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ぴあトークバトル スポーツ快楽主義2007 vol.61
どうなる!? トップリーグプレーオフマイクロソフトカップ
トップリーグ上位4チームが真の日本一を目指し戦う「マイクロソフトカップ」。
雨の日にも関わらず熱きラグビーファンが集い、各チームの監督が最終討論に挑む。
2月12日(火)の青山ベルコモンズ9Fクレイドルホールでは大勢のラグビーファンが見つめる中、
各チームの監督たちのトークもヒートアップ。日本一の称号を決める「マイクロソフトカップ」はどこのチームにもたされるか!?
 決戦を前に監督たちが繰り広げたトークバトルをどうぞ!

<ホスト>
村上晃一(ラグビージャーナリスト)
87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より同誌編集長。98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。ラグビーマガジン、ナンバー(文藝春秋)、スポルティーバ(集英社)などに主にラグビーについて寄稿。現役時代のポジションは、CTB/FB。京都府立鴨沂高校卒業後、大阪体育大学に入学。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。現在はスカイパーフェクTV J SPORTSのラグビー解説も98年より継続中。99年、03年のワールドカップでは現地よりコメンテーターを務めた。

<ゲスト>

宮本勝文(三洋電機ワイルドナイツ監督)
1966年3月19日生まれ。同志社大学出身

清宮克幸(サントリーサンゴリアス監督)
1967年7月17日生まれ。府立茨田高校/早稲田大学出身

石井龍司(トヨタ自動車ヴェルブリッツ監督)
1970年3月13日生まれ。三好高校出身

瀬川智広(東芝ブレイブルーパス監督)
1970年10月21日生まれ。明石西高校/大阪体育大出身


後編
村上:これも去年の話ですけど、去年から実は「三洋だね」なんて話していたんですよ。去年のシーズンは、サントリーが三洋に30点くらいの差をつけて勝ったんですね(2006年10月15日、群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場、サントリー41-16三洋電機)。たぶん昨シーズンのベストゲームだったと思うんですけど。その試合の後に宮本さんとトニー・ブラウンが記者会見して、「これで僕たちが目標とするチームができました。サントリーは素晴らしいチームになりました」とコメントしたんです。なかなかそういうことはしないから。要は負けた相手をその場で認めて、「自分たちの来年の目標になった」っていうコメント聞いて、あぁこれは恐いなと。
村上:実際その通りになったと。そういうコメントも記者会見の場で聞いているわけですか?
清宮:いや、聞いてないけど何か記憶に残ってる。
村上:記者会見に出たのかと思った。割と細かいところ見てますよね。
清宮:いやいや。だって好きなことは頭に残るでしょ。ラグビーの話じゃなかったら全然記憶しないんですけど。
村上:瀬川さん、何か言いたそうですけど。
瀬川:あの、去年最終戦で三洋さんと東芝があたったんですよね(2007年1月14日、秩父宮ラグビー場、東芝66-30三洋電機)。それこそ私たちがベストゲームに近いような形で勝ったんですけど、同じようなコメントをトニー・ブラウンが。「ここ数年、国内で東芝に勝てるチームはないだろう」と。
会場:笑い
瀬川:だから今「えっ?!」とちょっと思いました。
村上:「ここ数年ないだろう」って言って、次の年にその東芝に41-0で勝ってるんだから(2007年12月16日、栃木県グリーンスタジアム)。
瀬川:監督が替わったからですかね。
宮本:いやでも素直にサントリーの試合が終わった時は、トニー・ブラウンと「これは勝たれへんで」って。ブレイクダウンの強さ、スピード、これはやっぱり来年しっかりやらんといかんなと。まぁ今年やっつけようという話ですね。東芝の時もやっぱり、コテンパンにやられましたからね。「これは勝たれへん、相当やらんとあかんで」と話してて。まぁそういう意味ではすごく目標がはっきりした。サントリーのスピードとブレイクダウン、東芝のブレイクダウン。これに勝てるチームにしようという目標が明確にできましたね。
村上:そこが今年追いついたと。
宮本:そうですね。やっと追いつけたかなと。もちろん追い越してはいないので、やっと追いつけたかなと思っています。
瀬川:実際僕たちも三洋さんとリーグ戦であたった時、13回ブレイクダウンですね。
村上:今年、三洋は多いですね。
宮本:去年も実は多かったんですよ。ターンオーバーした数は1位なんですけど、ターンオーバーされた数も1 位なんですよ。
会場:笑い
村上:雑やね。
宮本:そういうことなんです。そういうのもあって、もっと精度を上げていこうと。それとやっぱり個々の強さですよね。
村上:では次の質問に。「マイクロソフトカップに向けて、秘密兵器、奇策を用意してい」。用意している人から、清宮さん。
清宮:まぁ、みんな上げないかなと思って上げただけですよ。
会場:笑い
村上:何か一応考えているんですか?
