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ぴあトークバトル スポーツ快楽主義2007 vol.60
どうなる!? FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2007~Supported by
ACミランの優勝で幕を閉じた「TOYOTA プレゼンツ FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2007」。
開幕が9日後に迫った11月28日(水)、日本サッカーミュージアムにて4人の豪華ゲスト陣が今大会の見どころを
2時間たっぷり語り尽くしました。トークバトルの模様をフルバージョンでお届けします!

<ホスト>
中西哲生(スポーツジャーナリスト)
1969年、愛知県生まれ。同志社大から1992年に名古屋グランパスエイト入り。1997年に川崎フロンターレへ移籍してからはキャプテンを務め、1999年のJ2優勝・J1昇格に貢献した。Jリーグ通算95試合7得点。現在はスポーツジャーナリストとして「ズームイン!!SUPER」(日本テレビ系)、「サンデーモーニング」(TBS系)「GET SPORTS」(テレビ朝日系)などに出演中。

<ゲスト>

武田修宏(サッカー解説者)
'67年静岡県生まれ。'86年清水東高から読売クラブ(現・東京ヴェルディ1969)入り。'01年の引退までにジュビロ磐田、京都パープルサンガ、さらにパラグアイの名門スポルティボ・ルケーニョなど延べ7チームでプレーした。Jリーグ通算237試合出場94得点(歴代4位)、日本代表通算18試合出場1得点。現在は各メディアで活躍し、JFAアンバサダーも務める。

北澤豪(サッカー解説者)
'68年東京都生まれ。修徳高校から本田技研を経て'91年読売クラブ(現・東京ヴェルディ1969)へ移籍。Jリーグ初年度の'93年と'94年の優勝メンバー。日本代表としてもフランス「W杯」出場に貢献した。'03年に引退。現在は月曜日の「スポんちゅ」(日本テレビ系)に出演する他、日本サッカー協会国際委員としてサッカーの発展・普及につとめている。

都並敏史(サッカー解説者)
'61年東京都生まれ。'80年に読売FC(現東京ヴェルディ1969)に入団。その後、アビスパ福岡、ベルマーレ平塚(現湘南ベルマーレ)でプレー。'81年に19歳で日本代表に選出。国際Aマッチ78試合に出場し、2得点を挙げた。98年に現役を引退。引退後は東京ヴェルディ1969ユース監督を経て、ベガルタ仙台、セレッソ大阪の監督に就任。来季からは横浜FC監督として指揮を執る。


後編
中西:武田さんどうですか?
武田:いや、一応僕はその試合解説をやるんで、浦和対セパハンの試合だと思って考えたんですけど。僕は現役の時、アジア大会ではイランに勝って(1992年11月3日、広島、日本1-0イラン)、ドーハのワールドカップ予選では負けた(1993年10月18日、ドーハ、イラン2-1日本)っていうイランのイメージがあるので、僕の中では。イランのチームも浦和に負けて、また負けることは2回はないだろうという頭があるし、浦和レッズはこの間の試合(2007年11月24日、埼玉スタジアム、浦和レッズ0-1鹿島アントラーズ)の後にインタビューしても、今みんなもうすごく疲れてるんです。1週間休んでも、メンタル面でも。そういった意味で、浦和の疲れと、セパハンの勢いというのが、これまた難しい試合になるのかなと思ってますね。浦和が勝ってACミランと対戦!みたいな雰囲気じゃないですか日本は今。それがある分、すごく難しい試合になるんじゃないかなと。次はイランの選手のモチベーションが多分上がってくるんで。逆に言えば、「AFC チャンピオンズリーグ」の決勝戦は、イランのチームは世界大会に出られるからもういいのかなくらいの気持ちでやってたのかなと思えちゃったんで。そういった意味では、もちろん浦和が勝つとは思いますけど、非常に面白い試合になるかなと僕は思っています。
中西:都並さんは。
都並:同じ意見ですね。セパハンの監督(ルカ・ボナチッチ)の、浦和の試合の後の記者会見のコメントを見てても、すごく悔しいという感じじゃないですよ。「とりあえず権利はある。もうチャンスをつかんでいる」という部分もあるし。この場で勝てばACミランとやれるというモチベーションは、世界にセパバンというクラブの名を知らしめるための素晴らしいチャンスだし。そういう意味では浦和も大変な試合になるでしょう。これは大注目ですね。かといって浦和のサポーターのみなさんがそんな甘いことは許さないだろうし、それは大きなアドバンテージ。それは浦和のサポーターだけじゃなく、日本全国のサッカーファンがその試合、浦和を応援してますから。
中西:北澤さん。
北澤:勝つでしょう。
中西:勝つしかないですよね。
北澤:大変だと思いますよ、2回目は、本当に。
中西:やりづらいと思いますよ。いわば3試合目ですからね。
北澤:イヤでしょう。同じ相手と3回も戦うのなんて。それは仕方がないですけどね。確かに天皇杯をやって、Jリーグで優勝争って。大変ですよ。
中西:ケガ人も出てるし、疲れも蓄積してきているだろうし。
北澤:ただ、レッズはクラブ作りとしてここを目指してきたわけだから。
中西:そうですよね。僕はAFC チャンピオンズリーグ優勝直後にほとんど全員の選手と一言ぐらいずつ話しましたけど、みんな「やった?、よ~し!」という感じじゃないんですよ。「やっとスタートラインに立てました。ここからですよ」って。そこが僕は彼らが違うモチベーションになってると思うし、そこで「やった、優勝!」っていう感じではなく。優勝した瞬間、選手はあんまり喜んでませんでしたよね。周りがめっちゃ喜んでたじゃないですか、スタジアム全部。あんなに記者席が喜んでるのは珍しいくらい、日本の記者たちは喜んでましたよね。でも、選手たちは結構冷静だったじゃないですか。あれを見て、しかもその後ちょっと話を聞いたらそういう言葉だったので、もうその後を見ているんだなと。頼もしく感じましたね。そういうメンタリティがあるから、僕は大丈夫なんじゃないかなと思ってるんですけど。
都並:何にしても厳しい試合になるのは間違いないんじゃないですかね。
中西:基本的にはね。そこはやっぱり、何とか勝って上に行って欲しいですね。武田さんが解説されるんですね。
武田:はい。
中西:みなさんバラバラなんですか? いろんなところに行かれるんですか?
