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ぴあトークバトル スポーツ快楽主義2009 VOL.68
「福西崇史スペシャル」
【 開催日/会場 】 6月1日(月)有楽町朝日ホール
協賛:コカ・コーラZERO
2008シーズンを最後に引退された福西崇史が「ぴあトークバトル」トークバトルに登場。ジュビロ磐田在籍時にも出演経験があり、
今回は約5年ぶりの出演になる。プライベートでも仲の良い北澤豪氏にお越しいただき、
現役生活のエピソード、引退への決断、引退後のヴィジョンなどを2時間たっぷり語っていただいた。

<ホスト>
西岡明彦(スポーツコメンテーター)
1970年愛知県生まれ。'92年広島ホームテレビ入社。入社後、高校野球・プロ野球中継の実況を担当。'98年に退社し渡英。'99年に帰国し、名古屋テレビ放送でSKY sports(現J SPORTS)のプレミアリーグの実況からフリーとしてスタート。スポーツコメンテーターとしてサッカー実況を担当。'04年には株式会社フットメディアを設立し、スポーツ選手・アナウンサー・雑誌編集者のマネジメント業務を行っている。

<ゲスト>
福西崇史(元サッカー日本代表)
1976年愛媛県生まれ。新居浜工高を経て'95年にジュビロ磐田入団。もともとはFWながらドゥンガ(現ブラジル代表監督)に育て上げられ、日本屈指のボランチに成長した。'07年にはFC東京、翌年は東京ヴェルディに移籍し、'08年に引退。日本代表としても'04年アジアカップ優勝、'02年日韓W杯、'06年ドイツW杯に出場。攻守に渡って貢献した。

北澤豪(財団法人日本サッカー協会特任理事兼国際委員)
1968年東京都生まれ。修徳高校から本田技研を経て1991年読売クラブ(現・東京ヴェルディ)へ移籍。Jリーグ初年度の1993年と1994年の優勝メンバー。日本代表としてもフランスW杯出場に貢献した。2003年に引退。現在は「NEWS ZERO」(日本テレビ系)に出演する他、日本サッカー協会特任理事兼国際委員としてサッカーの発展・普及につとめている。


後編
西岡:FC東京のクラブハウスは?
福西:東京ガスの施設でしたから、そのおじさん、東京ガス社員と・・・
西岡:一歩間違えたら、一緒に風呂入ることになるんですよね、申し訳ないですけど。2階へトントンって上がると、テニスをしているおばちゃんたちと一緒ですしね。
福西:そうです。
西岡:小平ですけど、東京ガスの施設なんで、テニスのおばちゃんとね、よく。
福西:午後から練習があるので、ご飯食べに行くとテニス終わりのおばちゃんたちが「お疲れさん!」なんて言いながらビールを飲んでて。
西岡:飲んでるところで食事をするんです。
北澤:それはですね、コミュニケーションをとるためです。違います?
福西:違います。
西岡:プールも夏は開放してます?
福西:僕のときはプールはなかったですね。
西岡:あ、そう。テニスは結構・・・
福西:僕もおばちゃんにはビックリしましたよ。
西岡:これが東京かっていう感じ?
福西:もっと凄いのかと思ったら逆でした、イメージと。
西岡:そうですよね。クラブハウスも東京と言いながら小平まで行くわけですからね。
福西:凄くなじみやすい環境でしたね。
会場:笑い
西岡:自然はたくさんあって。
北澤:そうだね。
西岡:FC東京での1年はどんなシーズンでした?
福西:う~ん、悩みというか、自分を発見できたというか。いろいろな会社の作りもあるし、契約している選手やスタッフもいろいろで。やっぱり磐田にいたときは、自分が2から3を教えればよかったものが、東京に行ったらやっぱりゼロから。こうした方がいいよっていうのを伝えることの難しさというか。自分はその~、クラブハウスのシャワーにビックリしたんですけど、普通の人がシャンプーしてる。
会場:笑い
福西:ビックリしましたよ。
北澤:あの東京ガスの社員が?
福西:はい。本当にビックリしました。
北澤:もともとそういうことは?
