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ぴあトークバトル スポーツ快楽主義2007 Vol.56
「どうなる!? トップリーグプレーオフ マイクロソフトカップ」
【 開催日/会場 】 1月16日(火) 青山ベルコモンズ9F クレイドルホール
国内最高峰のリーグ「トップリーグ」を勝ち抜いた4人の闘将が、青山に集結!
ラグビーファンの熱い視線が注がれる中、トークもヒートアップ。
新生「マイクロソフトカップ」の行方を占うトークバトルの模様をフルバージョンでどうぞ!

<ホスト>
青島健太(スポーツライター/キャスター)
'58年、新潟県生まれ。春日部高~慶応大~東芝と進み、'85年にヤクルト・スワローズに入団。同年5月の公式戦初打席でホームランを放つ。5年間のプロ生活を経て、現在はスポーツライター、キャスターとして様々なメディアを通じてスポーツの醍醐味を伝えている他、'06年からの活動開始を目指し創設した社会人野球チーム「セガサミー」の監督も務めている。

<ゲスト>

薫田真広監督(東芝ブレイブルーパス)
1966年9月29日生まれ。
岐阜工業高校/筑波大学
日本代表(Cap44)

朽木英次監督(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)
1962年12月25日生まれ。
若狭農林高校(現:若狭東)/日本体育大学
日本代表(Cap30)

堀川隆延監督(ヤマハ発動機ジュビロ)
1973年7月22日生まれ。
延岡東高校/早稲田大学

清宮克幸監督(サントリーサンゴリアス)
1967年7月25日生まれ。
茨田高等学校/早稲田大学


前編
司会:皆さん、こんにちは。ぴあトークバトル VOL.56 ~どうなる!?トップリーグプレーオフ マイクロソフトカップ~ へご来場いただきありがとうございます。本日、イベントナビゲーターを務めます、パトリック・ユウです。どうぞよろしくお願いします。2007年を迎えて、本年もよろしくお願いします。2000年にスタートしたこのイベントもいよいよ8年目に突入しました。迎えて56回目の開催になりました。今年度最初の“ぴあトークバトル”は、ラグビーでスタートします!
2007年はラグビーイヤー。なんといっても、ワールドカップ・フランス大会に世界のラグビーファンが注目しています。ワールドカップを前に、日本国内ではラグビーシーズンもいよいよ佳境に入りました。
全国大学選手権は関東学院大学の優勝で終わり、日本選手権を迎えますが、その前に!!!!ジャパンラグビートップリーグ・プレーオフトーナメント「マイクロソフトカップ」があります。
1月28日にセミファイナル2試合。2月4日にファイナルが行われる、トップリーグ各13試合を終えた上位4チームによる優勝決定トーナメント。これが「マイクロソフトカップ」です。

本日はその4チームの監督をお迎えしての、文字通り熱い前哨戦。熱いトークバトルを繰り広げていただきます。どうぞ!ご期待下さい!
ぴあトークバトル VOL.56 ~どうなる!?トップリーグプレーオフ マイクロソフトカップ~ それではお待たせ致しました。いよいよトークバトルをスタートさせていきたいと思います。上位4チーム、真のチャンピオンを争って戦うシーズンチャンピオン決定トーナメント出場4チームの監督をお招きして、これからトークバトルを進めて参りたいと思います。今日はどんな話が聞けるのか本当に楽しみですが、ふだんでは聞けない話も、きっとみなさん楽しみにされていると思いますので、2時間たっぷりと楽しんでください。
本日の進行役、ホストを務めますこの方からご紹介させていただきたいと思います。みなさん大きな拍手でお迎え下さい。スポーツライター、キャスターとしてご活躍されております青島健太さんです。
会場:拍手
司会:青島さんどうも。
青島:お久しぶりです。
司会:どうしたんですか、今日はなんかたくさん資料を持っていらっしゃいますけど。
青島:今日はやる気まんまんですよ。実はこのトークバトル、自慢するわけじゃないんですけど、第1回目私がやらせていただきまして、その後も何回かやらせていただいたんですが、最近はちょっと社会人野球の方も熱を入れて動いているんで、1年半ぶりくらいに戻ってきましたけども。そのカムバックがラグビーだというのが本当に嬉しいですね。
司会:青島さんも監督という立場でいろいろと興味があるんじゃないですか、今日のお話は。
青島:それを楽しみにしてきました。先ほど午後5時からプレスの記者会見というのもあったんですけど、もう火花バチバチですね。清宮監督なんか、堀川監督をチクチクチクチクやってましたからね。
司会:ぜひこのステージ上でもチクチクしていただきたいと思いますけど。
青島:マイクロソフトカップいよいよですけど、トップリーグは最後まですごかったですね。1位、2位の東芝もサントリーも大変だったし。3位、4位もどうなるのかって。三洋電機、ヤマハ発動機、トヨタ自動車が勝ち点43で並んで、それこそガチンコでしたからね。あの戦いはかなりダメージとして残っているんじゃないかと思いますけどね。
司会:そのあたりのチームの様子もききたいですしね。
青島:そうですね、楽しみですね。
司会:青島さん、いろいろと興味深い話、そしてふだんでは聞けない話を聞き出してくださいよ。
青島:新聞なんか抱えて会社帰りのおじさんみたいになってますけどね。
司会:青島さん、今日はよろしくお願いします。
青島:よろしくお願いします。
司会:それではここで、4監督をステージに迎え入れたいと思います。みなさん大きな拍手でお迎え下さい。まずは1月28日、秩父宮ラグビー場で対戦する、東芝ブレイブルーパス薫田真広監督、そしてトヨタ自動車ヴェルブリッツ朽木英次監督です。
会場:拍手
司会:続きまして、大阪近鉄花園ラグビー場で対戦しますヤマハ発動機ジュビロ堀川隆延監督、サントリーサンゴリアス清宮克幸監督です。
会場:拍手
司会:青島さん、一堂にお集まりいただきました。
青島:一言ずつお話をうかがいましょう。まずは東芝の薫田監督ですけれども。あらかじめみなさんに申し上げておきますが、私も東芝出身ですので、今日は全面的に東芝をサポートする体制で。
薫田:いや、勘弁してください。
会場:笑い
青島:なんで勘弁してくださいなんですか。東芝を応援しないわけにはいかないですよ、私。でもまぁ、とりあえず3連覇という言い方はできないですけど、1位で。
薫田:そうですね。
青島:どうですか、いい感じですか?