清宮:うちは毎試合、リーグ戦もそうですけど、同じゲームプランは用いないチームですから。そういう意味では全試合変わっていくというか。
村上:これまで見せたことのない戦術を使ったりすることもあるんですか。
清宮:あぁ、そういうことは毎試合用意していますね、リーグ戦でも。
村上:石井さん、そのへんはサントリーを分析していても多彩だなと感じますか。
石井:そうですね。やっぱりしっかりと事前にいろいろな情報を基にゲームを組み立てているなと感じます。
村上:でも、石井さんもサントリーに秘策を・・・
石井:僕は考えてません、というよりも「トヨタのラグビーってこんなんや!」というのを作らないといけないのかなと。相手に合わせて柔軟に対応できるほど、まだうちの選手は器用じゃないので。ちょっとここは自分たちのスタイルを貫く方に走った方がいいんじゃないかなと僕は感じています。
村上:選手のコンディションはどうですか。ケガ人も戻って来たんですか。
石井:そうですね、だいぶ戻ってきまして。
村上:ケート選手(ダニエル)とか。
石井:調子が上がってきました。
村上:おっ、出そう。
会場:笑い
村上:ライダー(ウィリアム)とかセコベ(レアウェレ)とか、あのへんの選手はどうですか。
石井:元気よくなってきましたね。
村上:元気ですか。
石井:はい。もう今はケガ人というケガ人はいないんじゃないですかね、ここへ来て。
村上:じゃベストメンバーで。
石井:そうですね。タマティ・ホルアがプレーできなくなり、彼以外は全員元気にグラウンドに立ってますね、はい。
村上:清宮さん、何か情報は?
清宮:先週まで松葉づえついてた人がいましたけどね。
会場:笑い
村上:それが正面選手?
清宮:でも、それでもプレーができるのがラグビーですから。ここにいらっしゃるみなさんは、半分くらいは松尾雄治( 元新日鉄釜石) の最後の日本選手権を見て涙した人たちですよ。
会場:笑い
村上:半分ぐらいそうですか?
清宮:でも、そういうのがあって当然だと思います、僕は。それでも出なきゃいけない試合ってあると思うし。
村上:そうですね。
清宮:そういう意味で、今正面はスタンドオフで成長途上なんですけど、本当に日本人で10番背負うプレーヤーですよ。育って欲しいですよね。それにはやっぱりいろんな経験が必要でしょ。だからまぁ、彼は今度メンバーに入るんじゃないですか。
会場:笑い
村上:瀬川さんは秘密兵器、秘策は?
瀬川:そうですね、もしやるんだったらもっと早く使ってたと思うんですけど、特にそういうものも正直ないです。ただまぁ、これから当たるこの3チームに関しては1回戦った相手ですし、そういう意味では自分たちの強味弱味っていうものもはっきりしましたから。そこをしっかりと分析した上で、自分たちの持ち味というのを出していきたいですね。そのゲームに合わせた作戦というのはもちろんあります。
村上:原点に戻る感じなんですか?
瀬川:そうですね。先ほど言ったブレイクダウンの話が、昨年戦ったという中で目標にしていただけまして、リーグ戦で戦った時には完全にやられてしまいましたので。全く継続して攻めさせてもらえなかったというのがありましたので、もう1回サポートとか、そういう部分から見直して試合をしたいと思います。
村上:正面選手はケガでいなかったですからね。
瀬川:はい。
村上:富岡(鉄平)選手は非常に元気だという話を先ほどされていましたけど。
瀬川:私はキャプテンをやってことがないんですけど、富岡はキャプテンという重責を5年間背負ってきまして、今回廣瀬に代わりまして、どういうふうな形でラグビーをするかなと思って私も見ていたんですが、純粋にラグビーに取り組んで、今はそれこそ心からラグビーを楽しんでいるというんですかね。一つ一つのプレーに対して喜んだり怒ったり。もともと純粋な人間ですけど、今まで以上に楽しんでいますね。以前はキャプテンとしてチームをまとめなければというのがあったんですが、今は富岡鉄平としてラグビーを楽しんでいるんだろうなと思います。
村上:でもペナルティキックになると、時々「ショット!」とか言ってるらしいよ。
会場:笑い
瀬川:僕の中では、ペナルティもらったら攻めたいというのがあるんで、あいつが外側から寄ってくると「富岡は離れてていいから」って。
村上:「ショット!」って言うのはキャプテンの仕事なんですよね。5年間もやったらそうなりますよね。廣瀬選手もそう言ってましたね。宮本さんは奇策は特にないですね。
宮本:特にないです。あんまり頭が良くないんで引き出しもないし。基本的には選手に任せています。
村上:そのOB的な視点はどうなんですか。
宮本:いや、出てやるのは選手だし。
村上:本当に榎本キャプテンがしっかりしましたよね。
宮本:いや本当にね、榎本キャプテンがチームを引っ張って、三宅(敬)、相馬(朋和)という副キャプテンがそれをサポートして、トニー・ブラウンがゲームメイクをしてと。ほとんどしゃべることがなくなりましたね。
村上:榎本キャプテン、頭はちょっと爆発してますけど。
宮本:あれはね、去年サントリーの試合の直前の練習でケガしたんですよ。それから本人は復帰するまで髪の毛を切らないと。ずーっと1年間伸ばしてボサボサだったんですけど、切ったらよかったんですが復帰した時の試合で勝ってるんで、それを考えると余り切れないんでしょうね。最初に勝ったぐらいの長さをずっと維持してるみたいですね。
村上:ゲンかつぎの頭なんだ。
宮本:ゲンかつぎ。本当はずっと丸坊主だったんですけどね。あれは天然パーマなんで、別にパーマかけているわけじゃないです。
村上:あれ天然? ホントですか?