福西:話には聞いてたんですよ、施設で他の人もいるからって。だけれども、本当に現場を見ると、「おっ」って。僕的には磐田の方が・・・ショックっちゃぁ、ショック。
西岡:プロとしての環境はジュビロの方が・・・
福西:そうですね。
北澤:クラブによって違いますね。
福西:クラブによって違うっていうので、また幅が広がった。
西岡:確かに動いてみないとわからないもんね。で、なかなか結果も出ない。
福西:そうですね。だから自分の思い通りにやるのか、みんなを引っぱるのかって思って。やっぱり時間がかかるし、11人のなかの1人にならなきゃいけないと思うのは、磐田のときのあぁいうサッカーだけじゃないって自分のなかで思っていて、自分のなかで柔軟に対応していくようにはなりましたけどね。
西岡:勝手な僕の感想ですけど、ヴェルディって個性派じゃないですか、今も昔も。FC東京は結構、おとなしい選手が多いですよね。ですから最近、羽生選手(直剛)に伺っても、キャプテンをやってるんですね、移籍してすぐ「チームがおとなしいから、引っ張る仕事もやってください」って言われてるみたいなんですが。福西さんにもそれをね。でも、移籍したばかりの選手がチームを引っ張るというのは大変でしょうが。
福西:ちょっと時間がかかりますね。
北澤:その選手がいくら、経験を持っていても1年という期間で、そういう雰囲気を作り出すのって難しいと思う。
西岡:どうしても気を遣いますよね。
北澤:気も遣うし、こうガーって言ってもついてくるわけでもないし。シャワーだけの問題じゃない。当時、がんばってたもんね。
福西:そうですね。
北澤:走ってたよね。
福西:走ってましたね。オレ、FC(東京)のとき一番、走ったなって。
北澤:そう感じたね。
福西:走りましたね。やっぱりボールに触らなきゃと思って。
西岡:そういうプレースタイルもあったんですね。
福西:磐田でやってたら、来るっていうか、みんなわかってくれているし、集めてくれるからやりやすかったですけど。「オレに回せ」、「オマエが動かせ」って言わないと。
北澤:引いてきてゴール前まで行ってたもんね。
福西:そうですね。
西岡:ジュビロ時代はある程度ドシっと構えていたら、ボールは集まってくる。そんなに激しく動くという印象はなかったですよね。
福西:そうですね、逆に言うと、動かして自分で動く。
西岡:それがFC東京では自分で動かないとって。
福西:だから、自分のなかで、プレーの幅は広がったなと。
西岡:東京の生活はどうですか?
福西:そうですね、でも東京はいいところですよね。
西岡:何がいいですか?
福西:いろいろ揃っているし。ちょっとでも渋滞が、僕にとって大きなストレス。
西岡:渋滞が?
福西:小平に行くにも渋滞で開かずの踏切とか。知らなかったから、本当に開かねぇなって。
会場:笑い
福西:本当に開かなくて。
西岡:朝のラッシュ時ね。
福西:そうそう。詰まっちゃうわけじゃないですか。なんだこれって。カーンカーンカーン、あっ終わったと思ったらすぐカーンカーンカーンって。
西岡:すぐさまもう。
福西:「行け! 行け!」って。
西岡:朝の渋滞は凄いですよね。
北澤:そんな悩みなんだ。
会場:笑い
北澤:それ以外は東京の問題はないんだ。
福西:そうですね。
西岡:でも最近、解説業も始められて電車も乗るんですよね。電車は大丈夫ですか?
福西:大丈夫です。一番、得意です。ピンって、ちゃんとあのスイカも買って。
西岡:パスモ?
北澤:持ってるの?
福西:パスモ持ってる。
西岡:北澤さんは電車乗らないですもんね。
福西:乗れないですか?
北澤:パスモ、持ってないですね。
福西:え? ピンってできないんですか?
北澤:いや、持ってないからできないですよ。
会場:笑い
北澤:息子と買い物とかに行ったりはしますけどね。
西岡:電車に乗ることは?
北澤:ありますよ、新幹線。
福西:東京駅まではどう行かれるんですか?
北澤:東京駅まで行くことはそんなにはないですけど、普通に乗るときはありますよ。
西岡:普通に乗ってますもんね?