武田:今回は城くん(彰二、JFAアンバサダー)とかと手分けしながら。勉強もしなきゃいけない、試合も見なきゃいけない。情報を交換して。
中西:マッチ3は、なくなったと言われたチケットが若干また出たようですので。
都並:豊田スタジアムに行っちゃってください。
中西:19時30分キックオフ。
都並:間に合う、間に合う。
中西:何が間に合うんですか。でも、この日は早く帰っていただいて、チケットを買えない人はテレビの前に座って、正座して応援すると。
都並:お茶とお煎餅を持って。
中西:ビールじゃないんですか? 固いですね。
都並:酒飲んじゃダメだよ。こういう大事な試合は。
中西:さぁ、その次はマッチ4(2007年12月12日、国立競技場)。ついに南米代表のボカ・ジュニアーズが登場します。これはパチューカとエトワール・サヘル、どちらが出てくるかわかりませんけど、ボカです。都並さん。
都並:ボカ、好きですよ。
中西:ずっと前にも行かれてますし、ボカは都並さん、大好きですよね。
都並:ボカが大好きですし、パチューカも好きになりましたし、この対決はボカ対パチューカを待ち望んでおります。これは僕が解説です。話が止まんないでしょう。
中西:じゃ、都並さんの解説を肴に、ビールは飲んじゃいけない。
都並:飲んじゃいけない。大事な試合はジュースで。
中西:ボカはどうなんですか。
都並:ボカは伝統的に手堅い。
中西:手堅いですね。
都並:非常に手堅いサッカーをするので、今のパチューカのディフェンスが抱えてる課題を見ると、僕はパラシオ(ロドリゴ、ボカ・ジュニアーズ)、パレルモ(マルティン、ボカ・ジュニアーズ)の2トップは押さえられないんじゃないかなと思うんだけどね。
武田:強烈だもんね。
都並:リケルメがいないとしても、バランスが非常にいい。逆にリケルメがいないことで、今スタメンに出ているバタグリア(セバスティアン)とバネーガ(エベル)。両方ともボランチの選手ですからね。基本的に守備が硬くなるし、ガチンコのボカ的なサッカーがやりやすい。しかもパチューカがくれば、ボカ的なサッカーがやりやすい。ただ、ボカのセンターバックは昔よりはちょっと甘いね、今。
北澤:うん。
都並:歴史的にボカがいい時は、必ずいいセンターバックがいるんですよ。いいサイドは今もいるとしても、いいボランチといいセンターバック。ディフェンスの選手たちは素晴らしい選手が揃ってますから。ちょっとそう考えると、バレッタ(ディエゴ・バレット)とか。
中西:微妙だと。
都並:微妙かな。
中西:つけ入る隙はあるということですか、ボカといえども。
都並:やっぱりイケイケで攻めるしかないんじゃないですか、ああいうチームには。2トップが強力で、ディフェンスがちょっとパチューカの方が弱いということを考えて、全体で守ると考える監督さんもいるんでしょうけど、パチューカのメサ監督はイケイケですから。「2、3点ぶち込んで来い!」っていうのがはまっちゃう可能性もあります。
中西:前半でポンポンポンと点が入ったりとか、ありますからね。そうすると逆に向こうが前に出ると、またカウンターで。
都並:そういう試合展開は想像されるし。まぁ0-0がずっと続くと、そのへんの行く行かないの駆け引きは天下一品なんですよ、ボカの選手は。来させておいて入るとか。そういうのは巧いと思うんで。若くても巧いから。
中西:日本慣れしてますよね、ボカは。何回も日本に来ているという強みもあるし。別に日本だから力を発揮できないっていうのもなさそうですしね。
武田:本当に都並さんの言った通りで、僕もボカに行かせていただいて試合を見させてもらったんですけど、センターバックが2人変わっちゃったのがちょっと心配なんですけど。リケルメ、リケルメっていう感じだったその選手がいなくなって大丈夫かなと僕も思ったんですけど、やっぱり経験のあるバタグリアとか、若いバネーガとか、経験のあるベテランと若手が本当にいいサッカーしてますし、南米のチームって弱いチームってないじゃないですか。みんながサッカー知ってるし。基準が高くて。
中西:そうですね。
武田:コロンビア代表とかパラグアイ代表とか、いろんな代表選手がいますし。そういう意味では、練習を見に行くと本当にパレルモとか全然やる気なくて、タラタラ、タラタラやってるんですけど、監督は多分サポーターが恐くて代えられないのかなという感じで。でも、試合になるとみんなパレルモにボールを合わせてシュート決めちゃってる。そういう感じですから。そういった意味ではパチューカの試合、非常に楽しみなんですけど。ああいうボカみたいに繋ぐサッカーを非常に楽しみにしているんで。ボカが勝って欲しいかなというのと、メキシコもさっき都並さん言ってたけど、イケイケでメンタリティ的に、性格的に熱しやすく冷めやすいっていう、諦めちゃう部分があるんで。でも、僕は2006年ドイツワールドカップのメキシコ対アルゼンチンの試合(2006年6月24日、ドイツ・ミュンヘン、アルゼンチン2-1メキシコ)が記憶に残ってて。非常に面白い試合で最後アルゼンチンが勝ったんですけど、ああいう激しい試合になって、レベルの高い試合をしてくれると非常に楽しいと思います。
都並:まだ、パチューカと決まったわけじゃないよ。
中西:決め過ぎると逆のチームになった時に問題があるんじゃないですか。
武田:ちゃんと、どっちのチームが来てもいいように、両方の試合を見てますから。
中西:都並さん、ボカに行かれたと言ってましたけど、アルゼンチンってどういう国なんですか。僕、アルゼンチン行ったことないんですよ。
都並:最高だよ!
中西:都並さんが言うと、本当に最高そうですね。
都並:もう“第二の故郷”っていうくらい好きになっちゃったんだけど。
中西:僕、ブラジルには3カ月住んでたんで。
都並:ブラジルも楽しいですね。
中西:本当にご飯おいしいですよね。
都並:ブラジルもご飯おいしいね。まぁ、肉は一緒ですから。縦に切るブラジルと、横に切って焼くアルゼンチンの違いで。
中西:アルゼンチンはステーキがすごくおいしいって言うじゃないですか。どんな感じなんですか?
都並:要は「日本人は何で霜降りなんか食うんだ、あんな病気みたいな肉を」って言うんですね。基本的には赤身の肉にいろんな種類があって、しっかり焼いたジューシーな肉を、ワインと一緒にとか。毎日ステーキ食べられちゃいますから。毎日食べたくなるんですよ。そのくらい肉が味わい深い。料理の評論家じゃないんだけど。
中西:でも、おいしいでしょ。
都並:おいしくて安いから。日本の感覚でいくと、ものすごく安いわけですよ。僕が行った時、多分、武田と同じ貨幣価値だったと思うんだけど、1ドル115円くらいで、1ドルでホットドック3つとコーラ1本買えましたからね。
中西:そんなに買えるんですか?