薫田:まぁチームとしては、若干今けが人が出てるんですけどね。後半はほぼベストメンバーで戦えましたので、トヨタと熱い戦いをしたいと思います。
青島:わかりました。言っちゃいけないことを聞かないようにしますので。今日はよろしくお願いします。
薫田:よろしくお願いします。
青島:さぁ、続いては朽木さんです。何て言うかな、私的には懐かしいんですよね。同世代のスタープレーヤーですよ。同世代って言ったら怒ります? 見てましたよ。
朽木:お幾つですか?
青島:48歳です。
朽木:43歳です。
青島:でしょ? 僕ら唯一40代ですよ。
朽木:言わない方がよかった?
青島:すみません。怒ってるよね、顔が。ちょっと私の話で申し訳ないんですけど、社会人野球なんかやってますと、トヨタは社会人野球も強いですよね。ラグビーもけっこうプレッシャーあったりするんじゃないですか。どうなんですかそのへんは。
朽木:野球部もトヨタの中では「重点強化部」ということになっていまして。野球部の監督と隣り合わせの席で。
青島:会社側もわざとそうしてるんじゃないですか。
朽木:日本一を目指せと。
青島:そうですか。厳しい戦いを勝ち抜きましたね。
朽木:ギリギリ滑り込み4位ということで。隣の薫田さんに感謝しています。
青島:今日は何かプレゼント持ってきたんですか?
朽木:いやいやいや。お礼だけ。
青島:けっこうクールなコメントでしたね。さぁ、ヤマハ堀川監督ですけど、隣りに大先輩。今日は厳しいですよ、なかなか。
堀川:ちょっと恐いですね。
青島:記者会見もけっこうチクチクしてたよね。
堀川:そうですね。
青島:「俺は本音を言ってるけど、お前も言えよ」みたいな感じだけど、本音を言ってなかったような気もするんですけど、どうですか。
堀川:それは感じてます。
青島:堀川監督、清宮監督はともに早稲田大学の先輩後輩ですけど。今日は早稲田の方はかなり応援団もいらっしゃってましたね。さっきゼッターランドヨーコさんもいらしてましたね。そういう意味では早稲田側のサポートは充分にあるようですけど。基本的に私は堀川さんを応援してますので。
堀川:よろしくお願いします。
会場:笑い
青島:さぁ、ご存じ清宮さんですが。社会人はどうですか。
清宮:今日は「トップリーグの方がいい」とか言うと、会場に来てる学生から「何言ってるんだ」っていうことになっちゃうんで。
会場:笑い
青島:今日の新聞でやばいのは、スクラムハーフの矢富(勇毅、早稲田大学)がヤマハに行くらしいですよね、教え子が。これは相当嫌がられてるのかなって、普通そう思いますが。
清宮:彼は僕の元でやりたいって言ったんですけど、どうもヤマハくんが。何を使ったのか。
会場:笑い
青島:なるほどね。
清宮:家にバイクが届いたのかな。
青島:怪しいですね。
清宮:青島さん、こういうトークバトルをするといつも半数くらいが私の応援団なんですけど、ちょっと確認してもらっていいですか?
会場:笑い
青島:キミ、どういう性格してるの? まだ始まったばっかりですよ。それでもう全部持ってく?
清宮:いやいや、聞いてみてくださいよ。
青島:じゃ、私が聞きましょうか? わかりました。手を挙げてもらった方がいいですか? 拍手の方がいいですよね。挙手だと隣の方と微妙な関係ができるかもわかりませんので。他のみなさんには不本意な流れですけど、うるさいんですよ彼は。とりあえずやっときましょうか。じゃ、清宮サントリー、支持しているという方、ムリしてたたかなくていいですよ。気持ち素直にお願いします。拍手をお願いします。
会場:拍手
青島:動員をかけたのは前列あたりですか? 