宮本:天然。伸ばしてああなった。
村上:ホントですか?
宮本:ホントに天然パーマ。ウソついてもしゃあない。
村上:ファッションだと思ってた、ずっと。すみません。では「自分以外の3監督の秘密を知っている」。清宮さんがYES と。誰の秘密を握っているんですか?
清宮:いや、誰でも。
村上:じゃ、ちょっと順番に。
清宮:順番にはないですよ。言うなら1人だな。
村上:誰ですか?
清宮:う~ん。
会場:笑い
清宮:次の対戦相手の石井君。
会場:笑い
清宮:僕は彼とはほとんど接点がないんですね。現役の頃,試合を何度か一緒にやったくらいで。見ての通り寡黙じゃないですいか。「昭和のおやじ」みたいな。
会場:笑い
清宮:僕のチームのスタッフに沢木敬介(バックスコーチ)というのがいて、「あいつどういう奴だよ?」と聞いたら「見た通りだよ」って。彼は石井君と日本代表で一緒だった。「どう、何かいろいろしゃべった?」、「全くしゃべってない」って。「あぁ、そういえば寿司屋に一緒に行ったことがある」。石井君、覚えてない? 「一緒に寿司屋に飯食いにいったら何かいろいろしゃべるだろう?」って聞いたら、「ウニ」、「イクラ」だけですって。村上:ネタだけ?
清宮:「それぐらいしかしゃべったの覚えてない」って。大爆笑しました。
村上:でも、石井さんは飲むと意外にひょうきんだっていう話ですけど。
石井:まぁ、ぼちぼち。
村上:さっきの記者会見でも一番笑い取ってましたもんね。
石井:そうですか?
村上:意外に受けてましたよ。
石井:頑張ります。
村上:他の秘密は?
清宮:やめときましょう。
村上:宮本さんとは高校の時に対戦したことがあるんですよね。
清宮:そうです。僕が高校1年で、宮本さんが高校3年。
村上:宮本さんが大阪工大高校、清宮さんが茨田高校。その時、宮本さんは苦い思い出があるんですって?
宮本:全国大会の予選の準決勝だと思うんですけど、膝にタックル入られて、左の前十字靱帯を切りました。それが高校3年の時ね。それと、同志社大学に入って早稲田と決勝で、清宮がNo.8で僕がフランカー。僕はその前の週に左の内側靱帯を切ってて、バカだから無理矢理出場して、今度もまたタックル入られて右膝の靱帯を切ったという。清宮と試合して2回靱帯切ってます。
会場:笑い
村上:今年はヒーナンも壊されるしね。
清宮:いやいや、ヒーナンを壊したのは栗原だから。
会場:笑い
村上:宮本さんは清宮さんと高校の時から対戦して。
宮本:清宮が人の秘密を知ってるっていっても、僕のことを言いたくないのは、自分に振られるとちょっとイヤだなと思ってるからだよね。
清宮:何を言ってるんですか。
宮本:家が隣町だから。「それ以上は言わんといてください」って言われてるから。
村上:その頃から知ってたの?
清宮:僕は福島区で、宮本さんは此花区なんですよ。
宮本:まぁ、彼は子どもの頃からすごく有名だったから。
会場:笑い
清宮:スポーツ万能で。
村上:たぶん違うな。
会場:笑い
村上:そんな秘密ばらして。
宮本:いやいや。ただ「有名だった」というだけで。
村上:そうですよね。去年の春、トップリーグの会見か何かの時、瀬川さんと清宮さん、一緒に府中まで車で帰りましたよね。そういう時ってどんな話してるんですか?