福西:はい。
北澤:だってフク、うちの前を通過していきますもん。あ、電車乗るんだみたいな。
西岡:渋滞を考えると、電車も悪くないですよ。
福西:この時間に来いって言われたときに渋滞で遅れるのは。
北澤:でも、すべて開かずの踏切ばっかりじゃないよ。
会場:笑い
北澤:だいぶ今、電車も下を走ったりとか、上走ったりしてるから、そんなにね。
西岡:選手のときってやっぱり遅刻、厳禁じゃないじゃないですか。だいたい罰金ですよね、遅れると。だからどうしても、こう渋滞も少し予測しながら早めに出ないといけないですよね。
福西:はい、早めに出ましたね。そしたらすいてたとかね。
西岡:凄い前に着いちゃう、みたいな。
福西:「オマエやる気あんな」って。
会場:笑い
北澤:準備が早い。何かこう、例えばゴルフに行くっていったら、それこそ2日前くらいから出発の時間とか目的地までどうやって行くんだとか、凄く気にしてる。
福西:ま、細かいかな。
北澤:オレは全然気にならないから。
西岡:解説するときも、資料をこう我々は置くんですね、モニターがあって、こう手元に資料があって。もう、その角がこうピッタリ合わせありますからね。
会場:笑い
西岡:それを僕、つっこんだことあるんですけど、凄いですよ。一番最初にやったとき、鹿島に行ったんですよ。僕らはどっちかっていうと、ノートはバラバラになってたりとか、スタメンの表がこっちになったりとか、結構お構いナシなんですけど。福西さんのはもうピタッとこう揃っていて、ペンも3本こう並んでる。
会場:笑い
西岡:凄いなーって。
福西:でもそれはしてるけど、書いてなかったりね。なんかおかしいんですよね。
北澤:準備だけなんだ。なんかこう意外とそういうところなさそうなイメージじゃないですか、準備とか。やるんだよね。解説やり始めの頃さ、あれですよ、試合を観まくってましたもん。
福西:解説するのもわからないわけじゃないですか。伝えるのはわかるけど、伝え方とか。解説ってどうやるんですかって聞きましたよね。
北澤:聞いてきたね。いろいろな人のやり方とかチェックしてて、あの人はこうだよねって。
福西:「おー! スゲェ!」とか、そういうの言っていいのかなって。
西岡:解説は難しいですね。
福西:実況も難しいですね。
会場:笑い
西岡:とんでもないです。でもやっぱり、普段からこうサッカーをテレビでご覧になったりする方って、何かしらこう、興味を持ってるじゃないですか。そうすると、僕らも取材に行くと、そういう海外サッカーも含めて、この人の解説はこうだよねとか、この人の実況はこうですねって、なんとなく自分のなかで持っている人が多いんですよね。それを福西さんが引退された後に、たぶん勉強をされて自分なりのスタイルが、北澤先輩を見習いつつ。
北澤:そうですね。
福西:聞きましたね。
西岡:聞いた?
福西:聞きました。
西岡:どんなアドバイスをしてくれるんですか?
北澤:最初はオーストラリア戦のラジオかなんかだよね。実際にやっているわけだしね。
福西:「自分なりに」っていうのは、言ってくれたんですよね。
西岡:オーストラリアと対戦した自分のイメージをしゃべればいいんじゃないって。
福西:「自分の言い方で言えばいいんだよ」って、北澤さんに言われて。
会場:笑い
福西:細かいオレとしては・・・
西岡:それでこの道にね、こう地位を築かれた。
福西:「自分の言葉で自分の思ったことを言えばいいじゃん」って。けど、それ自体がわからなくて。「おー! スゲェ!」でいいのかなって。
西岡:最初、北澤さんが初めてやったことって、なんか勉強とか準備はされたんですか?
