴るとな。
中西:だから、蹴らせてもらえないんですよね。
宮澤:フリーキックも何かと得意だよ、実は。
中西:吉田選手も蹴ってましたよね、大分時代。
吉田:僕は全然蹴ったことなくて。でも、大分時代にたまたま「蹴れ」って言われたのが、ちょうどマリノス戦だったんですけど。初めて蹴ったのが入った。それで「吉田はフリーキック蹴れるんじゃないか」って、みんな思ってるみたいなんですけど、蹴る気もないし。
中西:蹴る気もないの?
吉田:チームでも最初は蹴ってたんですけど、いつの間にかはずされてました。
宮澤:29歳くらいになったら、何でもイエスが大事よ。これから渡り歩くのは難しいから。フリーキックでも何でも試しちゃう。
中西:できるかもしれないですよね。
宮澤:ポジションだってもう、どこでもいいのよ。キーパーは大変だけどな。
中西:当たり前じゃないですか。
宮澤:いろんなポジションやってきてるから。
中西:ホント、DFとかもやってるよね。
吉田:そうですね。ひどいときはサイドバックもやりましたから。
宮澤:いい経験になったでしょ。大分の右サイドバック。
吉田:勉強だと思ってやれば楽しいです。
中西:いろんなポジションやって、コーナーキックも蹴ったじゃないですか。
吉田:あぁ、蹴ってました。
中西:コーナーキックはどうですか。
吉田:あんまり好きじゃないですね。フリーキックの方がまだいいです。コーナーは足場が悪くて滑るんですよ。
中西:助走が短くなるし、しかもタータンだし。
吉田:そう、タータンで。
宮澤:それは大分?
吉田:いや、全部のスタジアムで。
中西:だいたいそうですよ。鄭選手はフリーキック蹴らないの?
鄭:全く蹴らないです。蹴るとしたら強襲。
中西:弾丸かぁ。だから、入らないんだね。
鄭:そうです。
会場:笑い
宮澤:この間の初ゴールは鹿島戦だっけ?
中西:あれはすごくいいゴールだった。
宮澤:あれ無意識だったの?
鄭:無意識ですね。
宮澤:あれは見ていてわかった。「これは意識してないな」って。体がそのまま動いてた。
中西:それでなきゃ、ああいう打ち方にならないですよ。
宮澤:ああいうの見ていてわかるんですよ。もう一瞬何かひらめいてそのまま勝手に体が動いたって。
中西:記念すべき初ゴールの試合ですよね。4-2 で。左サイドからボールが来て。
鄭:中央でもらって岩政(大樹、鹿島アントラーズ)さんと競り合いながらそれをトラップして、ターンして打ったら入っちゃった。
宮澤:あの振り向きが速かった。
中西:ホントに、ストライカーっぽいじゃない、ストライカーらしい得点だった。
鄭:ゴールに入ったときは「あっ、やった!」って感じで。喜びすぎだろってくらい喜んでましたね。あの後、ミーティングで自分の得点シーン見て恥ずかしかったですね。20秒間くらいずっとガッツポーズして。爆笑しました。
中西:嬉しいよね、初ゴールは。
鄭:嬉しい、ホントに。しかも、前期はひどかったですから、本当にやっと入れた1点。あの1点っていうのが、やっとプロとしての一歩を踏み出したみたいな感じでした。
宮澤:野球選手でホームラン1本だけの人ってけっこういるんだよな。
会場:笑い
中西:この間だってチャンスあったじゃないですか。
鄭:あっ、左足ですか? 左足はものすごくおもちゃです。それなりにできますけど。でも強襲しかないです。だから、アドリアーノです。
中西:アドリアーノだって、ああいうの入れたりしてるよ。吉田選手に、ちゃんとそういう巻いて入るシュートとか教わった方がいいよ。うまいから。
鄭:じゃあ、明日グラウンド行きます。
宮澤:ダービーの試合中に習えよ。はずしたら「あ~、そうやって蹴るんだ!」って。
中西:皮肉っぽくね。シュートも、自分がストライカーやってた頃と変わりませんか?
吉田:感覚がすごくなくなりますね、中盤とかやってると。で、たまにFWやらせてもらってるんですけど、やっと最近ちょっとずつ戻ってきたかなっていう感じです。何かこう、FWの感覚って難しいですね。
宮澤:サイドやったりした後で、意外とトップで張ったりするとね。相手を背にしたりしてね。
吉田:間合いとか全然違うんで。
中西:昔は当たり前だったんだけど、サイドやって楽になって戻ってきたら厳しい。
宮澤:今はどこのポジションをやりたいの?