瀬川:いや~、いい車乗ってましたね。ラグビーの話が多かったですね。強化とか、そういう話をしてましたね。秩父宮のグラウンドの話とかをまじめに。
清宮:東芝の正門まで送っていきました。
村上:同じ府中ですもんね。これで6 つの質問はすべて終わったんですが、ぜひもう一度戦いたいというチームはあるんですか。
宮本:どこともやりたくないですね、もういいです。
村上:リーグ優勝でよかった?
宮本:どこともやりたくないけど、どことやっても楽しいラグビーができればええかなと。
村上:瀬川さんは? もうどこともやりたくないですか?
瀬川:うちはすべてのチームに負けていますので、もう一回挑戦させてもらいたいなと思っています。
村上:何とか4位に入れて。
瀬川:そうです。ホッとしました。逆に今まで勝ち続けたことによって見えなかったもの、もしくはあまり気にしていなかったことに対して、今回負けたことでいろいろなことを見直すことができましたので、非常に今後のためにはプラスになったのではないかと考えています。
清宮:瀬川さ、最後の試合で宮本さんがBチーム出したとしたらどうした? 考えた?
瀬川:う~ん、まぁ考えなかったといえば嘘ですね。でも、それも含めてラグビーですし、自分たちは出られるとそれだけを信じていましたから。
村上:あの試合、NECがもし大勝したら東芝が落ちたと。
瀬川:はい。試合する前に34点差をひっくり返してNECが勝てばということだったんですが・・・
清宮:あんまり真剣に答えるなよ、冗談だよ。
会場:笑い
瀬川:そういう意味では絶対勝つんだと思ってました。
宮本:そんなことせえへんで。
清宮:するわけないけど、そうしたらおもしろいなみたいな。
会場:笑い
清宮:・・・という話は、観客のみなさんもしていたはず。
村上:そうですね。でも宮本さん、1位通過が決まっていた中で最後の試合は、NECは必死だし、ちょっと難しかったんじゃないですか。
宮本:いや、まぁお客さんに来ていただいている試合だし、初めて全勝というものを意識したし。僕は基本的には、試合が一番いい練習だと思ってるんですよ。試合以上の練習はないと思っていて、そこでわざわざメンバーを変えるとかじゃなくて、やはりベストの試合をして次につなげる。もちろん1週間しかないということでケガのリスクもありますし、考えようによっては温存したらという人もいましたけど。
村上:北川(智規)選手のトライは考えたんですか? トライ王にしてあげたいなというような。
宮本:チーム練習するじゃないですか。そうすると、みんな北川からパスを奪っていくんですよ。
会場:笑い
宮本:練習で北川をいじってましてね。逆に言えば、みんな北川にトライさせたいんだなと思いましたね。
村上:最後トニー・ブラウンがパスしてくれて。
宮本:最後はトヨタさんとの試合でサントリーさんの小野澤(宏時)が1個トライして、次もう1個という時に、一番トヨタさんを一生懸命応援してたのは北川でしたね。僕も後ろで見てましたけど、小野澤が走るたんびにハラハラしました。
会場:笑い
村上:行きそうなシーンが結構ありましたからね。トニー・ブラウンも、大西将太郎選手(ヤマハ発動機ジュビロ)の得点王を抜いたらなという感じだったんですか。ペナルティゴールやたら外してましたけど。あれは宮本さんの指示かと思いました。
会場:笑い
宮本:トニー・ブラウンは得点王とか、そんなことはあんまり意識してないと思います。将太郎は僕のかわいい後輩ですけどね。
村上:「取らせてくれ」と言ったのかと思った。うまいこと2 点差で落ち着いて。東芝は吉田大樹が調子良かったですね。最後、1点差。
瀬川:そうですね。やっぱりタイトルを取らせてあげたいと思いましたね。残念でしたけど彼のゴールキックで助けられている部分もありますので。
村上:清宮さんは個人賞というのは気にしながらやっているんですか?
清宮:やっぱりタイトルというのは、プレーヤーにとっては大事なんでね。勲章ですからね。もうちょっと何かね・・・いつも何もらうんだっけ。
村上:ちっちゃなトロフィー。
清宮:トロフィーいらない。もうちょっと違うものの方がいい。
会場:笑い
村上:もうちょっと実用的なものとか?
宮本:でも、今はよくなりましたよ。トップリーグなんかすごくいいものもらうじゃないですか。僕のときなんかベスト15でこんなちっちゃなスプーンよ、墨で書いた木の箱に入った。
会場:笑い
村上:各チームは、優勝すると何かご褒美が会社から出たりするんですか?