都並:そんなに買えるんですよ。
中西:日本じゃコーラも買えないですよ。
都並:そんな世界ですよ。マクドナルドのハンバーガー、40円とかですからね。行くのは大変ですけど、行ったら最高ですから。デパートに行ったら、本当に綺麗な日本と同じような子供服がバーッとあるんですよ。それが全部日本の1/3の値段で売っていると思ってください。そんな天国はないじゃないですか。靴なんか2万円くらいのものが4000円くらいで売ってるわけですから。ずっと住みたいんですけど、夜中に独りでは歩けません。
中西:治安はちょっとあれなんですか。
都並:治安は悪いです。
北澤:その靴、アルゼンチンで買ったんですか?
都並:これはメキシコ。5000円よ。
北澤:都並さん、いつでもどこでも海外行くと靴買いますよね。
中西:でも、肉はかなりおいしいんだ。
都並:本当においしい。例えばちょっと高級で、ジャケット着て行かなきゃいけない、セレブな人がたくさんいるようなレストランに4人で行って、そこでお昼を食べたとするでしょう。そこで俺がおごってガンガン食べて、本当に最高級のステーキをフルコースで食べて、勘定が4人で1万2000円。日本だと6万、7万円ぐらい行っちゃうんじゃないかなっていうところで。1人3000円。
北澤:ちゃんと割り切れる数を言うんですね。
武田:でも、都並さんが言ってるように、本当に危ないですよ。食事していても、車を見ていないと盗まれちゃうとか。
中西:車を見てないとって?
武田:例えばイタリアンレストランに食事に行った時に、路上駐車で車を見えるところに停めておかないと、誰かが乗って行っちゃうんです。
中西:どうやって乗っていくんですか? カギがないじゃないですか。
都並:すぐ開けちゃうんですよ。何でも開くようなカギを持ってる奴もいたり。因みに、これは南米全部だと思うんですけど、車から降りる時にはカセットは取り外して持って行きますから。これは当たり前です。これはパラグアイでもそうでしょう?
中西:あぁ、やってましたね。
北澤:ナビなんかも外してたね。
都並:日本では見たことがない、ハンドルが絶対に回らないようになる道具とか。
中西:あれは確かにありますね。南米に行くとどこにでもある。ハンドルを固定して動かなくする物があるんですよ。
武田:でもね、飛行時間30時間だからね。遠いですよ、本当に。
都並:でも、行ったら天国だよ。
武田:途中が「あぁ、遠いな…」っていう感じ。
都並:さっきのサッカー文化の話で思い出したんですけど、アルゼンチンで僕はウラカンというチームの練習場にずっと通ってたんですね。ウラカンは、サン・ロレンソというチームと対立してるんですけど。練習場へ行くのにタクシーに乗って「ウラカンに行ってくれ」って言ったら、「何しにウラカンに行くんだ?」って。「練習を見に行くんだ」って通訳の人が言うと、いきなり運転手さんが無線で「今から日本人をウラカンの練習場に乗せて行くよ。ウラカンに行くらしいぜ、こいつら」って。そしたら、無線のセンターから返ってきた言葉が「サン・ロレンソに連れていってください」って。こういうのがタクシーの中であるんです。これが文化だね。
中西:本当ですか、それ。
都並:本当の話です。面白いなと思った。例えばコーヒーショップで座ってコーヒーを飲む時に、まず最初に「ドンデ・インチャ? どこのファンですか?」って聞かれる。そこで「私はボカ」「私はリーベル」って。その客がボカのファンで、自分がリーベルだったら、そこらのコースターをバッと床に投げつけて。そこから始まる。
中西:すごいですね。
都並:「まぁまぁ冗談だよ、コーヒーだな」って。
中西:海外から来る人って、どっちが好きなのか気になるんですよね。確かにそういうのありますね。僕はお酒が好きなんで、知り合いが「ワインが最高にうまい」って言うんですよ。ワインもおいしいですかやっぱり?
都並:おいしいですね。
武田:ワインは江川さん(卓、野球解説者)においしいって言ったら、江川さんはソムリエじゃないですか。「アルゼンチンのワインは全部一緒なんだよね」って言われて。すごくショックでした。
中西:江川さんクラスだとね。
都並:本当においしいです。アルゼンチンもチリも。あそこの山のぶどう畑で作られるから。実際はスペインにチリワインを持って行くらしいですよ。
中西:赤ですか、基本的に。
都並:基本的に赤ですね。
中西:白はどうですか。
都並:白はあったけどあんまり飲まなかった、肉ですから。
武田:都並さん、お酒大好きだからね。
中西:ビールとかどうなんですか。ブラジルのビールって、瓶ごと凍ってるんですよ。出てきたら凍ってますよね。
都並:あぁ、確かに。
中西:アルゼンチンもそうなんですか?
都並:いや、アルゼンチンは普通。日本と一緒です。ガッチリ冷えてます。
中西:北澤さん、ブラジルのビール、うまくないですか?
北澤:そんなに冷えてた?
中西:絶対凍ってましたよ、瓶ごと。
北澤:ブラジルではぬるいビールしか飲んだことない。場所だよ、場所、絶対。
中西:サンパウロで。必ず凍ってたんですよ。すごい国だなと思いましたよ。すみません、話がそれちゃって。アルゼンチンの話は終わりました。続いて、マッチ5(2007年12月13日、横浜国際総合競技場)ですね。ついにACミランが登場します。12月13日木曜日、19時30分キックオフ、横浜国際総合競技場。
北澤:チケットどうなんですか? ないの?
中西:ないみたいです。テレビですね。解説は?
北澤:僕ですか?
武田:きーちゃんじゃないの?
北澤:準備としてはミランとレッズだよね。
中西:理想ですよ。
北澤:最高じゃないですか。どうなるんだろうね。まずレッズに対して、ミランがどう出てくるかだよね。引くのかな。出てくるのかな。どっちだと思う?
中西:それを考えるだけでワクワクしてくるんですよね。どうやって点を取るのか。
都並:1トップなのか、2トップなのか。
北澤:レッズに対してどういう研究をしてきたのかというので、相当見方が違うんじゃないの。キックオフの時の並びで。
中西:僕ら解説者は、結構最初グラウンドに立った時の、キックオフの瞬間のフォーメーションを見てるんですよ。どの並びなのかって。最初に僕らはそれで判断するんで。いつもの並びとちょっと違うなとか、4-4-2でも形がちょっととか、そういうのがわかるんですね。そこを見るのが楽しみですよね。
北澤:そう。どう見られているのかというのがあるじゃない。ミランの本気の試合で、どういう風に日本のチームを見て試合に入って来ようとしてるのか。
中西:そのへんはも、うその瞬間にわかりますよね。
北澤:そう。
中西:さっきもちょっと話したんですけど、ミランは12月6日、試合の1週間前に来日。これは気合いですね。本気ですね。ワールドカップの時も2~3日前だったじゃないですか。
北澤:準決勝でミランとしては負けるわけにいかないからね。
中西:まさかレッズに負けるというわけにはね。
北澤:わかんないよ。
中西:それぐらい、やっぱりACミランとしては用心深く来ているということですか。僕は先々週ACミランに行ってましたけど、選手に話を聞いてもみんなレッズのことは知ってるし、やるのが楽しみだって。
北澤:カカなんかインタビューで「かかって来い!」とか言ってるもんね。
中西:そうそうそう。シャレですか?