北澤:僕は、ヴォイストレーニングに通いましたね。
西岡:ほ~。
北澤:僕ね、自分の声がそんなに好きじゃなくて、かつぜつが悪いから。
西岡:いい声ですよ。
北澤:日本テレビのアナウンサー出身の方がやってるアナウンス学校みたいなのがあるんですよ、そこに行って。
西岡:発声練習とか腹式呼吸とか。
北澤:はい、やりましたね。僕、最初の福西のラジオの解説、オーストラリア戦を観に行ってて、選手たちの様子を中継してたんですけど、ラジオ聞いてましたからね。
西岡:気になったんだ、やっぱり。
福西:初解説ね。
西岡:初解説でどんなことやるんだろうって。
北澤:ゾノくん(前園真聖)と一緒にやったんだよね。
西岡:あー、前園さんと。
福西:難しかったな。
北澤:よくしゃべってましたよ。意外でしたもん、オレ。こんなしゃべるんだなって。
福西:しゃべるじゃないですか。
北澤:うん、的確だったね。
西岡:今回、引退のみなさんへの発表を含めてなわけですけど。ようは現役を辞めますと決断した頃、北澤さんにもご相談があったかと思いますけど。じゃ、セカンドキャリアをどうするかっていったときに、正直まさかこっちの方の世界に来るとは思ってなかったでしたからね。
北澤:思ってないですよ。
西岡:はい、私も思ってなかったです。やっぱり指導者かな、あとはどうするのかなっていう。
福西:指導者もそうですけど、サッカーを外から観て勉強して、自分が何ができるのかっていう、いろいろなものを含めて、いろいろチャレンジしたいなって。
西岡:先ほど北澤さんの引退のきっかけを伺いましたけど、福西さんにとっての引退というのはまさに今年の年が明けて、話もあったし、まだできたし。
福西:大きなケガというのはなくて、まぁちょこちょこ心配なケガというのはありましたけど。それよりも自分のトップレベルで凄い、こう「やるゾ」っていうふうに100%のモチベーションで今までずっとやってきたけど、そのモチベーションが「次、さぁやろう」っていう確信じゃなかったんですよね。そしたらやっぱり自分のなかで納得できなくて、「引退だ」って自分のなかで出てきて。モチベーションということが大きかったですね。
西岡:正直、ヴェルディで1年契約で入って、終わりますという発表がありますよね。
福西:あります。で、あの1試合(2008年12月6日味の素スタジアム、川崎フロンターレ2-0東京ヴェルディ)。ま、ジダン(ジネディーヌ、元フランス代表)かオレだな。
会場:笑い
福西:最後、退場して。
西岡:アレがきっかけっすか?
福西:いや、あれがきっかけじゃないですよ。
会場:笑い
北澤:なかなかないよね。
福西:たまたまですから。
北澤:でもね、あの退場はダメ。あれはありえない。話してたんですよ。フクがいなくなったらマズくなるからって。カードをもらうのが続いてたから、あの試合カードだけはもらわないようにって話してたんですよ。
西岡:もう停止になっちゃうから。
北澤:はい。
福西:何試合か前からね。
西岡:もうずっとそれこそ3枚でずっときてた。4枚目出ちゃうと停止になっちゃうっていうくらいですか?
北澤:カードをもらったらマズい。残り試合をがんばっていこうっていう話をして、それで出たからもの凄く納得いかない。
福西:納得いかないですよ、本当に。まぁ、僕のその戦力外というか、逆に気持ちがね。残る選手のためにもJ1に残って、サラリと辞めたいって思ってて。なんとか残してやろうよと。
北澤:コイツ、そういうつもりだったんだよ、本当に。それなのに・・・
福西:そう、ずっと話してて、キーちゃんに言ってたんですよ。ヴェルディのときからずっと観てたから、今はこんなんですけどね。僕のなかでも小っちゃい頃から黄金時代のヴェルディを知ってたから、名門でできるのは嬉しいですねって。
西岡:クラブハウスにトロフィーがたくさん並んでいるわけですよ、東京にはないですけど、ヴェルディ川崎の。
福西:だから、まぁ過去何回か、赤いカードで退場したのはみなさんもご存知かと思いますけど、あれはさすがに自分でも納得いかなかったですけどね。審判の人も、人間ですからミスがあるのは当然だし、もう仕方がない。
西岡:でもさすがに、しばらく引きずりましたでしょ?
福西:最終節、立って観てましたもん、横でそのまま。
西岡:前半ですよね。
福西:前半です。
西岡:ずっと?
福西:寒いから上だけは着て。
会場:笑い
福西:さすがに寒かった。
西岡:風邪ひいちゃうから。後ろでずっと?
福西:うん。
北澤:わかんないですよ、わかんないですけど、あのバーンってやっとときに、フクがポーンとボールをクリアしてるんですよ。そのボールがレフリーの額の横を通ってるんですよね。だから、ちょっとカチンときて・・・
福西:狙ってないからね。
西岡:この悔しい思いを違うチームで、もう1回というふうにはならなかったんですか?