清宮:はい。
青島:ご覧のような性格でございますので。大変ですね選手も。
司会:それでは豪華メンバーでお送りしていきます。ぴあトークバトル、みなさん最後までお楽しみください。さっそく、恒例10の質問から行きたいと思います。

質問薫田朽木堀川清宮
Q1トップリーグがスタートしたことにより日本のレベルは確実にあがったYESYESYESYES
Q2ここまでシーズン前に思い描いていたような戦いができているYESNOYESYES
Q3トップリーグでは自分たちのチームが一番おもしろいラグビーをしているYES/NOYESYESYES
Q4うちがトップ4に残るのは当然だYESYESYESYES
Q5期待以上に働いてくれている選手がいるYESYESYESYES
Q6予想以上に強かったチームがあるYESYESYESYES
Q7リーグ戦よりトーナメントの方が戦いやすいNOYESNOYES
Q8マイクロソフトカップに向けて、秘密兵器、奇策を用意しているYESYESYESYES
Q9マイクロソフトカップを制するのはうちだYESYESYESYES
Q10(今年はW杯イヤーですが)将来はジャパンの監督をやってみたいノーコメントNONOYES

青島:さぁ、それではたった今終わりましたけど10の質問、型どおり行くのも面白くありません。脱線するのもありですし、人の意見、聞きたくない意見、かぶせていただいてもかまいませんし。これは清宮さんに言っておいた方がいいですかね。あんまり暴れないように。いや暴れてください。ということで行きたいと思います。本題に入っていく前に、一応バトルの相関関係を私が思うなりにご説明します。プロレスじゃないんですが、意外とわかりやすい関係があるものですから。ラグビーを本当にお好きな方が大多数だと思いますが、もしかしたらそんなにおなじみじゃない方もいらっしゃるかも知れませんので、とりあえずわかりやすいところを申し上げておきますと、堀川さんと清宮さんはたぶんダメですよね。早稲田の先輩後輩ですから、関係的に。
清宮:ダメっていうのは? 僕が勝ってしまうっていうことですか?
青島:そうは言ってないですよ。堀川さんがちょっとむずかしいと。しかも負けてるじゃないですか(9月9日西京極陸上競技場・ヤマハ発動機ジュビロ22-21サントリーサンゴリアス)。
清宮:そうなんですよ。2回も負けてるんですよ、実は。春(5月21日静岡ラグビーフェスティバル草薙ラグビー場・ヤマハ発動機ジュビロ31-19サントリーサンゴリアス)も負けて。
青島:ですよね。でも、たいだい清宮氏を中心になってるんですよね。あそこと薫田さんもダメですよね。
清宮:いや、仲いいですよ。
青島:ムリヤリそんなふうにしなくていいですよ。大丈夫ですか?
清宮:大丈夫ですよ。電話して折り返しないと「なんで折り返しないんだ」って。
薫田:あいつ全然返さないんですよ。
青島:そうなんですか? そんないきなりプライベートトークにいかなくてもいいですよ。電話して来ないんですか? 
薫田:全然来ないですね。ミーティングばっかりしてる。
青島:そうなんですか。
清宮:全然逆で、僕が電話しても折り返しかかってこないんですよ。ミーティングせずに飲みに行ってばっかり。
青島:なるほどね。その辺はつかんでるんだ。朽木さんのところと東芝は親密な関係と。
朽木:親密ですね。
青島:この間もお世話になったということで。朽木さんが先輩ですもんね。ジャパンでもともに戦いましたし。
薫田:でも、何考えてるかわかんないですけどね。
青島:スペース使うタイプですからね。本当にそうなんですか、朽木さん?
朽木:いや、そんなことないです。
青島:そんなことないですか。いつもそういう感じで。そんな感じで、わかったようでわからなかったですね。狙ったとおりにことが進まないのはままあることですので。
清宮:あと、ちょっといいですか、突っ込んで。
青島:どうぞ。
清宮:サンケイスポーツに、サントリーとトヨタが試合した前日か翌日に、朽木さんのコメントが1面にあったじゃないですか、特集が。
朽木:読みました?
清宮:読みましたよ、もちろん。
朽木:あれはサンケイスポーツの記者で田中さんっていって、僕らが日本代表の時ですから、1980年代からサンケイスポーツのラグビーの担当記者だったんですね。ずっと日本代表とかにつかれてて。敗者に光を当てるっていう企画をやってて、「日本選手権で早稲田に負けたトヨタを第1回で話を聞かせてください」って。でまぁ早稲田に負けて悔しかったんですけど、学生に負けたわけですから。トップリーグの上位チームとして監督の責任が問われるということで、いろいろと会社と話をしながら…なんていう話をずっと田中さんとしていたんですけど。
青島:なるほど。それ忘れてましたよ、昨シーズンね。
清宮:そういう意味では、非常に僕は深い関係にあるんです。
青島:恨み骨髄ですよ。しかも今日の会見の時にも清宮さんは「ヤマハさんをやっつけて、当然相手は東芝さんでしょうか」みたいなことを言ってましたからね。朽木さんを飛び越えてね。あれもけっこう気にさわる発言ですよね、思いっきりね。
朽木:でも一応、終わったあと僕に一言ありましたので。
青島:全くもう東芝! っていう感じでしたからね。意図的にですか?