北澤:ちょっとね。誰がつくんだろうね、マークに。
中西:それでこの間、レッズの鈴木啓太選手と話したんですけど、「マッチアップするのカカかセードルフ(クラレンス)ですよ」って言ったら、「いや?、テレビで見たことあるけど・・・」って言ってましたよ。
都並:ミランの試合になると、そういう気持ちも出てきちゃいますよね、日本人はまだ。ダメなんだそういうことじゃ。勝たないと。それがまずダメなんだ。
北澤:フィフティ・フィフティですからね。
都並:フィフティですから。でも、我々もちょっと「楽しそう」なんて思ったりして。
中西:北澤さんがおっしゃったように、初めて日本のクラブチームが、ヨーロッパのクラブチームと本気でやってもらえるっていう。初めてワールドカップに出た時に思ったのは、やっぱり、本気でやってくれるということじゃないですか。
都並:アルゼンチン対日本の試合(1998年6月14日、フランス・トゥールーズ、アルゼンチン1-0日本)の時にさ、俺は前からガーッと来るのかと思ってたら、意外と引いてたりして「慎重じゃん」って。本当にびっくりした。
中西:98年のね。「ちゃんと相手に敬意を払って慎重に入ってるな」って思いますよね。
都並:そうそう。入り方がすごく楽しみですよ。
中西:わからないですよ。世界の中で日本のクラブチームがどのくらいの位置にいるかというのが。クラブチームは今までわからなかったじゃないですか。上なのか下なのか、ちょっとだけ離れているのか、実はものすごく離れていたのかもしれないし。マッチアップしないとわからないじゃないですか。
都並:だいたい国と国、クラブ対クラブのトップレベルの試合があるじゃないですか。相手の中心選手、中盤のキープレーヤーに、我々ディフェンダーが何をするかというと、最初のタッチの時に体ごと、ボールごとバコーンと足も一緒に削って、「今日は恐いぞ」とか「痛いぞ」って迫力を見せるんですけど。ミランはそれをガットゥーゾ(ジェンナロ)がやるわけですよね。果たして、ガットゥーゾが誰を狙って最初に行くのかっていうのは興味深い。絶対行くだろう。
北澤:今週の試合でも、若い奴が倒れたらひっぱたいてましたからね。「そんなんで倒れるんじゃねぇ! パチッ!」ってやってましたからね。レッドカードですよ、それ。ガットゥーゾ、当たり前にやってましたから。「お前、起きろ!」みたいに。
都並:最近、節制して頬がこけちゃって、またすごい選手になってますけど。
北澤:しばかれますからね。
中西:でも、キャラクターは完全に際立ってますからね。
北澤:最高だと思う。
都並:チケットが全部買えるわけじゃないから、浦和サポーターで満杯にはならないわけでしょ。
中西:カテゴリー1、2はあるらしいですよ。
北澤:今日、追加で出たらしいよ。
中西:これは買った方がいいですよ。
都並:買った方がいいよ。絶対買った方がいい。
北澤:この試合から埋まると思ったのに。
中西:ちょっと見たいですね。
都並:浦和が赤、ミランも赤。帰りの横浜ラーメン博物館が真っ赤になっちゃうんじゃないの。
中西:試合はどうですかね。
北澤:レッズのオジェック監督はそんなに変えないんじゃないの。要所は押さえるにしても、そんなに戦い方は変えないよね。
中西:変えないですよね。どういう風にやってくるのかなって思うんですけど、ACミランが。
都並:それはひとつの見ものですね。そして闘莉王(田中マルクス)はやっぱりひょろひょろっと中盤に上がっていくのか。上がって行った方がいいと思うんですけど。思い切ってやって欲しい、いつもの浦和のプレーを。
中西:カカのあのデカい歩幅に誰かついていけるんですかね。一歩一歩がデカくないですか、ドリブルしててもね。
北澤:そして、速いからね。
中西:めっちゃ速いですよね。
都並:そして、顔がいい。
中西:186cmで83kg。スピードにのったら止まらないですよね。闘莉王とかどうするんでしょう。体をボーンとぶつけるのかな。
北澤:・・・しかないよね。最初のうちはそれしかないですよね。
中西:思いっきり体ぶつけるしかないですよね。でも、弾き飛ばされそうじゃないですか。
都並:どうなんだろう。闘莉王も強いからね。
中西:そのぶつかり合いも楽しみじゃないですか。でも、カカは紳士ですね。僕はACミランに行った時に練習前にちょっと話したんですけど、カカは英語を話せるんですよ。で、「ちょっと話をしたい」って言ったら、「悪いけどインタビューはできないんだよ。止められてるから」って。「インタビューじゃなくていい」って言ってちょっと話して。普通に心地よく話してくれて、立ち話で。
都並:英語で立ち話。格好いいよね。単に英語が喋れるっていうのを自慢したのかな。
会場:笑い
武田:「彼は英語、喋れるから」って。
中西:違う。そうじゃないですよ。
北澤:カカはバロンドール(フランスフットボール誌主催の世界年間最優秀選手)を取れそうじゃない(その後、初受賞決定)。それでも「クリスチアーノ・ロナウド(イングランド・マンチェスター・ユナイテッド)の方が俺よりずっとすごいよ」って言っちゃうところが、また格好いい。
中西:謙虚ですよね。人間的にも素晴らしいですよね。明日恐らく「ズームイン!!」でやるんですけど、僕、セードルフとも会ったんですよ。
北澤:英語で?
中西:違いますよ。インタビューさせてもらったんです。彼のレストランに行って。彼はレストランをやってるんですよ。
北澤:ジャパニーズでしょ。
中西:そう、ミラノで。
都並:なんていう名前?
中西:Fingers。
都並:え? おかしいね、それ。もっと日本っぽい名前つければいいのに。
北澤:握りでしょう。
中西:箸とか指を使って食べるじゃないですか、日本料理って。だからFingers。
都並:ひねりすぎ。
中西:ジャパニーズじゃないんですよ。イタリアンとブラジルとジャパニーズをミックスしたような感じ。料理は例えば、うなぎを巻いた寿司で、その海苔がパパイヤなんですよ。「これは絶対ない!」と思った。
都並:それちゃんと言った?