清宮:あんまりよく知らないです。
村上:マイクロソフトカップに優勝しても何もなしですか?
清宮:いやいや、何かありますよ。
村上:毎年違うということですね。今年は何かまだわからない?
清宮:うん。
村上:フランスワールドカップはご褒美じゃなかったの?
清宮:あれは社長が「行ってこい」って。
村上:いいですねぇ。石井さん、トヨタは何かあるんですか。
石井:何かあると思いますけどね。何しろ20年間日本一になってないので。
村上:前回優勝したのは87年ですか。
石井:はい。ちょっとぐらい何かあるのかなと。
村上:何か欲しいなと。
石井:できれば欲しいですね。
村上:東芝は何かありますよね。
瀬川:優勝した時に、社長が「ワールドカップに行ってきてください」と。そういうのはありました。
村上:それは優勝のご褒美?
瀬川:そうです。それ以外にもグラウンドをよくしてもらったりとか、いろいろありますけど。あとはマイクロソフトさんからXBOX360をたくさんいただきました。1人1個以上ありますね。
村上:三洋は何か?
宮本:特にないかな、わからないです。「優勝したら何か」なんて言われたら、僕らプレッシャーかかっちゃうんで。
村上:できるだけプレッシャーかからないように。
宮本:はい。
村上:後でみなさんからも質問を受けるんですが、その前にちょっと聞いてみたいんですけど。監督さんから見て、今年のトップリーグのMVPを選ぶとしたらどの選手ですか。宮本さん。
宮本:僕は最後にしてください。
村上:じゃ、瀬川さんからいきましょうか。
瀬川:MVPですか? 対戦相手ごとにキーになってくる選手がいましたので、誰がMVPというのはちょっと難しいですね。ぜひ自分たちから選ばれたらいいなとは思いますけど。
村上:プレーオフが終わった後に個人賞というのは発表されるんですね。得点王とかそういうのは、リーグ戦の中だけで決まりますからね。石井さんは誰かいますか。
石井:僕は東芝の豊田ですね。新人ながらにあの動きと、テレビ等で見ると、新人なりにゲーム中にリーダーシップを発揮してるんですよね。素晴らしいなと思っていまして、できれば彼にあげたいなと。
村上:石井さん選定と。清宮さんは?
清宮:リーグ戦ですか? まぁ、三洋さんから出すべきでしょ?
会場:笑い
清宮:う~ん、ヒーナンと言いたいですけどね、出てないからね。
宮本:それは難しいですね。
清宮:みんながよくて勝ってますから。
宮本:本当にすごい褒め言葉なんですけど、もちろん北川がトライ王になっていますけども、ずば抜けてというよりは全員ラグビーでやっていますので。誰って言われても。じゃ誰かと言われたら、僕は清宮じゃないけど相馬って言いますね。
清宮:それはちょっと、いや素晴らしいですよ。フィールドプレー素晴らしいし。でも、もうちょっと宮本さん、スクラム何とかならないんですかあれ、日本代表としては。
宮本:いやいや本当に。こんな話をしていいのかどうかわかりませんけど、やはり日本代表は試合期間が長いと、練習で組み込んでないですね。そういう意味ではなかなか難しい面があります。試合ばっかりで練習を仕込んでないというか。先ほどの話で、長谷川コーチと一緒にやったじゃないですけど、やっぱりスクラムっていうのは組み込まないと強くならないですね。もっと本当に組んでくれればいいのかなと思うけどね。
村上:サントリーはセットプレー、スクラムは非常に強い。どのチームもスクラムの重要性はわかっていると思うんですけど。非常に強いというのは、何か練習の違いでもあるんですか。東芝はそんなにスクラムは・・・
瀬川:うちは自分たちでは強いと思っているんですけどね。開幕戦でうちは高橋(寛)がいなくてサントリーさんとスクラムをやったんですけど、ぜひ次に当たる時はベストの状態で、強いと言われているサントリーさんと真っ向勝負で挑みたいなと思いますけどね。
村上:清宮さんどうですか。
清宮:そうですね、変わりましたよね、東芝のスクラム。
村上:サントリーのスクラムの強さは、やっぱりこだわっているからですか。
清宮:そうですね。
村上:そのこだわりが、いろんなところで効果になって現れているんじゃないかと思いますけど。
清宮:スクラムコーチも2人いますし。
村上:スクラムコーチが2人いるのはサントリーだけですよね。
清宮:そうですね。
村上:トヨタはどうなんですか、スクラムへのこだわりは。「強力スクラム」っていうイ
メージありましたけど。
石井:そのへんはしっかりと練習もしますし、OBからのプレッシャーももちろんありますね。
村上:強かったプロップの人たちが。
石井:やっぱりスクラムが押せないと。押された日には、たとえばこの間のサントリー戦なんか、マイボールが取られちゃったんで、もうかなりお怒りになられてますね。
会場:笑い
村上:それは直接監督に言ってくるんですか?