清宮:リップサービスで。
青島:リップサービスですか。それではさっそくこんな感じでいかせていただきますが、みなさん大丈夫ですか? ぐったりきてないですか? これからですよ、本番は。まずは「トップリーグがスタートしたことにより日本のレベルは確実にあがった」という質問がありましたが、これについてはみなさんYESという答えになりました。マイクロソフトカップをどう戦うかというお話もこの後うかがいますが、いきなりそこから入るのもちょっと生々しくなるかなということで少し間口を広げて、みなさんの取り組み、そしてトップリーグがどういう現状か、日本はどういう感じなのか、というところを少しもみながらマイクロソフトカップの戦い方に行こうという意図だと思います、この質問はね。日本のラグビーのレベルは、トップリーグがスタートしたことによって、上がったということでね、清宮さん。
清宮:まず社会人には十分すぎるほどの時間と、そこにかけるお金、トップリーグのできる前と後とでは相当の違いがあると思います。もちろんよくなってる。時間とお金をかければレベルが上がって当然なので、もう考えることはなぐらいの感じですか。これはサントリーもそうですし、薫田さんのところもリーグが始まったら仕事しませんよね。
会場:笑い
薫田:いや、ノーコメントです。
青島:してないの?
薫田:うちは一応35人、社員としてやってますけど、練習時間を確保するのが大変。
青島:いきなり動揺を誘うようなコメントできてますね。気をつけなきゃいけないですよ、彼はね。薫田さんどうですか。日本のラグビー、トップリーグが始まって4シーズン目。今が一番佳境というところですけど。
薫田:そうですね。どこのチームも、たぶん給料も含めてですけど海外のトップクラブチームぐらいの活動費、そして立派な施設でやらせていただいていると思いますね。そういった意味でもレベルが上がってきているし、当然外国人への依存度っていうのも非常に高いですから。チームへの影響もそうですけど、プレーでの影響ですね。個人がどんどんレベルアップしていってるのは確かですね。これは試合だけでなく、ふだんの練習も含めて、うちの場合マクラウド(スコット)ですとか、彼らが与える影響というのは非常に大きいですし、これは姿勢だけでなくなくスキル、それも非常に大きいですね。
青島:バツベイ(ルアタンギ・侍)とか、やばいでしょ。
薫田:彼は日本人ですから(2006年帰化)。
青島:そういうレベルの高いプレーヤーたちが日々試合をする中で、当然レベルは上がってくる。
薫田:そうですね。やはりそのプレーヤーたちと体を当てることによって、体の使い方も変わってきますし、レベルアップっていうのは非常に顕著に現れていると思いますね。
青島:朽木さんいかがですか。
朽木:会社から期待される分だけお金もかかっていますし、成績が出せなかったら株主からも厳しい声が出ますので、それなりに成果を出さないといけない。やはりチャンピオンチーム、今なら東芝に対して我々は勝つためにチャレンジしていきますし。我々が現役の頃だったら神戸製鋼とか、新日鐵釜石を倒すためにっていうことで切磋琢磨しましたので。先ほど薫田さんが言われたようなことも含めて、相当力が入って強化してますんで、今が一番日本のラグビーはレベルが高いと思いますね。
青島:堀川さん、実はこの間Jスポーツのちょっと違う番組ですけど、ヤマハ発動機ジュビロの地元での取り組みをご紹介させてもらう番組でたまたま私が行ったんですけど、選手を応援する環境というのもずいぶん地元ではあるようですし、選手たちもそれに応えてていろんなところに出ていってるようですけど。そういうのも含めて、日本のラグビーのレベルというのはどのように感じますか。
堀川:まず環境の面でいうと大きく変わったと思います。特にジュビロは、今までサッカーのジュビロ磐田しか使えなかったヤマハスタジアムをラグビーも使えるようになったこととか、地域との密着とか、そういった面でもしっかり力を入れて、大きく環境も変わってきたと思います。
青島:どうなんでしょうか、たとえば大学ラグビーの早慶戦ですとか早明戦ですとか、他のカードも含めてたくさんお客さんを集める。それに比べて社会人に対しては、昔で言うと「大学の方が人気あるじゃないか」みたいなところで、またちょっと見方が違ったところもあったかも知れないけど。これはぜひ清宮 さんに聞きたいんだけど、最近の大学生にとっての社会人、トップリーグというステージは、大学の延長線上で行きたい、あそこでやりたいっていうようなものに順調に育ってきていると感じますか。どうですかそのあたり。
清宮:より高いレベルでプレーしたいという学生は多いですし、レギュラーで活躍している選手だけでなく。例えば早稲田の学生でも2軍にいたりしてる選手でも、トップリーグでやりたいって言ってます。そういう目標になるような活動ができてるんじゃないですかね。