武田:言わないと。
中西:「絶対ない!」と思ったんですけど、食べたらうまかったんですよ。
武田:えーっ? それ日系人のシェフでしょ。
中西:本当においしかったです。うなぎのタレが甘いじゃないですか。だから、全然合うんですよ。
北澤:今、海外は寿司ブームだもんね。すごくジャパニーズが流行っている。
武田:でも、あそこの店は高いんだよ。1人2万円か3万円だよ。
中西:だって、セレブっぽい人しか来てなかったですもん。
武田:そこで働いてる人が日系人で、ラモスさん(瑠偉)の友達だったの。外苑前でブラジルレストランをやってて、辞めてイタリアに行ったみたい。でも高かった、めっちゃ高いよ。びっくりしたもん金額見て。日本より高い。ホント。
中西:僕は撮影しただけだったんですけどね。びっくりしたんですけど、セードルフはものすごく性格がいいんですよ。
北澤:セードルフはいいね。
中西:優しいし、丁寧だし。あんなすごい選手なのにこんなに性格よくていいのかってくらい。びっくりしました。ミランに行って一番びっくりしたことです。超優しいですよ。
北澤:チャンピオンズリーグを世界で一番取ってる男だから。
中西:そうですよ。しかもビッグイヤーという「UEFAチャンピオンズリーグ」のトロフィーがあるんですけど、それをアフリカの子供たちに見せたいといって、ACミランのガリアーニ副会長か誰かに掛け合って、オフの期間に自分のオフをやめて、それを持ってアフリカでずっとチャリティのツアーをやってる。
都並:できてるねえ。
中西:「できれば世界中でチャリティやりたい、日本でもやりたい」って。日本が好きで、味噌汁が好きらしいです。味噌汁、大好きなんですって。
北澤:ACミランの10番ですよ。
中西:その模様は明日(11月29日)「ズームイン!!」で朝7時15分ぐらいから流れるんですけど。
北澤:番宣が入ってたね。
中西:結構面白いところ出てきますよ、そのVTR。セードルフもそうですけど、いい選手はすごいですね。
都並:人間ができてますね。
中西:すごいですね。僕は会って感動しました。でも、ロナウドは機嫌悪かったですね。微妙に。
北澤:微妙に。
中西:人間だから機嫌悪いこともあると思いますけど。ちょっとナーバスになってるような。復帰して、ちょうど全体練習に合流したところだったんですよ。ナーバスでした。でも、プレーはすごいですよ。
都並:インザーギ(フィリッポ、ACミラン)はいい人? 試合中に見てると、スカしてる感じだけど。あとは「自分が!」というのがモロにあるから。サッカーではそれでいいんだけどね。普段も知りたい。
中西:僕インザーギとは話してないです。たまたま会わなかったです。
武田:インザーギ、いい人ですよ。いい人と悪い人と判断が難しいんですよ。
都並:英語じゃなかったの?
会場:笑い
武田:やっぱり取材っていうのはいろいろあるんですよね。簡単にできる選手とできない選手と。インザーギはカメラ回ってない時は全然気さくに喋ってくれたりするんですけど、カメラが回ってると喋らないですね。ロナウドもそう。カメラが回ったり、仕事になっちゃうとダメです。普段は仲良く楽しくやってる人なんですよ。ただね、仕事になっちゃうと。やっぱりいろいろあるんじゃないですか。
都並:武ちゃん、インザーギ好きじゃない。あのプレースタイルと似てるよね。
武田:期待してるんだけどね。
中西:大事なところで点を取るの、必ずインザーギですからね。いくらいろんなストライカーが周囲にいようと、結局インサーギが取ってますからね。
都並:「俺が、俺が!」というのは大事なんですよ。
武田:でも、試合に出ていない次の日の練習でも、インザーギとロナウドの2トップ、ちゃんと一生懸命練習してますよ。インザーギは一番最初に来て、サブ組だけどチャンピオンズリーグで得点取ったのに、セリエA は出なくてもちゃんと1人で練習してますから。全然ちゃんとしてるから。やっぱりさすがだなと思いますけどね。
都並:たまにちゃんとやらない人もいるもんね。好印象だな、インザーギ。
武田:インザーギというよりも、ヨーロッパのチームで練習をしっかりやらない人ってあんまりいなくないですか。
都並:いやぁ、いますよ。俺はインテル・ミラノ(イタリア)の合宿に行った時は、ビエリ(クリスティアン、フィオレンティーナ)って奴に驚いちゃったよ。ふざけた奴だけど、すごい巧い。
会場:笑い
都並:初めて目の前で見て、いやもう驚いた。ゴリ押しのタイプのストライカーだと思ってたのが全然違う。要はインザーギみたいに、一瞬にして裏を取るのがものすごく巧い。グラウンドで初めて目の前で見たらわかった。後ろ向きながらフッと動いたり。ボールの受け出し、引き出しが抜群に巧い。だから点を取れるんだなと思いました。
中西:ここはどっちが勝つって決めるのも何ですけど、まぁ普通に行けばACミラン。
都並:レッズにも頑張ってもらいたいですけど、下馬評はミラン。
中西:僕は結果もそうですけど、どれくらい出来るかっていうのが一番見たい。そして最初の始まりがどうなるか。導入がちょっと注目かなと。どういうメンバーを組んで、どういうシステムで来るか、ガットゥーゾが誰をつぶしに来るかとか。
都並:田中達也とかさ、後半でもいいから出て来て、キュキュッと勝負して欲しいよね。
北澤:気持ちいいよね。
都並:ネスタ(アレッサンドロ)とかキリキリ舞いにしてほしいよね。
中西:日本人でちっちゃくてもキュキュッと行けるんだよというのを見せて欲しいですよね。そして最後、3位決定戦もありますけど、決勝戦(2007年12月16日、横浜国際総合競技場)ですね。まぁ普通に行けばボカ・ジュニアーズ対ACミランなんですけど。武田さん、これまで2回やって、過去2大会ともリバプール(イングランド)とバルセロナが勝つんじゃないかと言われていましたが、南米が勝ったんですよ。これは何ですか。
武田:やっぱりヨーロッパは日程とか試合が忙しくて、この大会へのどちらかというと力とか、気持ちの油断。前回で言えばバルセロナが準決勝でバーッと勝って、決勝になったらみんな動かなくて、逆にブラジルのチームがやってきて、1-0で負けちゃったりとかいうのありますけど(2006年12月17日、横浜国際総合競技場、インテルナシオナル1-0バルセロナ)。これまで海外で取材させてもらったんですけど、今回に関しては、本当にミランの気合いの入れ方が半端じゃないんで。実際に現地に行って体験してみて、ミランがこの大会にかけてる思いというのは相当なものがあるので、そんな簡単には南米も勝てないなというのは直に思います。今回の決勝は本当に面白い試合になるなと思いますし、それでもしミランが勝つとしたら、またロナウドが動かないで横浜で点を取っちゃうのかな、おいしいところを持ってっちゃうのかなというイメージもありますね。ロナウドも、この大会のためにコンディションを整えてこの間試合に出ましたし、調整してますから。
中西:ここに合わせてきてますよね。
