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ぴあトークバトル スポーツ快楽主義2008 Vol.65
どうなる!?FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2008~クラブ文化が世界を制す!~
【 開催日/会場 】12月7日(日)日本サッカーミュージアム 1階 ヴァーチャルスタジアム
Supported by アディダス ジャパン株式会社
マンチェスター・ユナイテッドの優勝で閉幕した「TOYOTA プレゼンツ FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2008」。
開幕戦を4日後に控えた12月7日(月)、日本サッカーミュージアムにて中西哲生氏、北澤豪氏、城彰二氏にお越しいただき、
今大会の見どころを2時間たっぷり熱く語っていただきました。トークの模様をフルバージョンでお楽しみ下さい。

<ホスト>
中西哲生(スポーツジャーナリスト)
1969年、愛知県生まれ。同志社大から1992年に名古屋グランパスエイト入り。1997年に川崎フロンターレへ移籍してからはキャプテンを務め、1999年のJ2優勝・J1昇格に貢献した。Jリーグ通算95試合7得点。現在はスポーツジャーナリストとして「ズームイン!!SUPER」(日本テレビ系)、「サンデーモーニング」(TBS系)「GET SPORTS」(テレビ朝日系)などに出演中。

<ゲスト>

北澤豪(サッカー解説者)
1968年東京都生まれ。修徳高校から本田技研を経て1991年読売クラブ(現・東京ヴェルディ)へ移籍。Jリーグ初年度の1993年と1994年の優勝メンバー。日本代表としてもフランス「W杯」出場に貢献した。2003年に引退。現在は月曜日の「スポんちゅ」(日本テレビ系)に出演する他、日本サッカー協会国際委員としてサッカーの発展・普及につとめている。

城彰二(サッカー解説者)
1975年鹿児島県生まれ。鹿児島実業高等学校を卒業後、ジェフユナイテッド市原(現・ジェフユナイテッド市原・千葉)に入団。横浜マリノス(現・横浜 F・マリノス)、レアル・バリャドリード(スペイン)、ヴィッセル神戸などでプレーし、2003年より横浜FC加入。2006年J1昇格に貢献し、同年現役引退。2007年より、Jリーグ百年構想メッセンジャーとして全国で活動している。


前編
司会:「ぴあトークバトルスポーツ快楽主義vol.65 どうなる? FIFAクラブワールドカップ クラブ文化が世界を制す!」。このイベントは、アディダス・ジャパン株式会社の特別協賛でお送りします。本日の進行役をご紹介しましょう。スポーツジャーナリストの中西哲生さんです。
中西:こんばんは。
司会:大きな拍手に迎えられて。
中西:みなさん、微妙に静かなんですけど。
司会:まだまだこれからドンドン盛り上がっていくと思いますが。
中西:今日は遠方からも来てくださったと聞いていますので、楽しんでいってください。よろしくお願いします。
司会:はい、お願いします。まず、このFIFAクラブワールドカップ ジャパン2008。文字通り、世界一のクラブを決定する大会です。ほとんどのお客様は、もちろんご理解いただいているとは思いますが、改めて今一度整理して説明したいと思います。
中西:今日ここに来ていらっしゃる方もね・・・いきなりサッカー大好きな彼氏に無理やり連れて来られたとか、サッカー大好きな旦那に無理やり連れて来られたとか。逆に、サッカー大好きな奥さんに無理やり連れて来られたご主人もいらっしゃるかもしれないので、ちょっとここでおさらいしておきましょう。
司会:はい、改めて短く。世界中のサッカークラブが頂点を目指す最高峰の大会が、TOYOTAプレゼンツFIFAクラブワールドカップ ジャパン2008です。アジア、アフリカ、北中米カリブ海、南米、オセアニア、ヨーロッパの6大陸クラブチャンピオンの6チームに加えて、2007年から開催国枠としてJリーグチャンピオンが参加できることになり、計7チームで世界一のクラブの称号をかけて闘う・・・というわけなんですが、この説明でバッチリですか?
中西:はい。ただ、その説明の中で少し違うところがあって、Jリーグチャンピオンということになったんですけど、ガンバ大阪がACL(AFCチャンピオンズリーグ 以下ACL)で優勝(2008年11月12日、オーストラリア・ハインドマーシュスタジアム、ガンバ大阪2-0アデレード・ユナイテッド)したので。ということは、ACL準優勝のアデレード・ユナイテッド(オーストラリア・Aリーグ)が繰り上げで昇格して出場することになったということになります。
司会:さすが中西さん、ありがとうございます。
中西:お仕事ですからね。知らなかったらまずいですよね。
司会:中身については改めて中西さんに熱く語っていただくとしまして。この「TOYOTAプレゼンツFIFAクラブワールドカップ ジャパン2008」について、どうなる!? どこが勝つんだ? それを解決してくださる・・・
中西:いや、解決できるかはわからないですよ。
司会:いや、解決していただきましょうよ。
中西:いつも、言われるんですけど、予想が当たらない。
司会:ぜひ、ここで解決していただきたいと思います。本日のゲストの方々をお迎えしたいと思います。みなさん、大きな拍手でお迎えください。ゲストの北澤豪さん、城彰二さんです。
会場:拍手
司会:お三方、出そろいました。では、まずは一言ご挨拶をお願いします。どちらからご挨拶しますか? 
中西:今日、都合上マイクが1本しかないので、お二人で漫才みたいにやってもらって。掛け合いみたいな感じで。
司会:では、北澤さんから。
北澤:みなさん、こんばんは。年末、何かとお急がしいなか、忘年会とか、いろいろなイベントがあるなか、今日は来ていただいてありがとうございます。今晩は、サッカーを語りましょう。多少、昨日のJリーグのショックで未だに立ち直れていない部分(2008年12月6日、東京ヴェルディ0-2川崎フロンターレ※J2への降格が決定)があって、クラブワールドカップの話になるのか、東京ヴェルディの話になるか、ちょっとわからないところがありますけれども、よろしくお願いします。
司会:はい、よろしくお願いします。城さん、お願いします。
城:みなさん、こんばんは。私もですね、昨日東京ヴェルディの試合のテレビ解説をしていまして。
中西:してましたね。
城:解説者のせいじゃないかと言われたので、非常に心苦しいのですが。今日はですね、クラブワールドカップについて熱い思いと、またみなさんにですね、知識をしっかりと伝授したいと思いますので。ぜひですね、耳を傾けていただいて。寝る方は寝る方で結構ですけれども・・・
中西:困る!
城:大事なところはしっかりと聞いて欲しいなと。よろしくお願いします。
司会:よろしくお願いします。ではまず、本日のサブタイトル。みなさん、ご存知ですよね? 北澤さんも城さんも。
中西:上に書いてありますよ。
司会:「クラブ文化が世界を制す!」です。ということで、インターネットで各クラブの写真などを見ながらクラブ文化、世界のクラブの状況を見ていきたいと思います。では、ここからは中西さんにお願いします。
中西:はい、また後ほどよろしくお願いします。今回、クラブワールドカップの応援ホームページに、いろいろな写真、それからストーリーが掲載されています。今、お話があったようにクラブ文化ということなんですけれども、みなさんはクラブ文化っていきなり言われても、「なんぞや?」っていう話なんですよね。映像を少しずつ見ながら、いろいろなクラブのことを見ていきたいなと思います。まずはアフリカ代表・アルアハリ(エジプトプレミアリーグ)。エジプトのチームなんですが。「試合当日の様子を写真でレポート」。これ、みなさん、読めますか? 書いてあるのを読みますね。「今から約1年半前の2007年4月24日、アルアハリのクラブ創設100周年」。100周年ですよ!
北澤:すごいねー。
中西:100周年ですよ!
北澤:100歳!