青島:それとラグビーの場合は、去年11月に香港でのワールドカップ・アジア地区最終予選で、本戦への切符を見事に取ったわけですけど、韓国をシャットアウトですよね。54-0で。それだけジャパンの強さというのが光ったんだけれど。でも、韓国を零封するっていうかね、一方的に韓国に勝つっていうのが、もちろん韓国もチャイニーズ・タイペイも一生懸命取り組んでいるんだけど、あの代表権を取りに行く大会で。こんな戦い方ができるっていうところも、ある意味ではトップリーグでずっと厳しい戦いをしている延長線上で入っていける強みもあったんじゃないかと思うんですけど、どうですか。
薫田:僕が朽木さんなんかと一緒に日本代表でやってた頃なんかは、韓国とは勝ったり負けたりで、レベルが非常に拮抗してましたね。ここまでスコアが開くっていうのは、トップリーグの影響っていうのは非常に大きいと思いますね。
青島:朽木さんはどうですか。もちろん韓国もチャイニーズ・タイペイもラグビーへの取り組みというのはあると思うんですけど、やはり日本にトップリーグというものができて、年間スケジュールの中で戦っていく中で、やはり日本のラグビーはアジアの中でも進んできていると言えますかね。
朽木:技術的な部分も精神的な部分も日本の方が相当開きがあったと思いますね。昔は韓国とやる時は、向こうの方が気持ちの上で相当アドバンテージを持っているような状況でしたけど、今は精神的な部分も技術的な部分も日本の方がアドバンテージはあると思います。
青島:そういったレベルが上がってきている中で、このトップリーグの最後のマイクロソフトカップに出るための争いが最後の最後までわからなかった。こういう戦いが国内でずっと続くわけだから、これはもうレベルっていうのは上がるわけですよね、堀川さん。
堀川:自分は現役として2年間トップリーグを経験することができまして。昔は関東、関西とリーグは分かれていましたよね、シーズン7試合くらい。まずそういった部分から、本当に日本全国のトップが集まって11試合ですか、当初は。そういったことができるようになって、やはりフィジカル的な部分もそうなんですけど、メンタル的にシーズンを通してやっていくっていうのは非常に辛かったというのもありますし。そういう両方の面で非常に厳しいゲームが続くということが選手のレベルアップになっていると思うし。こうしてマイクロソフトカップということで、さらにベスト4のチームが争っていく機会があると、その中でもさらに上に行こうということでチームが選手を強化していく。チームの力も上がっていきますし、それがトップリーグ全体に必ず反映されていると思います。
青島:すばらしいまとめをいただきました。まさにその通りですよね。もちろんこの4チーム以外で、日本代表に入っていても残念ながらこの戦いに出られない選手もいるんでしょうけど、でもまずこの4チームがしのぎを削って、すばらしい戦いを見せてくれることがラグビーの盛り上がりにつながることはもちろんですけど、今年のワールドカップに向けての選手たちのレベルアップにも当然つながるわけですから。ぜひとも熱い戦いを見せていただきたいと思います。さぁ、では2番目の質問に行きたいと思いますけど、「ここまでシーズン前に思い描いていたような戦いができている」。朽木さんだけNOということで、後は薫田さん、堀川さん、清宮さんはYES。まず朽木さんからお聞きしますか。
朽木:思い描いているとおりだと、恐らく優勝してここに来てましたので。ここにいらっしゃるチームにはうちはすべて負けていますので、YESとは出せなかったですね。
青島:そうですね。余計なこと聞いてましたね。ギリギリで滑り込んでいて、「思い描いた通りだった」って言ってもね。ただ、ここから東芝をやっつけて、向こうから出てきたどっちかをやっつけて…となった先には、今度はマイクロソフトカップは「思い描いたとおり」と行きたいと思うんですけどね。
朽木:こういうイメージで…というプラン通りには来てますけど、結果がついてきていないという部分は「NO」というところですね。
青島:それこそ最後の1戦、トヨタはNEC(1月14日秩父宮ラグビー場・トヨタ自動車ヴェルブリッツ19-15NECグリーンロケッツ)で。そこまで三洋、ヤマハと三つ巴になってたわけですよね。この時はどうだったんですか、最後の一戦。
朽木:もう勝つしかないですよね。4ポイント以上、理想的には5ポイント取って。5ポイント取れば決まりでしたので。
青島:4トライ以上と。
朽木:プランとしてはまずは勝ちにこだわってと。残念ながら4ポイントしか取れなかったんですけど。我々が第1試合で、第2試合が東芝と三洋(東芝ブレイブルーパス66-30三洋電機ワイルドナイツ)でしたんで、「東芝行け!」って応援してました。
会場:笑い
青島:「行け行け東芝!」とかやってたんですか? ぜひ取材したいような光景ですね。どこか来てませんでした?
朽木:後半3点差くらいまで追いつめられた時に、「何やってんだ東芝!」って。
青島:それは薫田さん、感じてました?