石井:はい。OBの人たちとは非常に仲良くさせてもらってますので。そういうところは直に電話が鳴ったりしますね。
会場:笑い
村上:石井さんは、お父さんもトヨタなんですよね。
石井:はい、そうです。
村上:根っからのトヨタの。
石井:そうです。
村上:もう知り合いだらけですね。
石井:現場のおじちゃんからみんな知ってます。
村上:それだけに応援もたくさん。
石井:そうですね。その部分に関しては本当にありがたいです。
村上:今回もたくさん応援に?
石井:そうですね。ツアーの締め切りが明日ぐらいだと思いますので、それで何名ぐらい来るのかわかりませんけど、大勢来てくれると思います。この間のサントリーの試合の時は、バス27台で来られたんですよ。で、雪だったじゃないですか。試合が終わって豊田に着いたのが深夜1 時くらいで、それでも文句言わずに来てくれますんで非常に感謝しています。
村上:ありがたいですね。
瀬川:去年は新幹線貸し切って来てましたよね。
石井:そうですね。日本選手権に行くと、会社が新幹線を。
瀬川:あれは日本選手権用なんですか?
石井:多分そうです。マイクロソフトの時はないんじゃないかと思いますけど。
清宮:去年花園で日本選手権やったでしょ。観客が5800人くらいいたんだけど、トヨタから3000人くらい。
村上:それこそ新幹線借り切って。
石井:いや、大阪の時はバスです。近いと新幹線出してくれないです。
清宮:大阪はバス、東京は新幹線。今回は気合い入ってるはずですよ。
会場:笑い
清宮:やっぱり花園はね。ファンのみなさんもそろそろ戻ってきましょうよ。トップリーグ今本当におもしろいし。どう結果がころぶかわからないワクワク感とか、もう昔の比じゃないと思うんですよ。離れているみなさん、熱い試合しますのでぜひ埋めてほしいんですよね。
村上:宮本さんもトップリーグのレベルアップというのは感じますか。
宮本:絶対レベルアップしてきたよ。
村上:せっかく宮本さんで終わりに向かっていく感じだったのに。
宮本:やっぱり僕先に話させて。最後は清宮の方がいいね、やっぱりね。
会場:笑い
村上:まとめた方がね。それでも強いチームが増えてきたじゃないですか。
宮本:本当にそうですよね。1試合1試合、本当にちょっとでも準備を怠るとやられちゃいますからね。去年僕らはそんな感じでしたよね。
清宮:何もしてないって言ってたのに。「準備を怠る」なんておかしい。
会場:笑い
宮本:いやいや、準備はするよ。
清宮:あぁそう。
会場:笑い
村上:こんな終わり方になってしまいました。では、そろそろ質問コーナーに移りたいと思います。
Q:さらにスリリングなゲームを見たい。そのためには外国人中心のチームがあっても面白いと思うのですが、今後の外国人枠の拡大については、どういう見解がありますか。
石井:確かに外国人だけのチームがあってもいいと思いますけど、やっぱり日本の特色として、企業に属しているということが、なかなか実現しない原因だと思います。そこで一企業がプロ集団を作るということになったら、また話が違ってくると思いますが、そうなった場合は、海外のスーパー14もそうですけど、あまり制限を設けずにやっていくのもおもしろいかなと思います。ただ、来シーズンから外国人枠が1 枠増えるというのは、非常にまたレベルの高い試合が展開されるんじゃないかなということで、そのへんには期待しています。
村上:外国人枠についてはそういう話があるということなんですよね。
会場:笑い
村上:何か「言っちゃった」感がありますけど。「あれ?」みたいな。
会場:笑い
石井:すみません。
村上:そういう案もあるということですよね、瀬川さん。
会場:笑い
瀬川:確かに外国人の選手、先ほどのトニー・ブラウンとかうちのマクラウド(スコット)のように、外国の代表クラスの選手が日本のラグビーを変えてきた、手本になってきたという部分はありますので、そういうレベルアップというのは非常にいいと思います。ただ、日本人が試合に出るチャンスというのもしっかり設けた上でそういうルールを作っていかればなと思います。私たちは今43名プレーヤーがいるんですが、そのうち選手として今シーズン試合に出たのは27、8名の限られた枠になってしまっている部分もあります。残りの選手が公式戦に出られていないという状況です。企業がトップリーグを支えているという状況ですので、プロとしての活動というのはできないですが、アマチュアとしてそういう選手に機会を与えるようなことを同時に進めていけば、非常にいいと思いますね。
村上:宮本さんどうですか。