中西:100歳です。100周年の試合にバルセロナ(スペイン・リーガ・エスパニョーラ)が来たんですが、「開催側も慣れたもので、なんと5、6時間前から開場」ってこれもすごいですね。普通Jリーグって何時間くらい前から入れるんですか? 今は3時間? 2時間くらいですよね。
北澤:2、3時間前でしょう。
中西:早くて。
城:そうですね。
中西:それが5、6時間ですよね。「ほとんど自由席」って書いてありますからね。だから、少しでもいい席を取ろうと思って早く来ているらしいんですが。試合開始までまだ3時間もあるのにこんなに人が既に入っているってすごいですね! 3時間前でこれですよ! 「既に興奮状態。今から旗を振って大声出していたら、試合までに疲れそうだ」って書いてありますけど。
北澤:疲れますよね。
中西:圧倒的に若者が多いですね。やはり北澤さん、多いんですね、エジプトは。アルアハリは前々回も来てますか?
北澤:来てますね。2005年、2006年、そして今回で3回目の出場になるんですよね。
中西:過去に来たときも結構若いサポーターが多かったですものね。時間とともに、だんだん集まってくるんですね。本当にすごいなあ。アブトレイカ選手(モハメド)、チームで一番有名なエースですからね。
北澤:赤が基調となっていて、マンチェスター・ユナイテッド(イングランド・プレミアリーグ※以下、マンU)もそうですから。浦和レッズも出場していたら、赤い悪魔ばっかりみたいな感じになっちゃいましたよね。
中西:試合になるともうパンパンですよ! 凄い! アルアハリがアフリカではもうトップの人気って言っても過言じゃないんじゃないですか?
北澤:そうですね。アフリカでは、ほとんど優勝しているのがこのアルアハリなんで。国で見たときにもアフリカ・ネーションズカップ、去年でしたっけ、カメルーンを破ってエジプトが優勝(2008年2月10日、アクラ、エジプト1-0カメルーン)していますからね。そういった意味では、実力はアフリカではトップだっていうことですね。
中西:城さん、アルアハリもそうなんですけど、エジプトのクラブが強い背景というのは、基本的にいい選手が留まっているということがあるんですかね?
城:そうでしょうね。いい選手はやっぱりどうしてもヨーロッパとかですね・・・
中西:基本はですね。カメルーンのエトー(サミュエル、スペイン・リーガ・エスパニョーラ・FCバルセロナ)とかもみんなそうですけどね。
城:海外へ行きがちですけども、やはりこのクラブはここに残ってプレーする。自分たちのリーグというものの価値観をすごく高く考えている選手が多いみたいですよね。
中西:北澤さん、エジプト自体がアフリカと言ってもヨーロッパに近い方ですから、そういう意味ではサッカーのスタイルというものもヨーロッパの影響を受けやすいというのもあるんでしょうか?
北澤:そうですね。位置によって、そういう雰囲気を醸し出したりとかっていうのもありますよね。個人の能力も身体能力も高い上に、こう組織化されているというところでアフリカでも勝てている理由にはなっていますよね。
中西:写真でいろいろな映像を見てもらいましたけれども、やはりサポーターが文化を創りあげている部分がすごく感じられます。お客さんがいっぱい入ることによって、選手が鼓舞されるわけですし。僕はいつも話をするんですけど、例えばJリーグでも、セリエA(イタリア)でもプレミア(イングランド・プレミアリーグ)でも、監督や選手は必ずいなくなる可能性があるんですけれども、サポーターって一生いなくならならないんですよね。
北澤:そうですね。
中西:そう考えると、サポーターを大事にしていくというか、サポーターが中心でクラブが動いていくということは当たり前のことなのかなって、僕は思います。
城:そうですね。やっぱりこう、日本ではなかなかそういった文化ではないですね。
中西:やっぱりまだ日本では、クラブがあって、その次にサポーター、みたいな感じになっているところもありますよね。
城:そうですね。僕はスペイン(リーガ・エスパニョーラ・バリャドリード)でプレーしていたときにもやはりすごく感じたのは、海外というのは本当にサポーターありきでクラブがあるというスタイルですから。そのあたりの発想とかですね、もちろん歴史もそうですけど。そういった部分が、やはりクラブを支えていますよね。
中西:サポーターっていう話が出てきたので、ここでパチューカ(デ・ソト、メキシコ・プリメーラ・ディビシオン)の話にいきたいと思います。パチューカは、昨年のクラブワールドカップ北中米カリブ海代表で出場したんですが、フルータスさんという方が、実は昨年のこの大会(2007年12月9日、国立霞ヶ丘競技場、エトワール・サヘル1-0パチューカ・デ・ソト)を観に来日されました。でも、帰りに体調を崩されて、なんとかメキシコ市まではたどり着いたんですが、家には帰ることができず、亡くなられてしまったというお話です。実は今見ているホームページのJ'sGOALさんが、このフルータスさんに昨年の大会前にもインタビューをされていて、彼は日本へ試合を観にきたときに日本のサポーターに声をかけられて、とてもよくしていただいたということをお話をされているんです。その後、フルータスさんの銅像がスタジアムに建てられたそうです。ここにいつもフルータスさんは座っていたらしいんですけど、これは凄い話ですね。
北澤:選手が銅像になったりとかは、ありますけど。
中西:ここ、いつもこの場所でフルータスさんは応援をされていたらしいんですが。ここに胸像をね・・・しかも、「正装している姿もいつも通り」と書いてあります。本当にいつもこういった姿で応援していたんでしょうね。すごくいろいろなことをおっしゃっていたなかで、一番残っているのが「!ADELANTE TUZOS!(アデランテ トゥーソス!)」っていう言葉らしいんですが、「行け! パチューカ!」っていう意味なんです。彼の次男がですね、最後のお別れの電話をしたときに、いつも言っていたこの「!ADELANTE TUZOS!(アデランテ トゥーソス!)」という言葉を「言え!」と言われたので、震える声で言うと、「そんな風に俺は教えていない」って。「もっとしっかりと声を張り上げて、自分がいつも応援しているように言ってくれ」みたいな感じで、言ったと思うんですが、声を張り上げて叫ぶと、フルータス氏は満足そうな顔を浮かべたそうです。そして年が明けた2008年1月11日にですね、永眠されたという話なんです。この悲報は国内メディアでも報じられて、「メキシコのパチューカの伝説」、まさに伝説になった話だと。城さん、僕は思うんですけど、こういうことが日本でも起こる日がいつか来るかもしれないですよね。
城:そうですね。葬儀の参列者もチーム・スタッフだったり、選手も全員が追悼式に参加したということで。やはり、クラブ、もちろん選手もそうですけれども、サポーターの方との距離感というものを凄く近く感じますし。日本の社会で考えると、Jリーグがありますけど、今はこう近くはなってきていますし、いろいろな部分で凄く努力はしていますが。でも、ここまではね。この方、フルータスさんを追悼するという意味では、まだまだ歴史が足りないのかなと。そういった土台がもっともっと日本にも必要ですし。クラブや選手は、サポーターだったり、ファンの方々にもっと目を向けるべきじゃないかなと僕は思いますけれどもね。
中西:ここに書いてありますけれども、昔、パチューカは、国内でも無名なクラブで。昇格、降格を繰り返していて。それでも、負けても負けてもずっと応援していたらしいんですよね。去年も日本で負けて残念だということは言っているんですが、「何が起きたかは理解している。でも、だからどうした!?」。パチューカが初めてクラブワールドカップで試合をしたんだっていうことを、目に焼き付けていかれたんですね。北澤さん、こういうことがありましたから、パチューカというのは背負ってくるものがまた大きくなるんじゃないですかね。
北澤:こういった思いももちろんでしょうし、去年は、そんなにコンディションを整えて試合に挑める状況じゃなかったっと聞いているので。同じ繰り返しはしないだろうし、今回は一番最初に来日したのがパチューカじゃないですか。そういった意味では、意気込みを感じるところがありますよね。何かこう求めているものがね。あらゆることを含んだなかで、サッカーというのをすごく感じるなっていうところですよね。
中西:なんかこう、サポーターが選手を後押ししているんだってことをまさに表してくれた例だと思うんですけど。北澤さんも現役時代、「サポーターの応援って大事だったな」って感じたことはありますか?