福西:その自分のなかの確信がないまま、ある程度でやるっていうのが納得いかなくて。それはもう契約してくれるチームに申し訳ないなっていう。他の人たちに、愛媛FCでもいいからって言われて。すっごい悩んで。自分が今までサッカーをしてきて、こういう気持ちになって、ここで一区切りだと思って決断しました。
西岡:その決断は北澤さんには。
福西:しましたよ。
西岡:発表前に辞めますって。
北澤:その前からそういう話はしてましたけど、僕はやって欲しかった。まだできる。
福西:辞めるって言ったら、怒られちゃった。
会場:笑い
西岡:「愛媛でもどこでも行けよ」と。まだできる。
北澤:「もっとがんばれよ」って言ったら、「がんばってますよ」って言い返されちゃった。
会場:笑い
北澤:結構、そこで今までとは違ってお互いに自分の想いを。オレもそんな言う方じゃなかったんで。
福西:そうですね。オレも今までのなかで、怒られたのは初めて。まだ早いだろうとか言われて。だけど、自分のなかではやってきたから「やりました」みたいな。
北澤:真剣に考えているとは思うから、それは真剣にぶつからないと答えは真剣に出てこないだろうし。出してたとは思うんですけど、悩みましたね。
西岡:愛媛FC以外のオファーの話があったという噂も。
福西:そうですね、韓国もありました。最終的には自分のなかの気持ちに従いました。それでやっぱりみんなに言うことも、最後の最後に言う機会があって、「ありがとうございました」って。
西岡:そうですね。そういう決断をされて、新聞の紙面で発表して。もう、すぐに元日本代表の福西ですから、メディアが放っておかないわけですよ。なんとなく現役を一区切りする機会もなく、セカンドキャリアがスタートしたっていう。
福西:次に話をするときは、セカンドキャリアの話でしたね。
西岡:もう、すぐに解説ってどういうふうにやったらいいんですかって。解説業は北澤さん、難しいんですか? もう大先輩ですからね、福西さんはキャリア1年目です。
福西:そうですね、ずっと先輩なんです、入ったときから。選手としても先輩だし、キャリアの経験がある先輩だし。
北澤:どう、やってて楽しい?
福西:楽しいですね。けど、まだ自分だったらこうだなっていうのがまだ。
北澤:あぁ目線がね、選手としての。
福西:サッカーを観てても、自分が選手のときは、選手のコンディションだったりで、あーだ、こーだと観てたけど。今は結構、選手の目線ではなくなってきましたけど。サッカーの観方が変わりました。
西岡:変わるんですか?
福西:こういうこと言ってるんだとか。
西岡:どう変わるんですか?
北澤:言ったとおり、選手のときは自分のポジションを中心に観たりとか。自分のチームを観てましたけど、両チームを観なければいけないから。そういう観方って選手のときはそうしなかったんですけど。比較的、試合中もグラウンドにはいなかったんですよ。
西岡:上から。
北澤:上からです。
西岡:あと問題はそれをいかに的確な言葉で表現するかっていうのが。
福西:それですね、感じちゃいますね。
西岡:ヴォイストレーニングに行った方がいいんじゃないですか。でも、まぁ慣れの問題じゃないんですか。
北澤:そうね。でも、慣れてきたでしょ。
福西:うーん、どうやったらこうかつぜつがよくなるんですか?
北澤:なんか、しゃべったりとか。
福西:早口を言うアナウンサーとか凄いですよね。
西岡:僕はできないです。もう経験に勝るものはないですから、サッカーと一緒で。
北澤:そうですね。
西岡:解説もやればおそらく、どなたでもカラーは出ますし。
北澤:何が大変かって、選手の名前を覚えていくことが大変ですね。
西岡:そうですか。
北澤:やっぱり日本だけじゃなくてスペインだったイタリアだったり、ヨーロッパ、中東も出てきたりするじゃないですか。自分の記憶の限界を知りましたね。
会場:笑い
西岡:もうこれ以上、名前が入らない。
北澤:入れていくと忘れていくみたいな。許容範囲が決まってるんだ、オレみたいな。
福西:でも、ロシア人とかって“フ”で終わる人が多いじゃないですか。
北澤:そう!
