後編

矢野：エディーさん、選手の選考でいろんな化学変化が起こるんですね。
エディー：化学変化に関してはミックスすることですね。例えばスキルの高い選手も必要ですし、一体感も必要です。シニア選手と若手選手の両方が必要。シニア選手も若手を見ていかなければいけない。そういうことを考えながらセレクションしています。
矢野：そういう意味では大野選手は今、どういう立場にいるんですか？
大野：自分自身ですか？　自分自身を分析して、ですか？
矢野：化学変化をどう起こしているという意味ではなくて、経験者としてどうチーム内のことをご覧になっていますか？
大野：伊藤鐘史（神戸製鋼コベルコスティーラーズ）であったり、仙波（智裕、東芝ブレイブルーパス）だったり、今まで代表に入れなくて、この年になって入ってきた選手がすごく生き生きとやっていて。ただ、それまでの代表は、若い選手がベテラン選手に引っ張られるという形でした。逆に、今年は入ってきた選手が引っ張っている形になっているので頼もしいですね。
矢野：春シーズンに実況の中で、望月（雄太、東芝ブレイブルーパス）選手を“オールドルーキー”と言ったら怒られたんですけど。でも、初キャップのオーバーサーティーの方とか、30歳前後の方が多い、ちょっと変わったジャパンですよね。
大野：そうですね。エディーさんが選んでくれた30人なので、自信を持ってプレーしていきたいと思います。
矢野：そこでキャプテンに指名された廣瀬選手。当事者かもしれません、そのジャパンを変えていく。
廣瀬：それで？
矢野：どんなふうに変えていくのかなと思って。
廣瀬：チームを、ですか？　チームはロイヤリティというか、チームを大事にしようというところがすごく見えるので、僕が今までキャプテンをやってきて一番やりやすいチームです。自分もキャプテンを楽しんでやらせてもらっている状態ですね。だから、余計勝ちたいと強く思っています。
矢野：エディーさん、廣瀬選手のポテンシャル自体がすごく上がってきているというお話を聞きます。
エディー：ポテンシャルはまだ上がっています。一番興味深いのが、夏のシーズンにスピードがすごく伸びたことです。ゲームのセンスがすごくいいです。選手全員がリスペクトする人柄です。こういう人がキャプテンになってくれて、私はラッキーだったと思います。あとは、山田選手が彼に対してリスペクトしてくれることを願っているんですけど。
観客：笑い
山田：しています。
矢野：最終的には山田選手にボールが来る、ということですね。いちいち答えていきましょう。そういうエディーさんの言葉でしたが。
山田：しっかりリスペクトさせていただいております。
会場：笑い
矢野：ですって。
廣瀬：そうみたいですね。
会場：笑い
矢野：山田選手がトップリーグで、ホンダから移籍されてパナソニックに入ったのは去年でしたね。
山田：移籍したのは3年前です。
矢野：移籍した年だ、ごめんなさい。移籍した年に廣瀬選手と、「山田選手が来ますね」という話をしました。
山田：していただけましたか？
矢野：覚えていただいていますか？
廣瀬：どうでしたっけ？
矢野：すごく心配しているって。
廣瀬：あぁ、しました、しました。活躍してほしいという期待を込めてです。
山田：あっ、していただいていました。僕、見ていました。夏合宿ですよね。うれしかったです。
廣瀬：網走の？
山田：はい。
廣瀬：夏の暑い日でした。
山田：霜村（誠一）キャプテンと。僕はテレビの前で見ていました。ありがとうございます。
矢野：今はトップリーグで、トライランキングが断然トップですね。その期待は伝わってきますか？
山田：はい。もちろんおふたりから、皆さんからも伝わってきます。
矢野：何か最後、山田選手をいじらないと、という空気になっていますが。
山田：大丈夫ですよ。
矢野：後ほどご質問も受けますから、覚悟しておいてください。
山田：はい。
矢野：では早速、11月10日にルーマニア戦。17日にはグルジア戦。さらにはバスク選抜、フレンチバーバリアンズ戦。ルーマニアは世界ランキングが今、17位ですか。グルジアは15位、日本代表は16位。具体的なテーマを廣瀬キャプテンから伺っていきましょう。今回、日本代表は何をテーマに戦っていくんでしょう？
廣瀬：セットプレーが強いチームと聞いていますので、まずはフォワードの強化がひとつあると思っています。日本代表はアタックのチームということなので、新しいアタックのシェイプをやっていきたいと思います。