薫田:「誰だろう?」と思いましたね。
青島:あとの御三方はYESということですけども。堀川さん、今シーズンはだいたい描いたとおりですか。
堀川:そうですね。結果もそうですけど、最終戦の神戸製鋼戦(神戸ウイングスタジアム・ヤマハ発動機ジュビロ37-26神戸製鋼コベルコスティーラーズ)は自分たちがやってきたアタックなりディフェンスなりが、まずまず結果として出せてきているんじゃないかなと思いました。
青島:ぜひみなさんに言っておいた方がいいと思うんですが、堀川さんのところは、サントリーも東芝(10月21日近鉄花園ラグビー場・ヤマハ発動機ジュビロ35-34東芝ブレイブルーパス)もトヨタ(10月15日瑞穂ラグビー場・ヤマハ発動機ジュビロ34-31トヨタ自動車ヴェルブリッツ)も全部やっつけている。
堀川:そうですね、はい。
青島:もっと言っちゃった方がいいですよ。また倍ぐらいで返ってきますから。
会場:笑い
堀川:本当にその勝利というのは、選手はしっかり自信として持たなければならないと思いますし。
青島:しかもけっこう競ったゲームを全部拾って。
堀川:そうですね。
青島:爽快というか、痛快ですよね。
堀川:まぁ、終わってみればですけど。気が気じゃないです。
青島:それはどういう意味ですか?
堀川:やっぱり今年は接戦が非常に多いので。本当に大差で勝ったゲームというのはほとんどなくて、そういうシーズンがずっと続いたので。そういう中で選手はいろんなプレッシャーもあったと思いますし、結果を出してくれたっていうのは本当に非常に大きいですね。
青島:清宮さんはいかがですか。
清宮:ヤマハと東芝(1月6日味の素スタジアム・東芝ブレイブルーパス12-10サントリーサンゴリアス)に2つ負けましたけど、意味のある、内容のある負けでしたね。納得してはいませんけどね。そんな感じですね。
青島:何か怒ってるみたいな言い方ですね。
清宮:いやいやいや。ちょっと思い出したんですよ、ヤマハが喜んでいる姿を。
会場:笑い
清宮:ちょっと余談ですけど、ヤマハはNEC(12月10日柏の葉公園総合競技場・NECグリーンロケッツ36-34ヤマハ発動機ジュビロ)にすごい逆転負けしたんですよ。俺たちテレビで見てたのかな。ヤマハがうつむいてうなだれてるの見て、俺たち「しめしめ」って喜んでた。そういうことが何かよぎったんですよ、過去の思い出が。冗談だよ。
青島:総得点と総失点、最高と最低(サントリーサンゴリアス総得点545/総失点161)というところは、まさに「こう戦いたい」というところが出ていたと思うんですけど。
清宮:出た結果は、自分たちの自信とか、プライドとかに代えられると思っています。でも、それで13節満足だったかって考えるとそうじゃない。
青島:薫田さんもYESでしたが、どうでしたか。
薫田:今シーズンは開幕が2週間前倒しになったということで、どのチームも非常に難しいシーズンだったと思いますね。2チーム増えたということもありますし。そういう中で昨年と同じような順位を残すことができたと。ただ、試合内容等々については、まだまだ納得いってないところもあったんですけど。ただ、最後の2、3試合はそれなりの試合ができましたので、全体を通してはまぁ納得できるかなというところですね。チームの仕上がりとしては後半尻上がりに良くなってきました。それについては満足しているという感じですね。
青島:なんかでも最後の試合、ずいぶん点取られましたよね。
薫田:本当に、あんなにうまくいってもいいのかなってくらい、すべてのツキを取ったかなっていう感じだったですね。
清宮:最後の試合「点を取られた」ってことですよ。
薫田:取られた? 「取った」じゃなくて?
清宮:点を取ったのは大変素晴らしいです。
会場:笑い
薫田:いや、サントリーさんには負けたけどね。66点取れたでしょ。秩父宮はグラウンドが悪いのに。うちのキャプテン(冨岡鉄平)なんかもそうなんだけど、つまずいて転んだりとかけっこうあったんですね。マクラウドも穴にはまってねんざしたりとかね。そういった意味で、もう少しパフォーマンスを。これからはもっといい状況で試合したいなと思いますね、グランドコンディションが。
清宮:グランドコンディションはどうでしょうかね。うちが一番悪いんじゃないですか。この4チームの中で。秩父宮の状況っていうのは、これからますます悪くなりますよね。
青島:その不利の中をいかに戦うか。
清宮:冗談ですからね。
会場:笑い
青島:今けっこう食いついてましたよ、あなたの話。「何を言い出してるのかこの人は」みたいな。
清宮:盛り上げないといけないなと思って。
青島:そうですよね。
清宮:でも、ちょっと点取られ過ぎましたね、薫田さんね。
会場:笑い
清宮:実は僕ね、東芝の応援団の真ん中で見てたんですよ。で、東芝の応援団はやたら僕によくしてくれるんですよ。一緒に応援してましたよ。仙波(智裕)くんが出てきた時に横断幕出たでしょ。見てないんですか?