福西:そういうとき、選手のときも相手のチームに“フ”が並んでるんですよ、なんとかなんとかって、わからないじゃないですか。
北澤:わかんないよ、カタカナ弱いもん。
福西:“・・・・・・フ”って最後だけね。
会場:笑い
福西:「・・・・・・フ選手はね」って。
北澤:それだけうまそうだよね。
西岡:覚えていかないといけないんですね。
北澤:でも、実況も大変じゃないですか。
福西:僕、西岡さんに「実況、大変ですね」って言ったじゃないですか。凄いこう選手の名前があって、いっぱいコメントしなくちゃいけないし。
西岡:ごまかせないんですよね。
福西:よく覚えられるなぁって。
西岡:慣れですね。
福西:・・・ですよね。
西岡:時間も少なくなってきたんですけれども、ちょうど福西さんのセカンドキャリアの話も出ましたし、今後、これだけの女性ファンのみなさんの前で、福西さん自身がどこへ向かうのか、現役選手を一区切りされて、解説業を始めてまだまだやっていただきたいことはたくさんありますし。
福西:そうですね。僕はサッカーばっかりやってきたんで、まず、サッカーをみなさんに伝える。みなさんに日本のサッカー界を救ってもらえるように、まだやらなければいけないことがあるんだなって思ってて。ただ自分のなかで、他に自分の幅を広げるために営業をしたり、取材をさせてもらったりいろいろなことにチャレンジしていけば、自分の幅を広げられるのかなと思ってます。やっぱり指導者としてライセンスも必要ですし、強い日本を作っていきたいなと思います。そういう手助けになれたらいいかな。
西岡:北澤さん、福西さんにはどういう道を歩んで欲しいですか?
北澤:あのー、俳優になってもらいたいな。
会場:笑い
西岡:華がありますね。
福西:ただね、選手を辞めてから、太っちゃいけねぇなって。
北澤:会うんだよね、朝。帽子かぶって走ってるんだよね。
福西:走ってるんですよ、オレ。
北澤:凄いよね。
福西:凄いよねっていうか、太りたくないですね。まん丸でテレビに出られないですし。
西岡:出たいですか?
福西:出たいですね。
会場:笑い
西岡:解説じゃなくて。
福西:解説ももちろんそうですけど、やっぱ「福西、太ったな」って言われたくないですね。
北澤:そうだよね、言われたくないよね。僕はこの大きさで顔がちっちゃくて、俳優はいけるんじゃないかなって。別にそれだけじゃないですよ。それはもちろん解説もしながら、やって欲しいね。
西岡:元日本代表からタレントさんはいますけど、俳優っていうのはないですね。ありますか?
福西:いないんじゃないですかね。
北澤:ちょっとアメリカンぽい感じがするんですよ。なんだろな、まぁ引退の決意もいろいろあると思うんですけど、ファミリーを大事にするっていう、そういうのがなんていうかこう理由のひとつかなって。大事にするっていうのは、例えばバース(ランディ、元阪神タイガース)とか、大事な試合とかでも子どもが熱出したりとかしたら、試合を止めて帰っちゃったりとかしたじゃないですか、そんな雰囲気を持っている。
西岡:あぁ、バースはよくやりましたけどね。
福西:僕が解説やってるときに「帰る」って言ったら・・・
西岡:「解説よりも子どもが熱出したから帰ります」って言ったら、その後仕事がこなくなっちゃいますよね。
北澤:日本って、わりとそういうところが社会で認められないようになってて、必要なところでもあるじゃないですか。そういうのを打ち破って欲しいですね。
会場:笑い
西岡:やって欲しいですね。
北澤:そういうことも許される社会にして。
西岡:やっぱり家族1番、仕事2番ですか?
福西:・・・まぁ、難しいですね。
会場:笑い
福西:選手のとき、「子どもの出産はぜひとも帰らせて欲しい」って言ったんです。でも、さすがにそれは試合のときは試合しますけど。ちょうどキャンプのときだったんですよ。キャンプのときだったから、練習中に帰らせてもらって、先に帰らせていただいて、出産に立ち会うことができましたけど。
北澤:大事なことだと思うよ。
西岡:海外の選手は普通ですよね。
北澤:ありますよね。
西岡:代表戦でも帰る人がいますよね。試合なんか休んじゃう。
福西:それはちょっとわかりますね。自分も立ち会いたかったんで。
西岡:これからの福西さんにはそういう家族第1、仕事第2でなおかつ俳優業をやるということで。もう飲みの誘いは止めてください。マイホームに帰りますから。そういう北澤さんのアドバイスを受けつつ。
福西:そうですね、今後。
北澤:僕のアドバイスとかそういうのはあれですけど、僕にはないものを持ってるし、そういう雰囲気を持ってれば大丈夫だと思うし。もちろんやってきたことを生かして、日本がワールドカップで優勝するような、やっぱり1番になってもらいたいですね。
西岡:はい、お時間も1時間半くらいになりましたけど、福西さんにいろいろな現役時代のことからセカンドキャリアまでお話いただきました。しかし、時間も少ないですが、せっかくですから質問を受け付けましょうか。
司会:はい、はい。私は元祖ヴェルディファンで、今はジュビロファンなので、もうお話は・・・
西岡:あ、もとヴェルディファン!