矢野：アタックのシェイプを具体的に教えてもらっていいですか？　シェイプとはなんぞや、と。
廣瀬：これ、僕が話した方がいいですか？　
矢野：選手がどれだけ理解しているかで、それによってエディーさんが「あれ？　違っているんじゃないの？」という可能性も。
廣瀬：けっこう今、緊張していますよ、僕。今日イチ。
会場：笑い
矢野：ちゃんとエディーイズムが伝わっているか、どうか。
廣瀬：エディーさんもうれしそうですね。
会場：笑い
廣瀬：自分たちの形というか、攻めるなかで前を見て、どこにスペースがあるかを判断しながら、一番いいところにボールを運ぼうということです。
エディー：完璧！
廣瀬：良かったぁ?。
会場：笑い
矢野：大野選手、お話があったようにとてもフォワードが強いチームと当たりますね。
大野：非常にやりがいを感じます。
矢野：なんでそんなに声が枯れているんですか？
会場：笑い
矢野：具体的に大野選手の課題、ジャパンのフォワードの今の課題、どういうテーマでしょうか？
大野：ヨーロッパのフォワードの強いチームに、ジャパンのフォワードがどれだけ対抗できるかということです。できるということもそうですけど、80分間勇気を持って、意地を張り続けられるかにチャレンジしたいし、そこを見てもらいたいと思います。
矢野：大野選手から意地を張り続けられるかというお話がありましたが、ゲームが終わると体重が5kgくらい落ちちゃうという話を聞きますよね。少し前まで、マウスピースをしてなかったですよね。
大野：そうですね。去年の春までしていなかったんですけど、初めて歯を折られまして、するようにしました。
矢野：このレベルのラグビーで、マウスピースをしてない人っていないですよね、山田さん？
山田：今、初めて聞きました。ビックリです。大野さん、大丈夫ですか？
大野：アロンアルファでくっつけています。
会場：笑い
矢野：今、心配されてもね。昨日のゲームで、大野選手、首は大丈夫でした？　NECの130kgと正面衝突。ケガに強いんですか？　それともケガがすぐ治るんですか？
大野：痛みに強いのはあるかもしれないですね。痛みを感じていても、フォワードなんで、できるというか。
矢野：そんな大野選手がルーマニア戦、グルジア戦に出ると、62キャップになる、と。誰と並ぶかわかりますか？
大野：伊藤剛臣（釜石シーウェイブスＲＦＣ）さん。
矢野：伊藤剛臣さんと、テストマッチに出ると並ぶということですよね。先輩たちに数字で追いついていくのは、何か感じますか？
大野：昔と今を比べると、今の方がテストマッチの数が断然多いので、一概には言えないんですけど。でも、単純に数字で並ばせていただけるのは、個人としてもすごく光栄ですし。剛臣さんはあの年で釜石に移籍して、すごく頑張っているし。すごく生き生きとプレーしているのを見ると、うれしいですね。
矢野：山田選手、そう思ったら、日本の選ばれし者が集まるのがジャパンですよね。テストマッチで何を見せてくれますか？
山田：個人的には1日でも早くエディー・ジャパンのウイング像に近づいて。それに加えて、みんながドキドキ、ワクワクするようなプレーを、廣瀬キャプテンと一緒にやっていければいいと思います。どうですか、キャプテン？
廣瀬：一緒に出たいね。
矢野：忘れませんね、しっかりはさんできますね。今までにないことかもしれませんが、エディーさんから選手たちに質問してもらおうかなと思います。何でもいいです、プライベートなことでも。エディーさんから3人の選手に。
山田：それ、打ち合わせになかったですね。
矢野：ないです。黙っていました。
会場：笑い
エディー：山田選手は今、彼女募集中らしいです。何かある人は手を挙げてください。
矢野：まずはそこからいきましょう。どういうタイプの方が好きで、どんな将来の理想像があって、海外に行くならそこに付いてきてくれる人も必要かもしれません。まずは理想像から。
山田：すごい質問ですね。優しくて……。
矢野：こっちを見ないでくださいね。
会場：笑い
山田：一緒にラグビーをしてくれる人がいいかな。
会場：笑い
矢野：一緒にラグビーをしてくれる人？　ちょっとわからない。深い意味ですね。
山田：いやいや、全然深くないです。一緒に何でも、アクティブにやってくれる子がいいかなと思って。
矢野：想像しやすいように、例えばどんなタイプですか？　タレント選手でもスポーツ選手でもいいです。
山田：英語をしゃべれる人がいいので、通訳のジュリアさんみたいなきれいな方。
会場：笑い
矢野：告白ですか、ここで!?