北澤:ありますね。負けているとき、勝っているときどちらにしてもそうなんですけど。ただ、若い頃はインタビューをされて、「ファンのみなさんのおかげで」って言っていても、本当に100%そういう気持ちだったかどうか。あの頃は真剣に考えていたかなって思うんですよね。ただ、どこの試合でしたかね、ワールドカップ予選で、勝たなければいけない試合で勝てなくて、国立(国立霞ヶ丘競技場)の6万人が全員ブーイングだったわけですよ。それのとき、サッカーの勝ち負けだけでなんかこう人の心が動いてるなって思って。これって凄いなって思ったんですね。そういったところから、やっぱりいろいろな思いとか背負いながらやるっていうことを本当に感じてやらなければいけないんだなって、プレーしながら思いましたよ。ですから、サポーターの思いを背負ってということは、その頃から常に感じていましたけどね。
中西:城さんも、サポーターの想いを感じたことは選手時代にありましたか?
城:負けたとき、調子が悪いときに、やはりそれでもピッチではブーイングとかされますけども、その後に練習場に足を運んでくれたり、温かい言葉をかけていただいて。「こういう人たちがいるんだ。サポートしてくれているんだ。じゃあ、もっと自分も頑張らなければいけない」っていう想いは、本当に現役時代は感じていましたね。ひとりでも応援してくれる人がいれば、「自分は一生懸命やらなければいけない。100%いいパフォーマンスをしなくてはいけない」と思った記憶がたくさんありますね。
北澤:いろいろあったもんね。
中西:ここでこんな話をするのはすごい失礼ですけど、1998年のフランスワールドカップで・・・
城:戻ってきたときに、成田空港で水をかけられる事件もありましたけれども。実は、あのときも自分の中では「結果が出なかった。仕方ない」っていう部分もあったんですね。でも、ああいったことがあっても凄くこう温かく迎えてくれるサポーターもいましたし。もちろん、それだけの責任を果たせなかった自分がね、逆にあのときは悔しかったんです。でも、そうやって気づかせてくれるのも、サポーターなのかなという感じがしますけどね。
中西:実は、城さんはあの後、家に帰らずに成田空港からそのまま横浜F・マリノスの練習場に行ってシュート練習をしたんですよ。誰にも伝えてなかったんですけどね。やっぱり城さんも、自分がそういうふうにやられたことで、「今からでも練習して」っていう気持ちになったんですか?
城:そうですね。初めてそういうことをされて、気づいたっていう自分も・・・ちょっと遅いかなとは思いますけども。これからの選手には、そんなことしないでください。水をかけたりですね、パイプイスを投げたりとか、生卵を投げたりとかね。
北澤:ありましたね。
城:そういった暴力的なことはやめた方がいいと思いますね。でも、やはり言葉で伝えられたらいいですね。
北澤:そういうときにさ、いろいろな想いを持ってクラブに行けたっていうので、クラブのありがたみみたいなものをすごく感じますよね、そういうときって。
城:ありますよね。
北澤:帰ってきて、自分の居場所がクラブにあるっていうのをすごく感じますね。ありがたみを。
中西:やっぱり代表チームにいると、すみません、僕は代表に入ったことがなくてわかんないですけど、そういう海外で戦った後でもやっぱり自分の居場所はクラブだって感じるものですか?
北澤:やっぱり、代表から外されたときとか、「このままサッカーができないんじゃないかな」ぐらいに落ち込みんだときに、「けれど、オレにはクラブがあるじゃないか」みたいな。そういった意味で、自分の家みたいな感覚になりますよね。
中西:そういう意味ではお二人とも、辛い経験をされていると思います。
北澤:ええ、人生を学びましたよ。
中西:いやでも、フランスワールドカップの本番前にカズ(三浦知良、横浜FC)さんと帰ってきたじゃないですか。あのときは、やはり北澤さんもクラブに行かれたんですか? 行ってこう、オレはクラブでサッカーができるんだってなったり・・・
北澤:もう、本当にそのときはすごく感じましたね、「よかった」と思って。
中西:ヴェルディに帰れるんだと?
北澤:ええ。僕は中学生時代から読売サッカークラブにいたんですけど、そのときからの想いとかがグワーって出てきましたね。
中西:子どもの頃から生まれ育った場所だから。修徳高等学校に行って、ホンダ(現・ホンダFC)にも行きましたけれども。
北澤:詳しいですね。
中西:僕の1つ上ですし、常にテレビに出ていた人なんで。僕は高校選手権もテレビで観ていたんで知ってます(笑)。でも、そういうふうに自分が育ってきたクラブを、サポーターも育ててくれたと思うんですけど、クラブがあるからこそ、サッカーができるとかね。クラブという存在があるからこそ、応援もできるし。今回のクラブワールドカップなんですが、やっぱりクラブのワールドカップが行われるということに新しい目標ができたわけじゃないですか。去年は真剣に浦和レッズがACミラン(イタリア・セリエA)と試合をして、世界のクラブ、トップクラブと真剣勝負ができたと。今回リガ・デ・キト(エクアドルリーグ)もそうですし、パチューカもそうですし、アデレードもそうですし、アルアハリもそうなんですが。各大陸のクラブが、世界的な強豪クラブと戦えると。そうした新しい喜びも、このクラブワールドカップというのはもたらしてくれているんじゃないですか?
北澤:クラブ創りの考え方が根本的に違いますからね。日本のJリーグでいえばアジアを勝ち抜けるだけのチーム創りをしていこうって、そこから始まっていますからね。それが去年も実現したわけで、その先では世界に向いていくってことですよね。そうなってくるともう、今までの創り方とは全く違うんじゃないですかね。
中西:今回はトーナメントでやっていますけど、僕は本当は、時間があればもうちょっとやってもらって、Jリーグのクラブが世界各大陸のチャンピオンとやって欲しいですよ。
北澤:そうですね。
中西:例えば、今回は逆の櫓(トーナメントブロック)にいるチームと、ガンバ大阪は決勝戦に進出しなければ対戦できないですけど、リーグ戦方式となれば戦えますし、サポーターもどういう国かな、どういうチームなのかなって勉強することで交流するし、いろいろな新しいことがわかるじゃないですか。そういうことにいつかなるといいなと僕は思っていたんです。
北澤:南米のチームとアフリカのチームとか、距離がありますからね。いろいろな意味でわからない部分がたくさんあって。そういった意味で知れるっていうことは大きいですからね。
中西:この間、僕も北澤さんも一緒にその場にいたんですけど。JFAのこの建物の中で行われた理事会に、僕も北澤さんも出させていただいていて。
北澤:そんなこと、言っていいんですか?