宮本:スリリングな試合をするためには、もちろん外国人っていうのも一つの手だと思うんですけど、リーグを僕らが戦っている上で我々もおもしろいラグビーをしたいのと、もう一つは代表の強化というのが必ずついてまわっていまして。日本代表を強くするには、日本代表の権利を持つ人間を、例えば外国人で他の国の代表になっていないとか、やっぱり日本人をちゃんと育てられるという環境がトップリーグにないとダメだと思うんですね。最終的には、やっぱり日本代表がワールドカップで勝っていくというのがトップリーグの発展と同じぐらい、最も価値のあることだと思うので。そういう意味では、あまり外国人を増やすというのはどうかなと。逆に海外でも外国人枠というのがあって、イギリスであれば2人を1人にしようとか、一方でトンガとかサモアの人にはもう少し門戸を広げましょうとか、そういう動きもありますし、いろんな可能性を広げていいと思うんですけど。やっぱりある程度、2、3人くらいに限って日本人を育てる。一方で日本人も、外国人の強い人間、たとえばトニー・ブラウンとかを手本にしてもらってよくなる、もしくはパンチのある外国人と戦ってパンチ(激しいプレーの意)に負けないような選手を育てていく。そう考えたら、現状からプラス1くらいでもいいんじゃないかという気はしますね。
村上:2人を3人にするぐらいの。
宮本:だたそれは、原則として日本代表を強くするという何かがあれば。
村上:日本に3年住んでプレーしていれば代表になれるんですね。
宮本:ニュージーランド代表と言っても、サモアから来た人もたくさんいるし、フィジーから来た人もたくさんいるし、純然たるニュージーランド人もいる。オーストラリア代表もそうですね。ラグビーは国際的なスポーツなので、そういう海外の人も受け入れながら日本代表を強化していく。ただ、ルール上他の地域の代表になっていたら別の地域の代表にはなれないので、そうでない選手を優遇するということはあってもいいかも知れませんね。
村上:清宮さんはどうですか。
清宮:僕からはちょっと逆に質問したいんですけど、今度ジョン・カーワンが選ぶ50人のスコッドが発表されますけど、50人の中、15人の中でもいいですけど、外国人が何人くらいまでだったら許容範囲で、あるいは何人以上ならそんな代表応援できないよとか、そういう声をここで聞きたいんですけど。
村上:じゃ、これは挙手していただいて聞きましょうか。清宮さん的には何人くらいから?
清宮:まぁ前回の15人中の5 、6人をベースに行きましょうか。5、6人、半分の8人、10人以上ぐらいで。
村上:では15人中、5 人くらいなら応援したいという方。
清宮:ほとんどですね。
村上:では、これが10人になったらどうされますか。
清宮:それでも応援する方はいらっしゃるんですね。
村上:じゃあ8人。
会場:少しだけ挙手
村上:7人。
会場:笑い
清宮:なるほど。
村上:だいたい5人ぐらいだと、みなさんは応援できるようですね。
清宮:そうですね。まぁ、今の流れで行くと、日本代表は外国人選手がどんどん増えていくわけですよ。普通に評価して選考すれば増えますよ。半分、いや半分以上になります。そういった時の今のみなさんの反応というのは大きな力になると思いますね。力というか、指標になってくると思います。
村上:自分が代表監督になった時のためにね。参考にしておこうと。
会場:笑い
清宮:結局、日本代表の資格を持っている外国人だったら1人でも2人でも増やしていいっていう決断をする前に、日本代表って何人まで外国人を使うんだっていう議論をどこかでしないと。日本代表スタッフだけでなく。
村上:ファンのみなさんとも話をしないと。
清宮:そうですね。大半の方は5人ですね。
村上:確かに5人以上になるとかなり・・・
清宮:全然応援できますよ。僕は個人的には15人中1人が日本人でも全然応援できると思います。日本のジャージを背負っていますからね。1人日本人が出たら、「イチロー!」みたいな。
会場:笑い
村上:さっきも宮本さんが言ってましたけど、国籍をあまり問わないのがラグビーの一つの文化ではあるので、それは思います。ただ、ニュージーランドの人が15人揃ってしまうと、特色があんまりなくなりますね。
宮本:やっぱり何人かというよりも、ファンのみなさんは強い日本代表を見たいんですよ。
会場:拍手
宮本:だからそれが逆に、清宮が言うように外国人15人でもいいんですけど、やっぱり日本人が外国人を3 人とか4人に抑えるくらいになって、そして強い日本代表になって欲しいと思うんですね。そのためにトップリーグはあるんで、だから外国人枠というのはそういう形で考えた方がいいと思います。強い日本代表を作るというのを大前提に考える。高校・大学も強化していって、日本人を育てるという気持ちを絶対に忘れてはいけないですね。
清宮:あんまり現場レベルでそのあたりの議論をしてないんですよ、実際の話。
村上:来週あたり発表されますからね。チームには連絡行ってるんですか?