武田:一発というのがありそうな気がします。今年の決勝は今までの大会の中で、ヨーロッパのチームが本当に燃えているので、非常に僕は楽しみです。
中西:都並さん、どうですか。
都並:本当に同じ意見ですね。南米のチームは「コパ・リベルタドーレス」(南米クラブチーム選手権)に勝った瞬間から、ヨーロッパのチームを倒すためのシミュレーションができてきているんですけど、それがタイムラグというか、ヨーロッパのチームの方はそうじゃない。でも、現場でインタビューすると、ヨーロッパの方はあまり南米を気にしていないし、ましてやアフリカなんて気にしてないし。南米に行けばヨーロッパはすごく知ってるけど、アフリカは全く知りませんとか。逆にだから、例えばパチューカやボカが、エトワール・サヘルに足をすくわれる可能性も充分あると思うんです。試合というのは本当に紙一重の世界で、実力的にはひとつ下だとしても、スカウティングの仕方や、相手チームの持っている強い部分を消すことによって、だいぶ試合の戦い方が変わるじゃないですか。
中西:ええ。
都並:昨年のバルセロナであれば、ロナウジーニョはとにかく強いと。ここをどうやって消すかと。インテルナシオナルはしっかりと考えて、なおかつサイドバックを上がらせることによって、そこでチャンスを作るというのは完璧にそう。
中西:そうですね。
都並:バルサは自分たちのやり方でやろうとして負けちゃった。そういう部分ですよね。その前のボカとミランの試合(2003年12月14日、横浜国際総合競技場、ACミラン1(PK1-3)-1ボカ・ジュニアーズ)でも、ボカのビアンチ監督と僕は親交があるから、情報を聞きにいったけど、あの時のミランはセンターバックとボランチの間に距離が少し空くと。ガットゥーゾたちがプレスに来るから。そこで絶対に距離を作って、テベス(カルロス、イングランド・マンチェスター・ユナイテッド)だけ張って、あとは離れていろという指示があったらしいけど、そこでとにかくキープっていうのを決めて、そこでチャンスを作ってるんですよ。そこでチャンスを作って、みんなで出ていく。普通だったらセンターフォワードにパスが入った時に近くにサポートに寄れっていうんだけど、近くに寄ったら中盤も寄っちゃうから「離れておけ」という指示。それが、ずっと練習でもイメージができてるわけですよ。
中西:へえー。
都並:あるいはその前のトヨタカップの時代に、レアル・マドリード(スペイン)がボカとやって、ボカが2-1で勝ったゲーム(2000年11月28日、国立競技場)。リケルメからパレルモにパーンとパスが出たデーム。その前に僕はちょっと縁があって、ボカのBチームとして練習試合に出させてもらってるんですけど。
中西:ホントですか?
都並:「2人足りないから、ちょっと日本人の選手を呼んでくれ」って、ボカの関係者に呼ばれて。俺と岩本輝雄(元日本代表)が京王プラザに行って、バスで一緒に行って、紅白戦のBチームのロベルト・カルロス役で出て。
会場:笑い
都並:ホントですよ。Aチームだけはビアンチ監督のもとでミーティングしてて、Bチームはグラウンドで普通にやって、コーチから「とにかくお前はロベルト・カルロス役だから、サイドからガンガン上がれ」って言われて、「わかりました」って。もう引退してたんだけど、「いいや、関係ないや」って。多摩川の陸上競技場で、朝の8時くらいから誰にも見せないようにして。
中西:そうなんですか。
都並:それでやってることは、ボカのサイドバックのウーゴ・イバーラって、あんなに上がるディフェンスでしょ。普通リーグではガンガンにオーバーラップする選手が、1回もオーバーラップしないで、要は俺に上がらせるわけです。そこで俺からのパスを取った瞬間にスパッと逆サイドに蹴る。その練習ばっかりしてるんです。実際に行ってみると、それで決まってますからね。そのぐらい準備に余念がない。
中西:ほぉ。
都並:これはでも、ACミランも「チャンピオンズリーグ」では当たり前にやっていることが、今までは「クラブワールドカップ」ではしてなかったと思うんです。格下のチームだから、普通にやれば勝てるだろうと。でも今回のミランは絶対やりますよ。絶対、どのチームに対しても。そのぐらいの熱意を感じるし。力のあるチームでも、その準備をしなければ勝てないのがサッカーですから。
武田:今回ミランはレオナルド(元ACミラン、ACミラン出資の財団フォンダツィオーネ・ミランのゼネラルセクレタリー)がいるからね。そのへんのブラジルのワシントンやポンテ(浦和レッズ)の情報もチームに入ってくるだろうし。情報はすごいと思いますよ。
北澤:決勝の予想で言ったら、堅い試合になるんじゃないですか、やっぱり。1、2回目の大会を見ていても、決勝戦で負けた方はかなりがっくりしてるからね。準備がどうとか言われてるけど、ヨーロッパだってやっぱり準備して来てますよ。タイトルを取りに来てる。試合の戦い方としてどうするかというところが、ちゃんとした研究をして同じように入るから。一瞬にゴールが生まれるような決勝戦になるのは間違いないと思います。3位決定戦の方が少しアグレッシブな戦いになるかなと思いますけどね。だから盛り上がった試合とか、魅力的な試合を見るんだったら、準決勝の方がいいかもしれないけど。決勝戦の見方としてはそういう心づもりでいないと。「もっと派手な試合見たかったぜ」というよりはそうなると思う。それがサッカー的に見るなら面白いところじゃない。「この試合、見ててどこで決まるんだろう?」って。
中西:均衡が崩れる場面でね。
北澤:そういう緊張感のある試合になるのは間違いない。
都並:この間の北京オリンピックの最終予選(2007年11月21日、国立競技場、U-22日本代表0-0U-22サウジアラビア代表)みたいな。我々からしたら超面白い試合だったけど、サッカーがわからない人にはつまらないっていうかもしれないし。あのへんが面白いと感じてくると、日本のサッカー文化も少しレベルアップしてくるかと。
中西:ただ今回は、みなさんおっしゃっているようにACミランは本気だと。これは向こうに練習を見に行っても本当に感じたことですし、彼らはこのタイトルを取りに来ているし、その準備もしっかりしてきている。南米のボカ・ジュニアーズにとっては、従来の大会よりも難しい大会になることは間違いないでしょうね。お三方に試合の展望をしていただきました。それではここで質問コーナーに移りたいと思います。
客1 :今大会の注目選手を1人挙げるとしたら誰ですか。
北澤:1人か・・・。困るよね。
中西:敢えて。
北澤:ミランのジャージを着ていて言うのは何なんだけど、ボカのバネガ。
都並:渋いところにきたね。
北澤:19歳なんだけど、自分として身長が170cm前後の中盤の選手ってすごく気になる。
司会:同じようなタイプで。
北澤:そう。メキシコの選手もそうだけど、アルゼンチンのボカの24番バネガ。この間のU-20の大会でも活躍したし。
中西:武田さんは?