司会:はい、Jリーグ開幕戦に行きました。国立競技場へ行きました。
西岡:あ、そうなんですか。
司会:もちろん、北澤さんの引退試合も行きましたし。
北澤:でも、今日のシャツは・・・
司会:あ、サックスブルーです。そこは譲れないので。あと、武田さん(修宏)って俳優業やらなかったでしたっけ?
西岡:武田修宏さん。
司会:ドラマ出てましたよね。
西岡:はい、では質問のある方?Q1.先ほどお話されていて、福西さんはヴェルディから戦力外通告を受けた後、北澤さんとお話されて、引退という気持ちに傾いたみたいなんですが。でも、ジュビロの黄金期を支えた田中誠さん(アビスパ福岡)とか服部さん(年宏、東京ヴェルディ)とか、あと藤田さんとかは現役を今も続行しているわけじゃないですか。現役に対して、ちょっと揺らいだりはしませんでしたか?
福西:それはなかったですね。自分のなかで本当に100%引退といったような気持ちにならないと、辞めなかったと思います。ただ、応援してますよ、もちろん。で、いい?
司会:質問してくれた彼、携帯電話にその質問事項を書いてたみたいで。
福西:いつ考えたの?客席:今日、学校終わって、電車の中で。
福西:学校だったら、怒ろうかなって(笑)。客席:ありがとうございました。
会場:拍手
司会:そして2人目、どなたかいらっしゃいますか?Q2.代表経験のあるお2人に聞きたいんですけど、凄いサッカーが好きで、関東で行われる代表戦はほとんど行ってるんですけど。日本の試合って、ほぼ99パーセント日本のサポーターだと思うんですけど、歓声とか私たちの声とかって、力になってるんでしょうか。あと、入場するときの興奮とか緊張とか。いろいろ興味があるので、将来はサッカーに関わる仕事に就きたいなと思っているので、いろいろ聞きたいと思ってるんですが。
北澤:あんまりさ、出てくるとき緊張しないんじゃない?
福西:・・・ってみんなに言われます。けど、『君が代』を聞いてるときに、日本代表を背負ってるな、責任があるんだなって思います。
北澤:そう、『君が代』って凄くグッとくるよね。
福西:凄い緊張感ですよね。みんな緊張なんかしないなって言ってくれるけどね。
北澤:そういう雰囲気を見せないもんね。相手にはだから、分かりずらくてイヤなタイプだよね。やる気があるのか、ちょっとビビってるのかって見せてくれた方が相手にとってはいいわけじゃない。全くわからない。
福西:ビビってる姿っていうのはあんまり見せたくないけど、意気込んでると空回りするから。
北澤:知ってるからね。
福西:1回やったことがあるんですけど。もう試合前から集中して、もう本気で「行くゾ」みたいな感じで妙な熱が入って。そしたら、意気込みすぎて空回りしちゃって試合にならなかった。何やってんだ、オレはって。
北澤:そうなんだ、逆にね。
福西:でもやっぱりワールドカップの試合っていうのは、『君が代』を聞いて、歌ってるときって凄く緊張する。ピーって笛が鳴ったらね、そんなに。普段通り。
北澤:ピッチに入っていく階段がよく、来るなって。
福西:競技場によっては通路があって、入場して、出た瞬間にグラウンドを観るといつも凄いし、みなさんの声も聞こえて、この人たちのためにやらなくちゃって思います。ヤバイっす。支えてくれる人たちって凄い。あれだけの凄い人がいて、ここで試合をする裏方の人たちがいっぱいいて、いろんな人たちが関わってる試合だし。そこで責任というのは凄く感じますよね。
北澤:目につくよね、動いてる人が多いし。
福西:今この場を作ってくれてる人もいっぱいいるんですよ。一生懸命しゃべらなきゃなーって。
西岡:4、50人いますもんね。たくさん、いるんですよ。裏方さんを気づかう余裕があるんだよね。
福西:余裕ではないですよね。これだけいるんだ、スタッフがって。
北澤:やっぱり神経がこう研ぎ澄まされた状況だから、目に付くのかもしれないね。出るとこういうスタイルっていうのは多いですよね。