中西:言っていいんですよ。話してはいけない話はしませんよ。広報委員会という新しい会に、僕も北澤さんも一緒に入っていて、いろいろと日本のサッカーの広報をどうしていくかということを考えているんですけど。そこで、日比野(克彦、アーティスト)さんが素晴らしい話をされて。日比野さんも実は今回、広報委員会に入っていただいてですね、日本のサッカーのためにいろいろなことを考えてくださっていただいているんですけど。そのときに言った言葉ですごい印象に残っているのが、「人は移動した距離で進化する」という話なんです。たくさん移動した人はやっぱり進化するんですって話をしてたんですよ。
北澤:見て学んでね。
中西:見て学んで、知らないところに行くっていうことが。それは国内だろうが、海外だろうがっていう話なんですけど。先程、パチューカの方が日本に来られた話しがありましたけど。いろいろなサポーターが来られて、きっと日本を見て、「日本はいい国だって」。パチューカの亡くなられたサポーターのご家族も、「日本は素晴らしい国」だっておっしゃってくれたんです。人々がすごく優しくて、来て良かったっていうことを言ってくれたんですけど。そうやっていろいろな国の人に日本を見てもらって、知ってもらえるよさもあるし。今年は各会場でリーフレットを配るんですが、これくらいのちっちゃなリーフレットを。そこにですね、各大陸の言葉で、英語やスペイン語とか、エジプトの言葉だとか、わかりやすく日常会話が書かれているんです。「ありがとう」とか、「写真を一緒に撮ってください!」とか、「ようこそ日本へ」とか。みんながそういう言葉とかも話せるようにと、リーフレットっていうのが会場で配られる予定になっています。もしここに来て、今回いろいろな国のサッカーを観たり、応援したりする機会があったら交流するっていうのも、サッカーのいいところだと思うんですけど、文化として。
城:そうですね。ピッチ内だけじゃなくて、国際交流という形で。日本人だとどうしても、僕もそうですけども、違う言葉の人が来ると萎縮してしまう。
中西:躊躇しますよね。
城:あとはなんて話したらいいのかわからない。切り口がやっぱり出せないというのがすごくあって。でも、そういうリーフレットがあると、なんかきっかけになって。本当にカタコトだけでいいんです。
中西:「ようこそ、日本へ」って言ってね、「写真、撮りましょう」みたいな。
城:「一緒に写真撮ろうよ」とか。そういった繋がりがドンドン出てくると、自分の人生の中でもやっぱりもっともっと大きくなっていきますし。サッカーっていろいろな人にすごく交流をもたらせて、幸せにするスポーツだと思います。
中西:だから北澤さん、リガ・デ・キトって言われても、エクアドルってあんまり普段生活していくなかでは分からないじゃないですか。
北澤:南米はわかりますが、エクアドルってどこにあるんだろうかみたいなね。
中西:首都のキトの紹介が出ていますけど、キトはわからないですよね。
北澤:もう大変。キトの空港って、標高2800mくらいにあるんですよね。
城:そうです。僕、行ってきたんですよ。
中西:そうでしたね。
北澤:距離も距離ですよね。
城:距離も距離ですしね。日本から乗り継いで丸1日かかりますね。
中西:どこで乗り換えですか?
城:僕はですね、アメリカ経由で行ったんですけれども。標高が本当に2800mのところなんですよ。
中西:ホームページにも書いてありますね。「キトは標高2800mの高地にある、人口約180万人の都市」と。
城:そうなんですよね。
中西:どんな感じなんですか?
城:まずですね、もの凄く息苦しいです。本当にそうなんですよ。
北澤:夜、寝てて呼吸ができなくて、苦しくて起きるんだもん。
城:分かります。
中西:本当ッスか?
北澤:「ウーッ!」、息、吸えてねえ! みたいな。本当だよ。
城:足りないんですね。入ってくる酸素の量が足りなくて。
中西:じゃ、常に頭痛ですか?
城:頭が痛くなったり。
北澤:寝られないよね?
城:寝られないです。
北澤:熟睡できない。
城:そうなんです。だけど、1時間くらい寝ると意外にスッキリするんです。
中西:そうなんですか?
城:本当ですよ。僕、4日間行ったんですけど、本当に毎晩1時間か2時間ずつくらいしか寝られないんですよ。
中西:毎晩?
城:小刻みに寝るんですね。1時間寝たらサッと目が覚めて、苦しくなったりとか。しばらく経って、また1時間ちょっと寝てとか。
北澤:本当に登山家だよな、話がね。
城:本当にそうなんですよね。
北澤:キツイんだ、本当に。
城:僕ね、実は実際に彼らのクラブハウス、練習場に行って、一緒に練習をちょっとさせてもらったんですよ。
北澤:え? 練習したの? なんか、南米のチームってそういうのがいいよね。
城:そうなんですよ。
北澤:普通、NOですよね。
城:普通は誰だか分からないヤツとはやらないという話なんですけど。でも、エドガルド・バウサ監督から、「日本から来たんだって? じゃあ、やれ!」って言われてですね。
中西:いや、別に現役の選手じゃないですし。解説者ですよね? 
城:でも、こうボールを蹴ったりしたんですけど。
北澤:またいい環境ですね。
城:いやこれ、本当に練習場の脇にすぐクラブハウスがあるんですけど、芝も、凄くよく整備されていまして。
中西:砂場のグラウンドがあるんですね、足腰を鍛えるための。これ、あるといいですよね。
城:大きなグラウンドがたくさんあって。
中西:この写真がクラブハウス?
城:そうです。クラブハウスです。
中西:「2005年に改築され綺麗になった」と書いてありますね。
城:すごく綺麗なクラブハウスで。みんなここで着替えたりもするんですけど。そこも、実はちょっとテレビでは流していませんでしたけど、実際に見に行ってます。すごくいいところで、ジャグジーもあって。
中西:選手は優しかったですか?
城:選手はものすごく明るいです。それで、選手も僕のことをからかいながらですね、「一緒にやろうよ」という話になって。プレーをしたんですけど、ものの5分で息が上がりましたね。
中西:僕は、「おまえ、凄いからこのチームに残っていけ」と言われたのかと思ったんですけど。
城:実は、本当はもの凄いヤル気だったんですよ。「これは見せてやらなきゃいけないな」と思ったんですけど、その前に心臓がもうバクバクしちゃって。
中西:でも、寝られないのに走るっていうのは・・・やっぱり、走るの大変なんですか?
城:走るのも大変ですしね。ちょっとダッシュを2、3mパパッと2回くらいすると、本当に息が入らなくて、膝にこう手を当てながら息をしないとね。
北澤:固まるよね。
城:固まりますね。
中西:それは城さんが引退して、練習不足なだけなんじゃないですか?
城:それもありますよ。実際ありますけれども、でもさすがにですね、そこまでやはりこう・・・
中西:息切れにはならないですよね。
城:なりませんからね。ある程度はやれると思ったんですけど、全くやれませんでした。
北澤:よくアウェイで行くわけじゃないですか。相手チームは大変だと思いますよ。
中西:だから、南米予選のときにみんなアウェイだと負けちゃうんですよね。クラブチームだけじゃなくて代表チームも。よくブラジル代表もアルゼンチン代表も苦しんでいますけど。
北澤:キトはたぶんね、ここでやりたいと思ってますよ。
中西:クラブワールドカップを?
北澤:クラブワールドカップを。
城:監督が言ってましたよ。いろいろなクラブが来ても、こっちでやるときは後半の15分くらいでダメになるらしいですね。だから、「自分たちはここがホームだから、負けることは絶対にない」と。
北澤:負けないもんね。
城:絶対負けないんですよ。だから、やりたいと思いますよ。
中西:じゃあ、アウェイに行ったらバシバシ走れるんですかね。だって、陸上の選手とかみんな、高地トレーニングしてるじゃないですか。昆明(中国)とか行ってるじゃないですか。そういうことじゃないんですかね。
城:たぶんそうだと思いますね。
中西:日々ここで練習してるんだったら、普通の標高0mのところに来たら「いやー、空気美味しいな」とか。
北澤:「全然、走れちゃうよ」みたいなね。
中西:「酸素の濃度、濃いな」みたいな。
城:そうかもしれませんね。
中西:そういうイメージなんですけど、違うんですかね。
城:でも、高すぎてちょっとどうなのかわかりませんですけどね。体に負担は相当かかるので、そこで日常ずっとトレーニングをしているから、心肺機能的には僕は上がっていると思うんですけど。
北澤:これまでは下の方に降りていってもなかなか勝てなかったけれども、今回はビッククラブを破って勝ち上がってきたわけですから。
中西:そうですか。サッカーのレベルがかなり上がってきているっていう話ですよね。この写真はスタジアムですね。
北澤:すごいですよね、カサブランカ。
中西:「エクアドルでは初めてクラブが自前で建てたスタジアム」
北澤:すごいよね。
中西:このゴール裏がかっこいいですね!
城:そうですよね、ちょっとね。
中西:なんかバッて広がっている感じ。屋根がなくて、ちょっと。本当は屋根を付けて欲しいんでしょうけど。
北澤:でも、これは浪漫ですよね。だって、そこまで経済的に発展している国でもないですし。ここまで造るというのは、もうサッカーへの思いですよね。
中西:書いてあります、書いてあります。「このボックスシートはスタジアム建設時に売りに出されて2万5000ドル(約250万円)で売られ、即完売だった。ボックスシートの権利は永久に有効で、スタジアムでやるコンサートなどもタダで入れる。また親から子への相続もできる。現在の市場取引価格は6万ドル(約600万円)とのこと」。ゴルフの会員券みたいですよね。
北澤:凄いですね。
中西:これはグラウンドの横にビルディングが建っている感じじゃないですか?。
北澤:というか、こういう歴史があるクラブは、このグラウンド、このスタジアムに行くだけでも価値がありますよね。
中西:クラブ文化というか、スタジアム文化もありますものね。
北澤:スタジアム、ピンで勝負できるね。
中西:ピンって!