山田：すいません。
会場：笑い
矢野：エディーさん、これだけでいいですか？
山田：これだけでいいです。十分です。
矢野：そうですか。続いては大野選手にお願いします。
エディー：たぶん東芝は昨日、パーティーをしたと思うんですけど、府中のどこに行ったんですか？
会場：笑い
大野：昨日は府中のお店を２軒ほどはしごして。居酒屋です。
エディー：キンちゃんが声を2カ所に忘れてきたようなので、犯人はそちらです。
会場：笑い
矢野：さっきは「ホテルの部屋が乾燥していた」と言っていましたけど。
会場：笑い
矢野：続いては廣瀬キャプテンに対してお願いします。
エディー：廣瀬さんが東芝でどのような仕事をしているのか、1度聞いてみたかった。
会場：笑い
廣瀬：一応、研究開発の部門に所属していまして。モーターや回転機の振動、熱を下げるためにどうすればいいかの実験の手伝い、データをまとめたりしています。
エディー：間違いなく日本で一番賢いラグビー選手です。
会場：笑い
矢野：ちなみに役職はあるんですか？
廣瀬：担当、という感じです。
矢野：大野選手は違う部署なんですか？
大野：違う部署です。
矢野：ふたりが作業服で歩いている姿は勇ましいですよね。
廣瀬：勇ましいですか？
矢野：カッコいいというか、頑張っているヤツらだな、と。それで自転車を漕ぎながらグラウンドにいらっしゃるんですよね？　大野選手はどういう？
大野：自転車ですか？
矢野：自転車の種類じゃなくて。お仕事は？
大野：施設管理部。いろいろ工場があるので、作業しやすい体制部を整える部署です。
矢野：山田選手はプロフェッショナルです。先ほどもお話がありましたが、海外というのも考えているのでしょうか？
山田：はい。ずっと、海外で活躍したいなという考えはありますね。
矢野：例えばこういう国に行って、こういうチームというのはありますか？
山田：今のチームメイトの田中史朗はニュージーランドのチームに行きますけど、彼に1日でも早く追いつきたい。今回遠征に行くヨーロッパでも将来的にはプレーしていければと思います。
矢野：エディーさん、田中選手がきっかけになって、近い将来、スーパーラグビーだったり、フランス、イングランドに移籍する可能性はありますかね？
エディー：それが実現するポテンシャルが日本にはあります。現実的に2015年にトップ10に入るためには、世界でプレーする選手が5、6人必要だと思います。本当にそれができると信じる、それを実行に移していく。今まではそれが夢だったかもしれないんですが、もう現実に起こるとみんながわかっていると思います。初めてそれをやる人が壁を壊して前に進むと思うんですけど、山田選手もそれをやれるチャンスがあると思います。あとは、きちんとした靴を履いてきてくれればいいんですけど。
会場：笑い
矢野：ちなみに、おいくらですか？
山田：いただきました、オニツカ（オニツカタイガー）さんに。
矢野：今度、ジャパンの時はどんなスパイクのカラーリングを考えているんですか？
山田：そこはお楽しみに。
矢野：大野選手、口を動かさずにぶつぶつプレッシャーを掛けるのはやめてもらえませんか。
会場：笑い
矢野：では、そろそろ皆様のご質問を受けていきたいと思います。ここから質問コーナーに参ります。パトリック・ユウさん、お願いします！
司会：はい。トーク楽しいですね。質問のある方は挙手してください。なかなか聞けるチャンスはないので、聞きたい質問を。では、そちらの方。

質問1：ジュニアジャパンについて。春から活動していますが、現状を見る限り、月2回の練習になかなか人数が集まらないような状況を感じています。エディーさんは現状をどう捉えているのか？　来年、再来年に向けて、ジュニアジャパン、U20の日本代表がどのようにジャパンと連携していくべきか。具体的な話を教えてください。それと山田選手。廣瀬選手や小野沢選手との厳しいポジション争いですが、ヨーロッパ遠征で何トライ取ることを目標にしているか、教えてください。
エディー：ジュニアジャパンは新しいプログラムで、まだ時間が掛かると思います。会社も大学チームも、本当に上手く日本代表をサポートしてくれています。ただ、ジャパンにもらっているサポートをまだ、ジュニアジャパンはそこまでもらえていないですね。若手がもっとハイレベルな練習をできることが必要なので、来年はジュニアジャパンも試合を組めるようなプログラムを準備できればと思います。で、廣瀬、何トライできる？
廣瀬：どうでしょうね。実はトップリーグでも、1トライしかしていないんですよね。
会場：笑い
廣瀬：でも、もうちょっと頑張って、2トライいきましょうか。
矢野：元気にいきましょうよ！　そんなに暗くならずに。
廣瀬：現実的にいきましょう！　2トライで。
エディー：1試合？
廣瀬：では、1試合に2トライで。
会場：笑い
矢野：では、４試合で8トライになりますね。
廣瀬：すごいですね。素晴らしい選手になりますね、僕。
矢野：何度も言いますが、全国に放送されていますからね。
会場：笑い