清宮:来てますね。
村上:それをあんまり詳しく聞くと、また言っちゃったらいけないので。
会場:笑い
村上:とにかく、強い日本代表のために、ファンのみなさんの意見を聞くというのも本当に大切ですよね。これからもそういう場が増えればいいなと思います。
司会:というわけで、いよいよお別れの時間が迫って参りました。あっという間の2時間でまだまだお話を聞きたいところなのですが、最後に4監督から今日の感想、そしてご来場いただいたみなさんに一言いただきたいと思います。
村上:試合に向けての抱負も含めてコメントをお願いします。
宮本:ファンのみなさんあってのラグビーで、みなさんの前でプレーをできることを本当に嬉しく思っています。ここにお越しのみなさんは、本当に目の肥えた方だと思いますので、みなさんが見て、あぁ面白かった、楽しかったと思えるようなラグビーをします。東芝と今週の日曜日に試合をしますけど、死力を尽くして戦いたいと思います。ぜひ1人でも多くの方にグラウンドに来ていただけますようよろしくお願いします。
会場:拍手
瀬川:今日はとても楽しく過ごすことができました。日曜日の試合では、みなさんと感動を分かち合いたいと思いますので、ぜひ足を運んでいただいて、ラグビーを応援していただければと思います。三洋さんにはまずはチャレンジャーとして、自分たちの出せる力をすべて出し切れるように準備したいと思います。ぜひ、17日に秩父宮で会いましょう。どうもありがとうございました。
会場:拍手
石井:本日はどうもありがとうございました。僕らも花園でサントリーさんと戦うことで、感動というか、来てよかったと思っていただけるような試合をしたいと思います。今持てる力をすべて出し切って戦いたいと思いますので、ぜひグラウンドに来て応援よろしくお願いします。
会場:拍手
清宮:今日はありがとうございました。我々も週末トヨタさんといい試合をして、2週間後にみなさんのもとに帰ってきたいと思います。
会場:拍手
司会:ありがとうございました。2月17日、ここにありますマイクロソフトカップの栄冠を勝ち取るために激しい試合が行われます。ぜひみなさんグラウンドに行って、行かれない方はJ-SPORTSで、熱い声援を送っていただきたいと思います。本日お越しいただきました4 チームの監督に、みなさんもう一度大きな拍手をお願いします。どうもありがとうございました。
会場:拍手
司会:村上さん、あっという間の2時間でしたね。まだまだ聞きたいことがいっぱいあったんじゃないですか。
村上:何か4人の監督の迫力に押されました。だいたいみんな同年代なんですよね。一緒にプレーした人たちなんですけど。
司会:こういう場というのはなかなかないと思うんですけど。
村上:そうですね。この4監督が揃うというのはなかなかないと思います。本当に今トップリーグで実力のある4チームだと思いますし、マイクロソフトカップはどうなるか全くわからないですね。1回戦からわからないです。
司会:そうですね。村上さんは放送の方で?
村上:はい。僕は花園に行きます。花園ではいろいろなことが起こります。
司会:先ほどのオープニングでも話したとおり、トヨタ対サントリーは31-31のドローゲームでしたから。その決着をつける意味でもすごい試合になりそうですね。
村上:どうやら正面選手とかケート選手とかも出てきそうな感じでしたから。非常にいい試合になりそうだと思いますね。
司会:また解説も楽しみにしています。それでは最後に、村上さんから一言いただきたいと思います。
村上:今日はみなさん、たくさん詰めかけていただいてどうもありがとうございました。僕は20年ぐらいずっとラグビーの取材をしているんですけど、本当に日本のラグビーはレベルアップしていまして、特にフィットネス、運動量、当たりの部分がどんどんレベルアップしています。このマイクロソフトカップも過去本当に最高の盛り上がりを見せる試合があると思いますので、ぜひグラウンドに来ていただきたいと思います。僕もだいたいグラウンドにいますので、見かけたら声かけてください。今日はどうもありがとうございました。
司会:ラグビージャーナリストの村上晃一さんでした。どうもありがとうございました。みなさん大きな拍手をお願いします。
会場:拍手
司会:さて、お送りしてきましたぴあトークバトルもいよいよお別れの時間です。私も秩父宮で盛り上げていきたいと思いますので、みなさんどうぞグラウンドに足を運んでください。今日はどうもありがとうございました。
会場:拍手

取材・文/CREW  撮影/新関雅士

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