北澤:行きたいと思いますものね。
中西:マンUを見てみますか。「マンチェスター・ユナイテッドの世界最高レベルの練習場の秘密に迫る!」。北澤さん、マンUの練習場に行ったことはありますか?
北澤:ありますね。
中西:マンUはスタジアムが恐ろしくすごいですね。ちょっと今は古くなってきてますけど。
北澤:それがいいんじゃないのかな。
中西:ちょっと雰囲気がありますよね。選手がこう入っていくところとか。練習場の写真ないですかね、オールドトラフォード。
北澤:オールドトラフォードはですね・・・
中西:ありますね。「練習場の秘密に迫る」、「2000年ぐらいに今のところに移った」
北澤:写真がないようですね。
中西:撮影不可ですって。「基本的には練習はメディア、サポーター・ファンには公開しないので、敷地内に関係者以外立ち入れないようになっています」
北澤:「ピッチは20面以上あると思われる広さです」
中西:20面!
北澤:「以上あると思われる広さです」
中西:あらー。
北澤:まあ、だけどイングランドはほとんど10面ぐらい、持ってますものね。
中西:アーセナル(イングランド・プレミアリーグ)へ僕はこの間も行ってきましたけど。あっちも、基本10面以上ありますからね。
北澤:これもまたクラブの歴史ですよね。写真を出さないっていう。
中西:イングランドは本当にね・・・
北澤:見せてくれないですからね。
中西:週に1回だけ。アーセナルのユースの試合があるときだけ、クラブハウスに近いところ、入口から近いところで試合が観られるんですけど、基本的には入れないんですよ。今回もいろいろな国が来ていますから。みなさんも今回、新しいクラブを知ってですね、クラブの歴史をちょっとこう紐解いてみてください。日本のチームが絡まない試合もありますけど。どういうスタイルのサッカーなのか知るだけで、行ってはいないですけど、行った気持ちになれるかと思うので。そういうのもクラブワールドカップっていうときにこう、楽しんで欲しいと思うんですけど。
北澤:いろいろな違いを知ったりとかですね。
中西:ワイタケレ・ユナイテッド(オーストラリア・Aリーグ)とアデレード・ユナイテッド(ニュージーランド・フットボールチャンピオンシップ)はお隣ですから。比較的にスタイルは近いのかもしれないですけど、アルアハリにしてもリガ・デ・キトにしてもパチューカにしても、いろいろなスタイルを観せてくれると思うんで、ぜひともみなさん、他のこういうサイトなども見ていただきたいと思います。本大会の間に、このカードだったらどんなチームなのかなって、場所とかサッカーとか文化とかっていうものを見ていただくのも楽しいかなと。ここで、文化について話をひとつまとめたいと思います。城さん、日本も世界も話に出た通り、クラブというもの、要するにみんなが帰る場所や、こういつも応援できるものがあるということがやっぱり素晴らしいってことが、ここまで話してきてわかりました。城さんなりに、クラブがある喜びっていうのはどんなふうに考えられていますか?
城:もちろん先ほど北澤さんが言われた通り、本当に選手としては自分が帰る場所。でも、それを支えてくれているのはやはりサポーターであって、ファンの方々であって。だから、そういった部分でやはり大切なものであって、これは無くならないものだと僕は信じています。でも、日本の場合はもっともっと拡大していく。もっともっと、やはりこう「自分たちのクラブだ」とサポーターが思えるようなクラブ創りをしていくことがすごく重要なことだと思いますし、それに期待したいですね。
中西:そうですね。あとはその先ほど話に出ましたけど、クラブハウスとか、スタジアムというのもなにか、自分たちの家みたいなものですからね。
城:そうですよね。しかも、毎日トレーニングもしますし。そういったところに足を運びますからね。そういった部分ではまあ、段々とこうJ2のクラブでも少しずつ施設面もよくなってきていますから。そういったものも、やはりもっともっと日本のクラブも大きくしていくといいですね。そういった環境が整ったのと同時に、技術とかというのもアジアから世界へというのが一番、僕は理想なのかなとは思いますね。
中西:北澤さん、スタジアムも、やはり自分たちのスタジアムが味の素スタジアムだと、「あぁ、オレたちの家だから」ってことで、選手たちもサポーターたちも愛着を持てると思います。スタジアム自体が先ほど北澤さんも話していましたけど、「ここだけでも行く価値があるよね」みたいなものを。これから、自前のスタジアムっていうのをJリーグが持てる日がいつか来るとは思うんです。
北澤:おもしろいですね。
中西:そういうものも、ひとつ目指すところなのかなと思うんですが。
北澤:それはスタジアム造りだけではなくて、雰囲気だったり。歴史は人が創っていくものなので、選手だけではないと思います。サポーターと一緒になって創っていくということに、価値観が出てくるものだと思いますし。またそれが、聖地と言われるようになっていくんじゃないかなとは思いますね。まあ、クラブそれぞれありますけどね、こういうクラブを通して何かこう自分に活かされるものが出てきたりとか、そういうふうになってくると、もっとクラブとの距離感みたいなものが近づいてくると思います。今回そういった国際交流なども含めたなかで、いろいろなものを感じてもらえればなと。あと、今回ガンバ大阪じゃないですか。ガンバ大阪のファンだけではなくて、サッカーの入口を同じにした仲間として、日本のみんなで応援しなければいけないなってすごく感じますね。
中西:我々の代表として。
北澤:この時ばかりは代表として行くわけなので、これは共通した価値観を持ってもらいたいなと思いますね。みんなで応援したいと思います。
中西:はい、クラブ文化についてお話してきましたが、このあと各チームの話に移っていきますが、今回の対戦カードを見ていただきたいと思います。みなさんはもう、当然ご理解していると思いますが、【M1】(2008年12月11日国立霞ヶ丘競技場)から順番に見ていきましょう。先ほど話をちょっとしたのですけど、ガンバ大阪が優勝したということで、アデレードも出場権を獲得しました。アジア代表とはいえ、オーストラリアは昨年まで、オセアニアだったわけで。一方、ニュージーランドに関して言うと、このなかではおそらく少ないチーム数の中から出てきチームですね、城さん。
城:そうですね。
中西:ある意味、南半球対決ですね。
城:そうなんですけども、ワイタケレというチームは、多分みなさんにあまり知られていない部分があると思うんですけどね。僕、実はすごい注目している選手がいるんですよ。
北澤:元ワイタケレの岩本輝雄さん(ニュージーランド・サッカーリーグ・オークランド・シティFC)?
会場:笑い
中西:それ、笑うところじゃないですよ。しかも、同じ事務所の後輩じゃないですか。
北澤:去年? その前でしたかね?
中西:一昨年ですかね?
北澤:一昨年ですね、岩本選手が出場したのは。
城:そうなんですけど、僕が注目しているのはフォワードのトトリ(ベンジャミン)っていう選手なんですよ。
中西:あっ!
城:あの選手は・・・
北澤:ちょっと出ましたよね? 前の大会に。
城:そうですね。出たんですけれども。やっぱり、素材がいい人がいるんです。だから、彼が爆発したりすると意外に初戦だったら、ワイタケレが勝利する可能性もあるんじゃないかと。
北澤:ちょっとアフロっぽい人でしょ?