武田:僕はやっぱりフォワードなんで、ミランはインザーギもいるしロナウドもいるし、ボカにはパレルモとかいろいろいますけど、ACミラン対カリアリでしたっけ、ロナウドがまだコンディショニングがベストじゃなくて、結構倒されたりしてましたけど、やっぱり面白いよね。あまり動けないけどあのへんがフィットして、ゴール前の1対1のスペースがないところで、どんなうまい動きをするのかなと。ちょっと昔なんですけど、昔ゴール前にエジムンド(元ブラジル代表)という選手がいたんです。動かないんだけどゴール前の技が巧かったんですけど、そういった意味でロナウドが出て1トップでやった時に、相手のディフェンスの中でどういうふうにコンディションを上げてシュートを決めてくれるかなという期待で、僕はロナウド99番。
都並:僕はパチューカのカチョ(フアン)。パチューカの躍進のためにはこの人のゴールが必要不可欠なので。この人は点が来そうにないところで決めてくれます。なので、劣勢の試合でも攻勢の試合でも、この人が入れることによってパチューカは勝っていけると。期待してます。
司会:渋いですね。カカが出てこなかった。もうわかりきっているということですね。北澤さんがバネガ、武田さんがロナウド、都並さんがカチョということですよね。
中西:僕も言っていいですか?
司会:あ、中西さんお願いします。そうですよね。
会場:笑い
中西:そうですよ。僕は「ズームイン!!」でしかやってないですけど、精一杯やってるんですよ。
北澤:結婚もしたしね。
中西:関係ないじゃないですか。
司会:おめでとうございます。拍手、拍手。新婚ホヤホヤです。
会場:拍手
北澤:どうなの新婚生活は。
都並:芸能レポーターみたいだな。
中西:一応昨日はみんなで家で鍋しました。
武田:ほーう。
都並:みんなで?
北澤:呼ばれてないぞ。
会場:笑い
都並:なに鍋?
中西:海鮮キムチ鍋。
武田:いいねぇ。
都並:幸せそうだねぇ。
中西:友達とやったんですよ、プロゴルファーの近藤智弘っていう。今賞金ランキング5位なんです。
都並:華やかな生活だねぇ。英語だよ、多分英語。
会場:笑い
司会:次の質問に行きましょう。
中西:飲みに行くといつもこういうふうにするんですよ、僕のこと。
司会:そんなことないです。ちゃんと先輩を立ててますから。
北澤:誰、注目は?
中西:僕はピルロ(アンドレア)。僕はACミランはピルロのチームだと思うんですよ。彼はボランチの選手なんですけど、ものすごくテクニックもあるし。ちょっと引いたあの場所で組み立てる能力ってすごいし、ピルロがいるからACミランはボールキープ力もあるし、カカも活躍できると思うし。
北澤:代わりがいないもんね。
中西:本当に代えのきかない選手。右足も左足もどっちも同じように扱える。こんな選手は珍しいし、あとはフリーキック。あのフリーキック何とかして欲しいですね、ヤバい。
北澤:この間決めちゃったね、こぼれ球。
中西:あれはすごいですよ。ジュニーニョ・ペルナンブカーノ(フランス・リヨン)もすごいけど、ピルロの無回転フリーキックはすごいですよ。あれはぜひ見て欲しい。一見の価値あり。
客2 :もちろん仮想になりますが、注目のマッチアップを教えてください。この人とこの人との対戦になったらこれは見逃せないという。私は個人的には、ガットゥーゾと闘莉王がユニフォーム交換してくれたらいいなと思ってるですが。
都並:シロウトとは思えない滑舌ですよ。本当はサクラじゃないですか?
司会:どんなお仕事をされてるんでしょうね。
都並:質問がなかった時のために仕込んであったとか。
武田:台本にあった?
中西:ないですよ。何言ってるんですか!(笑)
北澤:何だっけ?
中西:マッチアップ、どうですか。このマッチアップが楽しいとか。
都並:リケルメがいればなぁ・・・ガットゥーゾと最高だったんだけど。
中西:僕はロナウドと闘莉王をちょっと見たいですけど。どうなるんだろうみたいな。
都並:僕は渋いんですけど、パチューカでずっと行ってるんで、さっきカチョと言ったんですけど、名前は知られていないんですが華やかなフォワードなんですけど、実はボカのバネガみたいに、ボランチのところでハイメ・コレアとガブリエル・カバジェロという選手がいるんです。コレアっていうのはメキシコ代表のエース殺し。どのゲームも相手のキープレーヤーにガツガツと付くようなタイプです。それが例えば、ボカとやる時にリケルメに張り付いたら面白いだろうなと思ってたんですけど、リケルメが来られないだろういうことで。ここでリケルメの代わりに入ったレアンドロ・グラシアンというボカの選手がいますが、そのへんのマッチアップが渋いところでは、個人的には期待しています。ちょっと注目の選手なので。
武田:僕も中西くんが言ってたみたいに、やっぱりイタリアのサッカーってフィジカルの強さだと思うんですよ。大黒くん(将志、トリノ)の関係者の人とも向こうで会ったけど、大黒くんはテクニックとか巧いんですけど、やっぱり「フィジカルコンタクトはイタリア人の方が上だから出られない」って言ってましたから。そのフィジカルコンタクトが、Jリーグのレベルでは浦和がトップなわけじゃないですか。あれがガチンコでぶつかった時に、どれぐらいのレベルの差なのかと僕は思いまして。特にレッズは国内のJリーグで戦う時と、AFC チャンピオンズリーグの予選で韓国とかアジアのチームと戦う時は、Jリーグのようにスピードとプレッシャーがなくてどちらかというとゆっくりやらせてくれるのと、韓国とやるのとでは、レベルの差じゃないですけど、いつもレッズは最初手こずるんですよね。そういった意味では、日本のトップの浦和レッズが、どれだけぶつかり合いでガチンコでやれるのかなっていうのが非常に楽しみですし、期待できるし。日本のレベルがわかるんじゃないかなと僕は思います。特に、ロナウドの体を闘莉王が押さえられるのかなというのを楽しみにしています。
中西:北澤さんは?
北澤:誰と誰というより、カカを誰が見るのかっていうのが気になるよね。今、世界一の選手だし。レッズにしても誰が付くのか。勝ち上がった時にも、ボカでは誰が見るのか。多分バタグリアだと思いますけど。あそこを止めないと、どうにもならないと思うので。あとはマッチアップじゃないんだけと、見方としてはセンターバックがいろいろ出てきてるじゃないですか。センターバックが安定しているチームって、勝ち残っていくんですよ。ミランも今センターバック2人が調子悪くて、点を取られるじゃないですか。力はあるんだけど。そこが勝負のポイントになると思いますね。
中西:決まらないですもんね。
北澤:ボカもそうだし。逆に言えば、レッズの方がいいんじゃないのと思ったりするんだよね。カチッとしてるから。
都並:じゃ、セパハン?