薫田:いや見てた。
清宮:僕、あのすぐ真下に座ってたんですよ。で、テレビに映っちゃいけないと思ってずれたんですよ。
会場:笑い
青島:そりゃね、応援してたらね。
薫田:マスコミの方から「今日は清宮監督来てますよ」って聞いてたんですよ。「何しに来てんのかなぁ」と思いながら。
清宮:何しにって、高みの見物です。
青島:「どこが勝つかなぁ」みたいな。
薫田:神出鬼没ですからね。
青島:私は昔、清宮さんに東京ドームで会ったことがありますけどね。古い話ですね。いろんなところでお会いしてますよね。彼はメジャーリーグまで来てるからなぁ。ちょっとなんか重いですかね、空気がね。若干そういうもの感じますね。もうちょっと盛り上げていきましょうね。さぁ続いてです。「トップリーグでは自分たちのチームが一番おもしろいラグビーをしている」。これにつきましてはみなさんYES、いや薫田さんはYES/NO両方ですね。これは薫田さんから行きましょうか。
薫田:その時のチームの持ち味っていうのがあると思うんですね。それが本当に出せたかどうかっていうのは、当然各試合各チームベストパフォーマンスができてるとは思わないですけど、やっぱり見ていておもしろいなぁっていうチームはいっぱいありますよね。そういった意味では我々はもっともっといろいろ追求しなきゃいけない面がたくさんあると思うし。最後のゲームに関しては納得してますけどね。ボールが動くようになりましたので。そういった意味で清宮監督のところもおもしろいし、トヨタさんもそうだし。そういった持ち味はあると思いますね。非常に微妙な判定になってしまいましたけどね。
清宮:突っ込みなんですけど、モール、モールって言われることに対してそろそろ違う東芝を見せたいってずっと考えてますよね。
薫田:清宮監督はずっと「モールやめろ」って言ってるんですよ。
会場:笑い
青島:清宮さんのところも、ややモールに来ているんじゃないですか、そういう意味では。そうでもないですか?
清宮:うちは戦術的なモールを使おうとしてるんですけど、東芝さんは12人ぐらい入ってくるじゃないですか。
会場:笑い
清宮:でも、本当はやめたいんですよ、薫田さんは。
薫田:僕はやめたいですよ。
清宮:やめたくてボールを動かす方がいいんだけど、
青島:じゃ12人やめたらどうですか。
薫田:この前もミーティングでそう言ってるんですよ。実はですね、この前のサントリーとの試合の前にプレマッチ、レフェリーと三者合同でやりまして、試合後に今度はアフターマッチをまた三者でやったんですけど。その時も、そのことばっかり言ってるんですよ。「モールをなくせ」とか、「12人入るからダメだ」とかですね、チクチクチクチクやるんですょ。
清宮:いやね、日本一のディフェンディングチャンピオンが12人モールしてたら、日本の高校生がマネするじゃないですか。充分戦えるんだから。この間の三洋電機の試合なんてすごいですよね。本当に東芝の応援席で僕は見てましたけど、ファンがそのシーンを見て躍動する、そういうトライを取ってましたからね。「なんだこんなにできるんだったら、もうモールなんかやめてしまえばいいのに」って。
薫田:次のサントリーとの時はモールで行くから。
会場:笑い
清宮:でも、実はモールで来てくれた方が僕たちは良かったりする。
青島:あの人、そういうことやるんですよね。あぁ言っておいて、実はやって欲しいみたいなことなんですかね。
薫田:そうですね。サントリーはモール強いですからね。
青島:で、どうなんですか清宮さんのところは。うちがおもしいっていう質問にYESですけど。それはもちろん当然意識している?
清宮:そうですね、意識します、はい。誰もが納得する、「そうやるだろう」っていう。そういうラグビーをすると、見ている人たちがおもしろいわけです。「次にあそこにボールを運べば、あのスペースにボールが動けばトライになる」って想像するんですよ。これはサッカーも同じでしょ。自分が想像した通りにゲームが動いていくのって、すごく楽しいですよね、見ている人が。
青島:「おもしろいラグビー」と「勝つラグビー」は共存するんですか?
清宮:まぁ、共存させたいですね。
青島:その意味で12人モールは許せないと。
清宮:うん。もうそろそろいいんじゃないの。
会場:笑い
薫田:サントリーは13人ディフェンス入ってくるんです。
青島:群衆同士じゃないですか。
清宮:エリサルドさんが監督してる時に日本代表で、失望した試合があったじゃないですか。ああいうのの引き金になってしまうんじゃないですか、薫田さん?
薫田:一つには、僕は持論なんですけど、ジャパンが海外でテストマッチを戦う時に、ドライビングモールっていうのはひとつの武器だと思うんですね。この間のアジア予選もそうだったと思うんですけど。アジアだけじゃなくて、それ以外の海外のチームと戦う時でも武器だと思うんですね。これは一つの戦略として成り立つ面もあると思うんです。それともう一つは、モールっていうのはみなさんご存じかどうかわかんないんですけど、中でいろいろ肩の高さ、首の入れ方とか、5センチ10センチのほんのちょっとしたところが高いか低いかで押せなくなるんですよね。ドライビングモールとか。
青島:そこは現役時代からスペシャリストだったわけだから。
薫田:そういうこだわりをやっていくっていうことをみなさんにわかっていただいて。だから小さなやつでも外国人と戦った時に肩の入れ方とか、関節を決めて何とかっていう部分で押せるっていうことなんですね。一つの武器であると。
清宮:いいですか? この間そういえば、僕本当に「モールもうやめればいいじゃない」って言ったんですよ。そしたらね、「モールが好きなファンもいる」って。聞いていただきたいですね、モールが好きな人。
薫田:いいですね。聞いてみましょう。
青島:ということで、今薫田監督から要望がありました。「いいじゃないか。モールのラグビーもいいぞ!」という方、拍手をお願いします。
会場:拍手
薫田:半分くらいの方ですね。
清宮:さっきの1/3くらい?