西岡:最近だと埼玉スタジアムとか、横浜(日産スタジアム)の階段で上がっていく。控え室がどちらかというと、地下にあって。
北澤:あれは暗いところから明るいところに出るんですよね。
西岡:はい。ぜひたくさんの方に、ワールドカップの出場もあるし、日本代表を応援していただければね。
福西:みんなそういう気持ちで上がっているというのが、みなさんも違った目で観れるじゃないですか。「緊張してるんじゃないの?」とかって。
西岡:緊張してもらうくらいの大歓声を送っていいわけですね。お客さんの歓声凄いなって。
福西:ぜひ、お願いします。
西岡:はい、ありがとうございました。まだまだ伺いたかったこともたくさんありましたけれども、今後、メディアの世界でも福西さんはご活躍されますので、そこでまたご自身のこととかをお話いただける機会も増えていくことと思いますし。そういうところでたくさん、サッカーのこともお話いただければなと思います。その頃は北澤さんも大先輩として、福西さんを応援していただきますから。
北澤:そうですね。やっぱりあの、僕が言うのもなんなんですけど、改めて、こういう場でこれだけの人たちが来てくださると、本当に福西を支えていただいてたんだなって。凄くありがたいなって思いました。福西が今後進んでいくには本当にまたありがたい力になると思うので、ぜひ応援いただけたらと思います。今日はありがとうございました。
会場:拍手
西岡:最後にエールを北澤さんから。直接言うのも照れくさいかと思いますが、今後の福西がんばれよっていうのを。
北澤:なんでよ。
西岡:特にナシ?
福西:気持ちは伝わってますから。
北澤:え~、今度は細かくアドバイスをしなきゃいけないなって今日、わかったのでちょっと大胆ではなく、細かく。
西岡:これからね。
北澤:僕もいい思いをさせてもらったので、ありがとうございました。
西岡:では、最後福西さんからみなさんに。
福西:現役生活の一区切りということになりまして、みなさんにJリーグにいるときは支えになってもらいましたし、今後も僕はチャレンジしていくつもりですので、みなさんに応援していただきたいなと思います。良かったな~って、こんなに人が集まって。どうしようかと思ってね、最初。良かったと思います。メディアを通してサッカー界に少しでも貢献できるように力になりたいし、みなさんの声は僕の力になりますので、今後ともよろしくお願いします。ありがとうございました。
会場:笑い
司会:北澤豪さん、福西崇史さんでした。ありがとうございました。盛大な拍手をお願いいたします。
西岡:カッコイイな。
司会:カッコイイですね、お2人。まだまだ聞き足りないですよ。
西岡:ね、あの凄いバランスが取れていいですよ。熱い男とクールな感じで。
司会:第2回、3回と聞きたいですね。
西岡:そうですね。これからもドンドン活躍の場を広げいく福西さん。解説する姿を見る機会がドンドン増えていくんじゃないかと思います。
司会:そうですね。
西岡:はい、今日はみなさん、お集まりいただきましてありがとうございました。またね、北澤さん、福西さんの大ファンだと思うので、テレビで彼らを観る機会が増えると思いますので、応援していただけたら。
司会:はい、それでは本日のホスト役、西岡さんありがとうございました。
西岡:ありがとうございました。
会場:拍手
司会:本当にみなさん、貴重なお話が聞けて、楽しい時間をお過ごしいただけたのではないでしょうか。これにて、全プログラム終了です。「ぴあトークバトル vol.68 福西崇史スペシャル!」」。本日はご来場いただき、誠にありがとうございました。

取材・構成:宮崎俊哉(CREW)/撮影:新関雅士

→前編へ
<司会>細田阿也(フリーアナウンサー)
<司会>
細田阿也(フリーアナウンサー)
<ホスト>西岡明彦(スポーツコメンテーター)
<ホスト>
西岡明彦(スポーツコメンテーター)
<ゲスト>福西崇史
<ゲスト>
福西崇史
<ゲスト>北澤豪
<ゲスト>
北澤豪