城:そうです、そうです。
北澤:すごいリズム感があって。
城:独特のリズムがあるんですよね。
北澤:そうだね、子どもの頃は裸足でサッカーしてるもんね。
中西:走り回っている感じじゃないですか。自然の中で生きてる感じですよね。音楽とか。やっぱり、砂浜もあるしね。素材はかなりいんじゃないですかね。アデレードはどうですか? 僕、昨日ある方に聞いたんですけど、「アデレードは弱かったね」って。
北澤:決勝の印象が強いですかね。
中西:決勝の印象が。鹿島アントラーズの試合(2008年9月24日、オーストラリア・ハインドマーシュ・スタジアム、アデレード・ユナイテッド1-0鹿島アントラーズ)をご覧になった方はたぶんわかると思うんですけど、鹿島との第2戦は強かったですよ。
北澤:強かった。あと、ジーコさん(FCブニョドコル監督、ウズベキスタン・アルトゥール・アントゥネス・コインブラ、)のチームと対戦(2008年10月8日、オーストラリア・ハインドマーシュ・スタジアム、アデレード・ナイテッド3-0FCブニョドコル)しましたよね?
城:はい、しましたね。
中西:あのときも強かったですよね。すごい強くて、ガンバ大阪はイヤだなと思ったら、出場停止とか、ケガ人が出たっていうのもあったんですけど、僕はダメなチームではないと思うんですけど。ピシッとメンバーが揃っていて、ケガ人が出なければっていう気持ちがあります。北澤さんどうですか?
北澤:やり方として、オーソドックスなチームだと思いますよ。一番整っているのは守備のところでしたね。ヴィドマー(アウレリオ)監督が、サンフレッチェ広島にもいましたけど、頭のいい組織作りをして。そんなにテクニックとかなんとかって驚くようなものが出てくるわけじゃないんですけど、対戦しているチームをなにかこのチームやりにくいなみたいな感じにさせる。だから、守備の部分で固さを創るという。その辺りは凄く、ある意味組織的で魅力的なチームだなというのは感じましたよね。中心にいるのがジエゴ(リバス・ダ・クーニャ)でしたっけ?
城:そうですね、ジエゴ。
中西:ブラジルのね。
北澤:ボールテクニックやキープ力だったりとか、スルーパスだったりとかっていうのを、真ん中にいるんですけど。基本的にはサイドからの攻撃というスタイルは、しっかり構築されているチームじゃないかなと。
城:カッシオ選手も来ましたけれども、体がとにかく強い。もの凄く強いって言っていましたから。そういった部分では本当にこう、テクニックはね、確かにそこまで凄いわけではないかもしれませんけど、組織力であったり、そういったところではいいチームだと思います。
中西:鹿島アントラーズのゲームはうまく守備から入れて。彼らのリズムは、きっと守備から入るリズムだと思うんですけど。ガンバ大阪の試合(2008年11月12日、オーストラリア・ハインドマーシュ・スタジアム、ガンバ大阪2-0アデレード・ユナイテッド)に関して言うと、第1試合の前半に2点獲られたんですよ。で、その2点が2点とも、中盤のミスから獲られたんですよ。あれでたぶん決勝戦のゲームプランが全て崩れて、前にいかなくなってしまったっていうのがあると思います。だからそう考えると、一発勝負で守備がしっかり入れて中盤でミスをしないような、1回そういうミスをガンバ大阪のゲームでしているから、敢えてそこは気を付けてくるとは思うんですけど。ビルドアップの方でミスから2点獲られて、ルーカスでしたかね? ああいう形で獲られなければアデレードはやりにくいチームだなって思います。逆に言うと、そこが狙いどころですかね。相手にボールを持たせて先に、早いうちからプレッシャーをかけてっていうのも北澤さん、有効なのかなと。
北澤:やっぱりディフェンスの能力とかを見極めて、そこから1歩1歩行った方が勝てるんじゃないですか。もう同じような繰り返しはアデレードもしないと思いますけど、勝ち上がった場合にガンバ大阪と当たったときに。アデレードはガンバ大阪には勝てないでしょ。
中西:それは、【M3】(2008年12月14日豊田スタジアム)の話じゃないですか。ちょっと待ってください。まだ後なんですよ、北澤さん。
中西:えっと【M2】(2008年12月13日国立霞ヶ丘競技場)、城さん、どちらが勝つのか決めてください。
北澤:トトリのいるワイタケレ?
城:トトリは評価できますけど、全体的なことを考えるとやっぱりアデレードですかね?
中西:いやいやいや。みなさんはどちらだと思いますか? ワイタケレだと思う人、手を挙げてください? 誰もいないですね。アデレードだと思う人はいますか?
北澤:オレもそうですけどね。
中西:アデレードでいいですか?
北澤:うん、いいですよ。
中西:今日は、東京、埼玉、千葉とかいう近郊を離れた凄いところから来ている方もいらっしゃるんですよね。
北澤:どこですか?
中西:全国から来てるんですから。どなたか、自分は遠いところから来たっていう人いますか? 自信を持って手を挙げていただいてください。アレ? いないんですかね?
北澤:メキシコからとか。
会場:笑い
中西:おもしろい! どなたかいらっしゃいませんか? 例えば、僕は九州から来ましたよとか。
北澤:関東以外は?
中西:いないじゃないですか!
会場:笑い
北澤:みんな、山手線で帰れる範囲なんですよ。
中西:でも、応募してくれた人のなかに九州の人とかいたんですよ。
北澤:そう聞きました。
城:先ほど、聞きましたね。
中西:せっかくですから、一緒にやっていきましょう。次は、アルアハリとパチューカです。
北澤:こっちは分かんないですよ。
城:難しいですよね。
北澤:こっちは大変だ。
中西:本当に分からないですよね。例えば、「分かんない」って僕らが言うときは意味があって、バカだからとかじゃないんです。クラブのスタイルでやってることが違うとか。あと、測るものさしが大陸によって違うんで。この【M2】だけではなくて、【M4】もそうなんですけど。この3つの国がどうなるか、やったらどうなるかって想像がつかないですよね。
北澤:ホント、リーグ戦にして欲しいですよね。
城:難しいですね。昨年、パチューカに僕行ったんですけど。
北澤:メンバーはそんなに変わらないですよね。
城:メンバーはそんなに変わらないんですけど。パチューカが向こうのリーグでやっているサッカーって凄いですよ。ディフェンスラインからドリブルしたりですね、もの凄く1対1にこだわるような戦い方をして、スピーディで速い展開をするんですけど。昨年のクラブワールドカップは1回戦で負けましたけれども(2007年12月9日国立霞ヶ丘競技場、エトワール・サヘル1-0CFパチューカ)、そのときは全く自分たちのサッカーができなかったんですね。聞けばコンディションの問題だったりとか。
北澤:家族を連れて来ていましたからね。
城:そうですね。いろいろな問題がありますから。そういった部分では、たぶん昨年の悔しさがあるじゃないですか。だから、今年は1番乗りで来てますからね。
北澤:凄いよね。
城:意外に僕はやるんじゃないかという気もしますけどね。アルアハリも・・・
中西:この2チームはこれまでも来ているわけじゃないですか。経験がある。ある程度、最初はお祭り気分で来ていたかもしれないですけど。だって、試合の合間に京都とか行ってましたもん!
会場:笑い
北澤:それ、サプリサ(デポルティーボ、コスタリカリーグ・サンホセ)だ。
中西:そりゃ、日本に来たら日本の文化に触れればいいとは思うんですけど。それは別に悪いと思わないんだけれども。この2チームはもうクラブワールドカップの怖さも知っているし、日本にも慣れているし。だから、今回は楽しみなんですよね。どういうふうに調整してきているか。
北澤:経験アリだからね。
中西:経験アリだから。しかも、力はある。大陸チャンピオンに2回続けてとかですかね。アルアハリは、その国内リーグとか予選とかメチャメチャ凄い、映像観ましたからね。
北澤:そうですね。【M2】、大注目だと思いますよ。
中西:注目です。
北澤:僕は、ずっとアルアハリの応援をし続けました。
中西:はい。
北澤:でも、裏切られている。戦い方を観ていると、テクニックも高いし、能力も高いし、スタイルを持っている。なのに、なんでここにきてそんなに勝てないんだろうって。だけど、一昨年、3位(2006年12月17日横浜国際総合競技場、アルアハリ2-1クラブアメリカ)になってるんいるんですよね。大会得点王がアブトレイカ選手なんですよ。
中西:城さんもおっしゃったように、パチューカはディフェンスはドリブルをしてでもこう崩すというか、要するにもう遅攻ですね。
城:そうですね、崩せる能力はありますからね。
中西:そういうチームですけど、北澤さん、アルアハリはどういうスタイルですか?