北澤:そうだね。
都並:あれいいじゃない。
北澤:全体にセンターバックの中央線が高いからね。
中西:ペレイラ(元ヴェルディ川崎)と柱谷哲さん(元ヴェルディ川崎)。
都並:強かったねぇ。井原(正巳、U-22日本代表コーチ)と柱谷も強かったね。恐かったなぁ。
会場:笑い
北澤:恐いね。
中西:強いチームって必ずそういうのがあるじゃないですか。
都並:あるある。
中西:僕がグランパスで一番強かった時だと、トーレスと大岩選手(剛、鹿島アントラーズ)。バチッとしっかりしてたじゃないですか。
都並:センターは大事だね。
中西:そういうのは絶対ありますよね。いいセンターバックが2人いるということは。
北澤:どうしても前にばっかり目がいっちゃうけどね。
都並:永井(雄一郎、浦和レッズ)と、1対1でカラーゼ(カハ、ACミラン)とか見てみたい。
中西:カラーゼは、練習を見に行ったらものすごい勢いで相手を削ってましたよ。ズゴーンって。練習でそこまでいっていいのかって。
都並:深いよね。
北澤:あれが普通なんでしょ。恐ろしいよね。
中西:恐ろしい。何でヨーロッパの人ってああなんでしょうね。本気じゃないですか。日本ではやらないですよ。根こそぎ来ますよね。僕、アーセナルの練習見に行った時に一緒に練習させてもらったんですけど、僕にでも来ますからね。レイ・パーラーっていう選手が昔いたんですけど、ズゴーンって思いっきり削られました。関係ないですからね。スライディングとか。
都並:日々そういうのを普通にやってるからでしょうね。
中西:だから、みんなヒラリヒラリとかわしますよね。ポーンって。攻撃の選手も素晴らしいけど、今回はディフェンスの選手も能力の高い選手がいますから。マルディーニも円熟味を増してますけど。彼を現役で見られるのは、もしかしたら最後かもしれませんから
司会:まだまだお話をうかがい所ですが、残念ながら時間となりました。最後にみなさんから一言ずつお願いします。
中西:では、北澤さんから。
都並:年功序列? じゃ俺が締めると。
北澤:みなさん、ありがとうございました。12月7日に開幕します「クラブワールドカップ」、チケットもまだ売っていますし、生で見るとその時によかったなと思うこともあるし、少し経ってから「あぁ、あの試合に行っておいてよかったなぁ」と思うことにもなると思うので。日本で開催される意味というのはとてもいろんな意味があって、もちろん生で試合が見られるということもありますけど、今後日本でいろいろなサッカーを見たいという時に、大会をここで成功させておかないといけない。みなさんの協力をいただければ、またみなさんの好きないろいろなサッカーが見られるんじゃないかなと思います。今日はありがとうございます。
武田:本当に今日はお忙しい中、足を運んでいただいてどうもありがとうございました。北澤さんも言ったように、今回3回目なんですけど、「クラブワールドカップ」は来年もまだあるわけで、この大会を本当にみなさんで、お客さんが入って盛り上げることが継続していけることだと思います。本当にみなさんの力なしでは、この大会がひょっとすると他の大陸に行っちゃうかもしれないので。そういう意味では本当に僕たちは解説者という立場でしっかり伝えていきたいと思いますし、浦和の選手も頑張りますし、みんなで協力して、この大会が大成功に終わって、また来年も気持ちよく日本で開催できるように、日本のみなさんと頑張っていきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。
都並:2時間ありがとうございました。今日は我々の拙い情報や解説等を聞いていただいてありがとうございました。今大会は個性的な魅力あるチームが揃っておりますので、それぞれに注目して、自分なりの楽しみ方を見つけていただければと思います。我々は解説陣として、さらに注目を持っていただけるように頑張って参りたいと思います。応援よろしくお願いします。短い間でしたけどありがとうございました。
会場:拍手
司会:お三方に改めて大きな拍手をお送りください。北澤豪さん、武田修宏さん、都並敏史さんでした。ありがとうございました。
会場:拍手
司会:中西さん、あっという間の2時間でしたけども。
中西:いつも2時間長いかなと思うんですけど、一瞬で終わっちゃうんですよね。いかにお喋りが尽きないか。
司会:グルメの話も出てきましたし、サッカーの話もふんだんに。
中西:はい、楽しかったですね。大会を見るのがすごく楽しみになりましたし、北澤さんや武田さんもおっしゃってましたけど、来年までは日本で開催することが決まっているんです。それ以降は他の大陸に行く可能性もある。そのへんをすごく危惧していますし、僕らの使命としては、この大会はずっと「トヨタカップ」として残ってきたわけで、ずっとヨーロッパと南米のトップレベルの試合を見るのは、僕らが子供の頃はすごく貴重な機会だったわけです。この機会を、ぜひとも世界のどこに持って行かれるわけでなく日本に残していきたいですし、それが僕たちサッカー界の人間のやるべきことだと思っているので。その責任の一端をみなさんも担っていますし、世界のサッカーを日本で見られるわけですから、もし時間があればお友だちを誘っていただいてぜひとも足を運んでもらって、チャンスがあればテレビでもご覧いただけますので。今日の司会の田邉さんは土曜日に「うるぐす」で、僕は「ズームイン!!」で明日の朝もやりますけど、ぜひそういうのを見ていただいて、気持ちを高めていただいて。僕は土曜日(12月1日)に特番も日本テレビで、昼2時半からやります。ミラノの模様とかアルゼンチンの模様とか見られますし、ぜひ気持ちを高めていただいて、本番までにいい情報を一杯得て、大会を楽しんで欲しいと思います。今日はせっかくですから、ぜひこのベンチにすわっていただいて。選手が実際に座る椅子ですから。記念ですし、「本番はこういう椅子なんだよ」ということをぜひお友だちに伝えてください。本当に今日は短い時間でしたが、熱心に聞いていただいてありがとうございました。これからもぜひ日本テレビ、そして「クラブワールドカップ」をしっかり見てください。お願いします。
司会:進行役は中西哲生さんでした。どうぞみなさん拍手でお送りください。
会場:拍手
司会:楽しく進めてまいりましたぴあトークバトルも、そろそろ終わりの時間となりました。みなさんお忙しい中の2時間、お越しいただきありがとうございました。中西さんが言ってましたけど、最後にもし座りたい方がいらっしゃいましたら、この椅子に座って、感触を楽しんで帰っていただければと思います。本日はどうもありがとうございました。
会場:拍手

取材・構成/CREW 撮影/新関雅士

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