吉田:1.5 列目、2列目ぐらいの真ん中をやりたいですね。
宮澤:サイドじゃなくて。
中西:大分の時はそこが多かったじゃない。あと台形の外側とか。
吉田:ラインは好きじゃないです。
宮澤:速いからラインがいいかなと思うんだけど、違うんだね。速い人は外からバーッと行ってアシストっていう、チャンスメーカー的な役割になるんだけど。
吉田:僕はラインで縦に行って、スピードで勝負するっていうのはないんです。ちょこちょこして裏に走ったりとか、そういう感じなんで。
中西:僕のイメージは、完全に横浜フリューゲルスのときのイメージなんで。天皇杯決勝のエスパルス戦の時(1998年1月1日・国立競技場、横浜フリューゲルス2-1 清水エスパルス)、延長戦でゴール決めたじゃないですか。あのイメージがすごく強いんですよ。「うまいなぁ」って。しかもサイドに寄っていって、最後は狙い澄まして右方向に動くっていう。あれはやっぱりそう?
吉田:シュート的にはああいうシュートが多いですね。コントロールしたシュート。
宮澤:あのとき、いくつ?
中西:25歳くらいじゃないですか。
吉田:いやいや、21、2 歳です。
中西:3年目だもんね。
吉田:4年目です。
宮澤:意外に年取ってるんだな。すごいな。もうポケット、お金でいっぱいだろ?
中西:鄭選手は本当に、吉田選手のシュート見てイメージしてやった方がいいと思うよ。右のインフロントで、この間の「FIFAワールドカップ」(6 月22日・ドルトムント、日本1-4 ブラジル)で日本が決められたロナウドみたいなシュート。うまいのよ。ちゃんとキーパーの手の届かない外側を巻いていく。
宮澤:ロナウドもアドリアーノも……
中西:そういうシュートあるじゃない。
宮澤:アドリアーノは相手の股の下を打ってるよ。
中西:股の下を狙って蹴ってるんだよ。
鄭:マジですか?
中西:マジだよ。当たり前だよ。
宮澤:ヘディングは?
鄭:ヘディングは普通です。特別うまくはないですね。
宮澤:売りは何だ、売りは?
鄭:強襲ですね。
宮澤:ポジションはFW。
中西:売りは違いますよ。パフォーマーです。
鄭:そうですね、はい。
中西:この間一緒にフロンターレのファン感謝デーやったんですけど。レイザーラモンHGのまねして、YMCAやって。いろいろやるんですよ。
宮澤:どっちが本業なんだお前。早くこっちの世界に来いよ。
会場:笑い
中西:ホント、チームのいいムードメーカーで。
宮澤:「いいムードメーカー」って言われて嬉しいか?
鄭:嬉しいです。
会場:笑い
宮澤:嬉しいか。よしよし。
中西:本当にみんなにけっこうかわいがられてる。
宮澤:俺、今度解説で言う。「いや~、いいムードメーカーですよ」って。
会場:笑い
鄭:「グラウンドの上で」をちゃんとつけてください。
中西:鄭選手がゴール決めたときには、宮澤さんがJ リーグタイム(NHK 衛星第一)で何言うかちゃんと見ておかないと。
宮澤:でも、こないだはほめたんだよ、ちゃんと。「新しいストライカーが出てきた。力強い」って。
中西:いやいや、体が強いんですよ。
宮澤:強いな。いいもの持ってるな。
中西:体幹が強いから。
鄭:体だけですよ。
宮澤:それを利用しながら。やっぱりDFは嫌だと思うよ。
中西:この間のゴールも、岩政選手と競ってて、ああいうプレイができるのは僕はすごいと思いますよ。岩政選手は相当強いからね。
鄭:体だけです。
宮澤:いいじゃない。
中西:強いの大事じゃないですか、やっぱり。前で受けなきゃいけない選手は体が強いにこしたことないでしょう。
吉田:うらやましいですね。
中西:この2人の2トップいいじゃないですか。かなりバランス的には。
宮澤:お互いが一切見つめ合わないってのがいいよな。
中西:キャラは全然かぶってない。いいじゃないですか。
宮澤:最近、納得したプレイがあるかどうかっていう質問があったな。自分が進歩した点か。吉田選手はNO、鄭選手はYES 。
中西:横浜に帰ってきてから進歩してないんですか?
吉田:何か自分のイメージしているように体が動かない。何となくはやってるんですけど、「今日は完璧に良かった」っていう試合はないです。
宮澤:それは体が動かないっていう意味じゃなくて、プレイに納得ができない?