会場:笑い
青島:そうですね。今のお話、薫田監督は私の顔を見て言ってましたけど、基本的に向こうの方を意識した発言ですよね。人数じゃないんだと、組み方の問題なんだというお話ですよね。伝わったんですかね。
薫田:あんまり伝わってませんね。
青島:朽木さん、すみません、お待たせしました。
会場:笑い
青島:広いスペースで端の方にずっといる感じだったですね。
朽木:うちも東芝に相当モールで行かれてますんで。私が監督になった1年目に東芝でやられましたし。モールを4つか5つぐらい取られてね。相当モールで行かれて。モールを強くするためには、僕なんかバックス出身ですから、実際にモールのところの肩の入れ方とか、そういうことは全く経験がないラグビー世代でしたので、なかなか指導が追いついていかないんですよね。だけども、やっぱりチャンピオン取るためにはモールが強くならないとっていうのもありますんで、練習からモールの比重はかなり多くなってます、東芝のおかげで。
清宮:2年前に勝たれたじゃないですか。準決勝(日本選手権)でね。ぴしっとモール止めてね。
朽木:あの時はやっぱり、早めにモールのバインドするやつをつぶしにいくっていう作戦が功を奏しまして。
薫田:あの後、「あれ、ペナルティですよ」って言ったら「そうなの?」って。
会場:笑い
薫田:何にもわかってなかったですね。
青島:でも朽木さん、やっぱり現役の時の自分がやっていたポジションっていうか、プレーっていうところをまず真ん中におもしろいラグビーっていうのを考えるんじゃないですか。当たり前って言えば当たり前なんでしょうけど、それはそうですよね。
朽木:ボールを動かそうっていうのが中心になるでしょうし。でも、まぁラグビーの醍醐味は格闘技ですから、激しさっていうところもチームで確認したいと思っていますし。ボールゲームのところと格闘技のところの両立っていうところだと思いますね。
青島:まぁ、うちが一番おもしろいラグビーやったっていうのは、ゲームのおもしそさというか、ハラハラドキドキで言ったら堀川さんのところですよね。
堀川:たぶんその、点数で言えば。
清宮:最後の10分、5分ぐらいしかおもしろくないんですよ。
会場:笑い
青島:物事って、おもしろいですよね。
清宮:盛り上げるために言ってるだけです。
青島:ジュースが半分残ってたら、「もう半分しかないのか」と言うのと「半分もあるよ」って言うのでは、全然違いますからね。隣の方はかなりひねくれて取る方で。でも、おもしろかったですね。
堀川:そうですね。最後まで帰らせない。最後の最後まで見て帰っていただくと。
青島:東芝戦が34-35。サントリー戦が21-22。トヨタとも31-34。しかも、サントリーの時はロスタイムで相手のミスキックか何か取って。
堀川:そうですね、はい。
青島:全部大どんでん返しの大逆転で。
堀川:はい。
会場:笑い
青島:堀川さん、ここは話しどころだと思うんですけどね、チーム的にも監督的にも。「だから、おもしろい! こうやってるんだからこうなるんだ」っていうところ。
堀川:狙ってやっているわけじゃないんで、こればっかりは。まぁ、最後まであきらめないとか、80分じゃなくてロスタイムまで入れて90分、最後の最後まで顔を上げていこうっていうことで。それなりに厳しい練習はしてきたつもりではあるんで。ただ、本来ならもっともっとボールは動かしていきたいとは思っていますけど。ヤマハの強みであったりとか、そういった部分を出しながらいくということになると、キックも多くなったりするとは思うんですけど、先ほど清宮さんも言いましたけど、やはり見ている方が本当に想像できる、イメージできる、そういったスペースにボールを運んでいけるようなラグビーはしていきたいなと思っています。
青島:清宮さんのところ、第2節で堀川さんのところとあたって。このへんの言い訳はもちろんありますよね。
清宮:いや、そんなにないよ。
青島:ないですか? 相当言い訳あるのかなと思ったんですけど。
清宮:いやいや。ヤマハさんのおかげでたくましくなれたと。
青島:けっこうそれでちょっと危機感みたいなものもあったりしなかったんですか?
清宮:危機感はないですね。足りないものをたくさん後輩から授けていただいた。
青島:今、目で殺しながら「授けていただいた」と。
清宮:授けていただいた。
青島:慇懃無礼ですね。
清宮:そうでも思わないとやっていけませんよね。
青島:本当ですよね。

取材・構成/CREW 撮影/新関雅士

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