北澤:似てますよ。アフリカでもすごくポゼッション率が高い。
中西:基本は、遅攻でいけるチームなんですね。
北澤:ただ中心にいるのがアブトレイカ選手なんですけどね。
中西:じゃ、ガップリ四つ・・・
北澤:・・・の試合ですよ。
中西:繋いで、繋いで。
北澤:そう、お互いに。
中西:おもしろそうですね。なんか、ミニゲームのデッカイ版みたいな感じに。
北澤:こだわるところはボールポゼッションだよね。
中西:どっちが勝つんですか?
北澤:オレはアルアハリだよ。
中西:毎回ハズれているんですよね。
北澤:毎回・・・だけど、3位になった経験も持っているし。
中西:城さんは?
城:確かに経験は大きいですよね。北澤さんが言われた通り、3位という経験もありますし。
中西:勝っている経験は持っていますからね。
城:日本に来たことがある。パチューカも来てますけれども。パチューカはたぶん、前もって来て調整はするでしょうけども。やっぱり、決定力という部分では本当に秀でているアブトレイカ選手がいますから、ここはやっぱり彼の活躍というのが注目されるところなので。もしかしたら・・・そうですね、分からないですね。お客さんはどうですか? 難しいですよ。
中西:フルータスさんの先ほどの話もありましたしね。パチューカに関してはサポーターの想いっていうのもあり、「今回は絶対に勝つぞ」っていう気持ちでパチューカは来てますからね。どっちですかね?
北澤:どう思いますか?
中西:僕ですか? 僕はアルアハリですね。
北澤:おっ! なぜ?
中西:やっぱり僕は、アルアハリの選手はしっかり経験があるので、その経験というのは国際経験という意味で。パチューカの選手も、こういった大陸外に出てくることもチョコチョコは当然ありますけど。アルアハリの選手の方がヨーロッパに近いし、交流できる部分があり、逆に海外の選手も入っていけるので・・・そうか、当然入ってきてますよね、パチューカの方も。ただ、近い地域での人的交流じゃないですか。だから、アルアハリの方がいろいろな経験値が高いんじゃないかなって思っているんで。さっき言っていた、3位になっているとうのもありますし。勝っている経験を持っているっていうのも大きい。
城:アルアハリにしましょうよ。
中西:国立、同じグラウンドで試合をやっているっていうのもね。
城:それは大きいですよね。
北澤:この試合、昼間なんですよね。
中西:そうです。それを僕はちょっと思っているんですよね。どっちがいいですか? パチューカだと思う人? おー! やっぱり結構いますね、パチューカもいいチームだからね。はい、OKです。では、アルアハリがいいと思う方は?
北澤:ヨッシ!
中西:手が挙がった数でチームが勝つとは限りません。でも、アルアハリ。一応、アルアハリにしましょうね。パチューカを応援してくださったみなさん、怒らないでくださいね。勝つ可能性も十分にあると思いますからね。ここは本当にわからない。一番解らないかもしれませんね。では、【M3】を北澤さんどうぞ。
北澤:どっちが勝つか? ガンバ大阪に決まってるじゃないですか! ただ、一つの見方として、今後Jリーグにアジア枠とかできるじゃないですか。日本の各クラブの、そういう役職に就いている人たちはアデレードにいい選手がいないかなって見ているでしょうしね。
中西:アジア枠が導入されて、Jリーグは外国人3選手のほかに、アジアの方なら1人OKになったんでね。
北澤:そうしたらオーストラリアの人、OKですもんね。
中西:だから、アデレードの選手が欲しいって言っているJリーグのチームもあるみたいですからね。もうすでに動き始めているとは思いますけど。そういった見方も当然できてくるでしょうし。アデレードが一応勝つって予想して、ここはアデレード対ガンバ大阪と。城さん、やっぱりさっきおっっしゃたような試合の流れになりますかね?
城:そうですねー。
中西:先にどっちが獲るかってことが、まず大事になってきますけど。ガンバ大阪も先にこじ開けられないと、後半まで0-0だと結構やりづらくなってきますよね。
北澤:先に獲られたらキツイですよね。
城:でも、西野監督ですからね、超攻撃的サッカーで。
北澤:西野さんの下でやったいましたもんね。
城:そうですね、僕もやってますけど。西野監督もフォワード出身の方なのでやはり攻めが大好きで。そういった勝ち方とか、ガンバのスタイルっていうのをドンドン出したいと言っていたので。ここは間違いなく3点ぐらい差がつく気がしますけれどもね。そのぐらいの破壊力ってあるじゃないですか。
北澤:アデレードはガンバ大阪に勝てないと思う。
城:しかも、1試合やりますからね、【M1】で。1試合やってからですから。
中西:移動もあって。中2日ですよね。11日に試合して、12日、13日で、14日ですからね。まぁ当然ガンバ大阪はホームで、体調を整えてやれるでしょうし。それも大きいかなと。
北澤:豊田スタジアムって凄くいいですよね。
中西:いいスタジアムですね。非常にいいスタジアム。
北澤:芝とかももちろんだけど。
中西:角度がね。
北澤:角度がよくて。サポーターの声とかもボワーッと響くスタイルだよね。あそこで観て応援するっていうのは、凄い震えるんじゃないかと思いますけどもね。
中西:まだチケット売っているみたいなので、ぜひとも観に行かれて。ガンバ大阪が勝つところを観られるかもしれないですしね。【M3】はガンバ大阪で大丈夫ですか?
城:多分、間違いないですよね。みなさんもそうですよね?
中西:私は絶対アデレードが勝つという方は? なんでそんなに睨んでいるんですか?
会場:笑い
北澤:いや、いるのかなと思いまして。オーストラリアの人がいるのかなと思いまして。
中西:アデレードが勝つと思う方はいらっしゃいますか?
城:挙げにくいですよね?
中西:ガンバ大阪に勝って欲しいって思ってるんですよ。そういう気持ちなんですよ。続いて、アルアハリ対リガ・デ・キトになったらね。でも、これパチューカ対リガ・デ・キトでもおもしろいですよね。
城:そうですね。組み合わせ的にはおもしろいですけどね。でも、リガ・デ・キトの情報を言うと、エドガルド・バウサ監督と話をしたんですけど。
北澤:アルゼンチンの人?
城:そうですね。アルゼンチンの監督なんですけど、日本に行くのも初めてだということで。僕、いろいろと聞かれたんですよ。日本の気候はどうなんだとか。
中西:じゃ、情報は城さんから入っているんだ。
城:そうです、僕が入れました。芝の感じはどうなんだとかね。
北澤:監督すごいですね。
城:そういったことをやっぱり聞いてきて。実は、監督が言いましたからいいんですけど、メディアでも言いましたから、システムまで・・・
北澤:公表したんですか?
城:公表しました。
中西:どうなんですか?
城:3-6-1。
中西:3-6-1!
城:で、いくということを断言してましたよ。
会場:笑い
城:これ、すごい難しいですよね。
北澤:どうやったら3-6-1になって、何をしようとしているのかわからない。
中西:とりあえず、スリーバックでダブルボランチで両サイドでトップ下ですかね?
城:という形だと思うんですけど。
中西:それ3-5-2じゃないですか。
城:たぶん、スリーボランチのような・・・
中西:ああ! トリプルボランチ。
城:トリプルボランチでいく可能性が高いかもしれないですけれどもね。なぜかというと、アウェイなんでやはりどういう戦い方をしたらいいかわからないし。気候とか、あと芝とか。いろいろな条件があるので。だから最初は自分たちのサッカーと言うよりもまずしっかり観てみると言ってましたね。
北澤:様子を観て入るんだ。
城:そうですね。点を獲られないようにしてから、まずどうしていくかっていうことを考える。
北澤:キトは、予選中は割と攻撃的でしたよね?