吉田:プレイも体もそうですね。
宮澤:じゃ今、辛抱のしどころだ。29歳で変わるときだ。俺もそういう経験したけど、30歳になると選手って自分でわかるね。いくらやっても大丈夫なときと、すぐに疲労感が来ちゃうときと。体を使い切ってきてるから。
中西:出場し続けて300 試合もやってれば、さすがに体がね。僕はベンチにいたから、あんまり体がボロボロにならなかった。
会場:笑い
宮澤:何かあるんだよな。野球選手も、小さい頃にあんまり投げ込んでないといいとか。
中西:僕は「ここからだな」と思ったら終わっちゃった、31歳で。
宮澤:あなたは自分で選んだんでしょ。
中西:僕は思うんですけど、吉田選手はたぶん去年までフル回転で試合に出てたんです。ポジションはいろいろありましたけど。毎試合、出るっていうことは決まってたでしょ。それがマリノスに来て、当然レギュラー争いをもう一回やらなければならなくなって。しかも、大分では完全に主力でやってたけど、チームの1ピースとして動くじゃないですか。今はその違い、ギャップを埋めるのに時間がかかってるだけで、慣れてくればまた元に戻ると思いますよ。
宮澤:大分で体を使い切った感があるな。
会場:笑い
中西:もう終わって、今は余力だけでやってるみたいじゃないですか。
宮澤:でも、完璧に走り切ってた。
中西:いつもストッキング下まで下がってたもんね。もうふくらはぎに負担はかけられないって。
宮澤:そしてマリノスに来て、プロフェッショナルの中でもプロフェッショナルな扱いを受けて。それでポイント、ポイントで働くっていう難しさを体験しているわけだ。
吉田:そうですね。毎回試合に出る時間帯とかも違ったりするじゃないですか。そういういろんなこと考えて、それで悩んでいる感じです。
中西:大変だよね。でも、何かひとつきっかけがあればマリノスは動き出しそうな感じだけど。この間の新潟戦の勝利(7 月30日・日産スタジアム、横浜F ・マリノス2-0 アルビレックス新潟)はいいきっかけだったんじゃない?
吉田:そうですね。けが人が戻ってきて、代表にも、昨日選手が呼ばれてましたから。そういう意味ではすごくチームが活性化されて、僕たちベテランの人間も負けていられないし。そういう気持ちでいけばもっと良くなると思います。
中西:だって、内容的には完全に勝ってるのになんで負けるの?と。終了間際に入れられちゃったりして。
宮澤:ついてないゲームがあった。
中西:ついてないゲームけっこうあるじゃないですか。それが少しずつ「あれっ? おかしいな」って、だんだん自信なくなって来たり。
吉田:そうなんです。
宮澤:だって久保(竜彦、横浜F ・マリノス)がクロスバーに当てて、次ポストに当ててな。「どうなっちゃってんだ?」ってな。
中西:けっこう、ロスタイムにやられたのもありましたよね。当然、力もあるわけだから、ついてないっていうのもあるじゃないですか。それが重なっていくとね。
宮澤:それを新潟戦で断ち切って。
中西:たぶん、ひとついい勝ち方すれば、また元に戻ると思いますよ。
宮澤:力はチームで持ってるんだから。
中西:だって、2チーム作れるくらい選手がいるわけじゃないですか、ハッキリ言って。あと、どうですか、昨日いきなり代表に選ばれた3人は。昨晩は「サンデーモーニングあるからもう寝ようかな」と思ってネット見てたら、代表選手が発表になってて。そこから「どうしようかな」と思いながら、資料集めて平均年齢割り出して。24.88 歳です。ドイツ大会・日本代表の最年少だった駒野選手(友一、サンフレッチェ広島)の25歳よりも下になったわけだから、相当変わったと思うんですけど。さっきちょっと話したんだけど、栗原選手(勇蔵、横浜F ・マリノス)いいよね。
吉田:僕は絶対に選ばれると思ってました。
宮澤:でもさ、今回の代表に選ばれた選手って、けっこうシビアに選んでるよな。オシム監督ってうちの近所に住んでるんだよ。
会場:笑い
宮澤:マンション出ていくことになっちゃってさ。俺、今新浦安なんだけど。舞浜で家探してたら、ホントに「イビチャ・オシム」って。全然知らなかったよ。ホントにいるんだと思った。それだけの話。
会場:笑い

後編へつづく

取材・構成:CREW
撮影:新関雅士