城:攻撃的でしたね。やはり両サイドがよかったんですね。で、今回も来ますけど、ボラーニョス(ルイス)という、エクアドル代表の選手もいますし。勝てるんじゃないですかね。
北澤:あの選手、左利き? 右利きだよね?
城:右利きです。
北澤:なのに左にいるんですよね?
城:そうですね。左にいるんですよ。縦の突破もできますし、中もいける。独特なリズムがありますから。
北澤:凄いのが、右サイドにいたんですよね。
城:いましたね。
北澤:ブンデス・リーガに移籍したんですよね。
城:移籍しましたね。何人かはちょっと変わってるんですけど。監督がそこが本当は一番大きいって言ってましたね。だから、左サイドはボラーニョス選手を中心に攻めていきたいという話をしてました。
北澤:独特なリズム感を持って。
城:あとは、中盤に小さいダミアン・マンソーという人を・・・
北澤:あー! アルゼンチンの?
城:アルゼンチン人。
北澤:す~ごい!
城:凄いですよね。ユース時代とかも、パブロ・アイマール(ベンフィカ・ポルトガル・スーペルリーガ)とか、ああいう世代と一緒で。
北澤:雰囲気はそんな感じだよね。
城:評価も凄かったんですよ。でも、ケガがあったりしてなかなかうまくいかなかったんですけど。彼の左足、左利きなんですけど、左足のキック力が凄いんですよ。練習でも観ましたけど、「こんなところから蹴れるの?」っていうくらい凄いシュートを打ちますから。
中西:一緒に練習してたんですね。
城:はい。
北澤:凄いよね。
中西:それはリアルですよね。
城:だけど、初めてというのもありますよね、不安材料としては。初めて日本に来て、プレーをするわけですからね。
北澤:エクアドル代表で何人かは来ているけどね。
城:何人かは来てますけど、そのメンバーが若干しか残っていないんですね。そういった部分ではどっちが勝ちますかね?
中西:エクアドルの代表を観ても、やっぱりエクアドルのサッカーの進化って著しいじゃないですか、ここ最近ね。だって、2006年、ドイツワールドカップ決勝トーナメント(2006年6月25日シュツットガルト、イングランド1-0エクアドル)も出場してね。
北澤:予選突破しましたからね。
中西:予選リーグを突破してるんですよ。だから、力はあると思います。あとは、今言った日本の気候? 
城:気候とあとは精神面って言ってました。監督が一番心配しているのは精神面で・・・
北澤:秋葉原とか? 
会場:笑い
北澤:そういう感じの精神? いかに集中できるか?
城:あとやっぱり、向こうの人は家族の問題だとか。
北澤:そうですよね。
城:そういう問題があるんですね、離ればなれになってとか。
中西:寂しいとか。
城:寂しいとかですね。いろいろなそういうことがあって、逆に試合よりもそっちの方が心配だと。そこがうまくいくとオレたちの力が出せると言ってましたよ。
中西:それだけ絆っていうのが凄いんですかね。オレたちがそうやって「いやー、家族が・・・」って言ったら、「子どもかっ!」って監督に言われそうですよね。「いや、家族がいないと調子がでないんですよね」とか・・・
北澤:言いたいよね。
中西:彼らにはでもそのぐらい家族が大事なんですもんね。しかも、離れていますからね。確かに、日本までの距離がね。
城:家族も一緒に来たらいいかもしれませんね。家族とか彼女とか。
中西:でも、それがうまく働くときと働かないときがあるじゃないですか。観光気分になるとか。だから、本当に難しいんですよ。だからそれがどう出るか、どう転ぶか。
城:実力はありますからね。アフリカ系の血が入った選手が半分くらいいるんですよ。だから、アフリカの身体能力がプラスされている選手がいます。
中西:うわっ! 技術プラス身体能力。
城:そうですね。怖い存在ではかなりあると思いますね。
中西:どっちですかね?
北澤:アルアハリじゃない?
会場:笑い
中西:やっぱりですか? 史上初の南米チーム決勝進出ならず。
北澤:大変なことだね、それ。ちょっとその辺りは考えた方がいいですね。
中西:あんまり時間が・・・
城:難しいところですね、これね。
中西:どうなんだろうね。
北澤:けど、決勝にアルアハリが行ってもらって、なんかアフリカの、そのアルアハリから入ったアフリカ時代をいろいろと学んでいきたいなっていうのがありますよね。2010年(南アフリカ・ワールドカップ)に向けてもさ。アフリカをきっかけにしたいなと思うですけどね。
中西:ど、ど、どうですか?
城:北澤さんがね、アルアハリと言うのであればアルアハリで。
会場:笑い
中西:年功序列で言うと、北澤さん、僕、城さんですから、完全に。アルアハリだそうです! あの、キトだと思われる方は? あ、僕もキトです。
北澤:キトなの?
中西:はい、僕はキトです。アルアハリだと思う人は? ちょっと迷ってますよ。でも、アルアハリの方が多いな。
北澤:それでも、パチューカだと思う人?
会場:笑い
北澤:負けてるんだけどね、もう。
中西:この3チームのどれがくるかって言われるとね、今までの中で一番解らないかもしれない。キトが未知数という意味で。今まで南米ではね、ボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン・リーグ)とか、サンパウロFC(サンパウロ州選手権・セリエA)、ある程度名のあるチームが来てましたから。
北澤:ボカ・ジュニアーズも破っていますからね。
城:そうなんですよ。
北澤:サンパウロFCも破ってますしね。
中西:ボールポゼッションをしてくるチームが強いのかとかね、本当にこうリアクションしてくるチームが強いのか、もうハッキリ言ってやってみないとわからないじゃないですか。例えば、戦い方を変えているかもしれないいですし。アルアハリだってパチューカだって。だから、その柔軟性がキトだとかね。
北澤:そうですね。
中西:では、アルアハリにしましょう。北澤さんに敬意を表して。
北澤:ありがとうございます。アルアハリ決勝進出ってすごいなー。
中西:南米史上初の決勝進出ならずということで。テレビを観ていてて、もしくは会場にいて、アルアハリが負けたら「なんだよ!キーちゃん(北澤豪)!」って言ってくださいね。
会場:笑い
北澤:それは大丈夫。「なっ?」って言うから。「ねっ?」って。
中西:そのときになんて言うかというと、「それもサッカーですよ」って。
北澤:解説者のよくないところ。
中西:サッカーって難しいんですよね、本当に。さぁ、それではこの【M5】で真打ち登場みたいな。大本命マンU。城さんどうですか? 
城:ここはですね、本当に日本のガンバ大阪に頑張ってほしいんですけど。解説者として観ると、もう明らかにマンU…
会場:笑い
城:それはそうですね。
中西:いきなりこう議論に身も蓋もなくなっちゃっいましたね・・・
城:これはもう議論というよりもですね、やっぱりガンバ大阪も超攻撃的で期待はしてます、もちろん。で、彼らを焦らせて欲しいんですよ。去年は浦和レッズがACミランと戦いましたけど。やっぱり僕たちの目から観ると、本当に、本気で最初からACミランが戦ったかなっていうと、そうじゃないと思うんですね、僕の考え方だと。もう少しACミランのいいプレーとか、選手を観てると、実際の動きよりも少し加減しているような気がしてならなかったんですね。
中西:ギアが一番上までいってなかったと。
城:そうですね。だから、結局やっぱりこういうチームっていうのは決勝から逆算して考えていくんですね。イエローカードもそすですし。もちろんそこに標準を合わせてくるっていうクラブなんで、みなさんも知っている選手、本当に世界屈指の選手が揃っている。そこにガンバ大阪がどれだけ食い付いていけるのかっていうのを、逆に僕は楽しみにしていますし、実力的に考えるとやはり明らかではないかなと。まだまだやっぱり日本のサッカーの選手のレベル、上がってきてはいますけれども世界のトップクラブの選手と比べるとそういう結果になってしまうのかなっていう気はしますけどね。
中西:北澤さん、どうですか。
北澤:だけどあれだよね、よくこんなにもバロンドールを獲った選手が来るよね。タイミングよく。

取材・文/CREW 撮影/新関雅士

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