矢野：大野選手はトライだけでなくてもいいですが、今度のゲームに向けての宣言を。
大野：ルーマニア、グルジア相手に、フォワードとしてモールでぜひトライを取りたいと思います。
会場：拍手
矢野：お待たせいたしました、真打ちです。ちなみに廣瀬選手は最大8トライ、いけるんじゃないかという自信のコメントでした。
山田：わかりました。発表します！　僕も2トライでお願いします。
矢野：それは1試合？
山田：いえ、ツアーです。
会場：笑い
矢野：約束しました。ツアーで2トライ、ぜひ期待しましょう！
会場：拍手
矢野：ぜひ、ジュニアの子がたくさん経験できる場所を作ってほしいですね。他に質問のある方？　女性の方をお願いします。

質問2：91年からテレビでワールドカップを見て、日本代表を応援しています。すごくよく頑張っているんですけど、あまりにも海外のチームとの試合経験がないために、頑張っているんだけど、勝てなくて。途中までは何とか対応しているんですけど、それでいつも終わっていたような気がします。対応力がないということは、準備が足りなかったら勝てなかったのではと思います。勝つために準備をいろいろしていると思いますが、準備のプライオリティをエディーさんに聞きたいです。それと私はフォワードが好きなので、大野選手に頑張ってきてもらいたい。日本はスクラムで、コラプシングを取られますよね。弱いから取られるのではと思うんですが、そこのところをどう考えているのかを教えてください。
矢野：すごいですね。ありがとうございます。まずエディーさんから伺いましょう。
エディー：すごい質問。
会場：笑い
エディー：プライオリティに関しては、まずは世界で一番のフィットネスをやらなければいけません。2015年にはそれを実現させていきたいと思います。ふたつ目は、世界で一番のアタッキングチームになることです。他のチームがやったことがないようなボールの動かし方をチームとしてやっていきたいと思います。それについて何をするかというと、ディフェンスで相手を止めるストッピングパワーをもっと上げなければいけないです。そのベースになるのがセットピースやブレイクダウンですよね。それがゲームの基本です。ここ3年間で、それを確実にやり切ること。そうしたら今度、ファンイベントに来ていただいたら、次の監督にこのような難しい質問をお聞きになることはないと思います。
会場：笑い
矢野：納得ですね。でも、まずはフィットネスですよね。動き回るということは、ずっと我々が見ていておもしろいゲーム。ジャパンはボールも選手もよく動くね、というチームを今度のツアーで確認しましょう。次は大野選手。スクラムのことですね。ジャパンがペナルティを取られてしまうことが多いのではないかということについて、選手はどう考えているのでしょうか。対応も含めて。
大野：確かに世界のレフェリーから、日本はスクラムで劣っているという印象を持たれているのかもしれません。そういう意味でも、この欧州遠征ではグルジア、ルーマニア、フレンチバーバリアンズを相手に、互角以上に組めるんだということを示して、その先のワールドカップにつながる結果を残していきたいと思います。
矢野：エディーさん、同じ質問になりますが、ぜひ教えてください。
エディー：キンちゃんが言ったように、レフェリーはどっちがスクラムで格上かを見るんですね。日本は弱いスクラムのチームだというイメージがありまして。例えばフィフティ・フィフティの状況でも、日本がペナルティを犯したと思われてしまうんですね。そういったイメージを払拭するために、ジャパンがメインのスクラムを組んでいかなければいけないんです。今後、ジャパンラグビーのいろんなことを変えていかなければならないのですが、スクラムに関しては以前、ジャパンがやっていたプレーをもう1度取り戻さなければいけないと思っています。
矢野：よろしいでしょうか。続いて最後の質問にさせていただきたいと思います。

質問3：エディー監督と選手のみなさんに提言です。今回のトークバトルのテーマは「世界トップ10へ」となっていますが、できれば「0」を取っていただきたい。ラグビーファンとしてはそういう思いが強くあります。どうすれば、世界トップ1になれるのか。力強い言葉をいただければと思います。
矢野：では、山田選手から伺いましょう。まだノーキャップではありますが、だからこそ強気な発言を聞けるのではないでしょうか。
山田：もちろん。今、世界一のオールブラックスに勝つには、選手ひとりひとりが勝たないといけないと思います。チームメイトであるソニー（ビル・ウィリアムズ）君と対戦することがあれば、しっかり勝ちたいという思いです。
矢野：トップと言われるチームの足下をすくうというのが近いところのテーマですね。来年の6月にはウェールズも来ますから。大野選手はオールブラックスとも対戦しましたよね。どういう気持ちで挑むかというのもありますよね？
大野：去年オールブラックスとやった時は、選手の方がオールブラックスを過大評価しすぎたのかなという印象があります。実際に試合をしてみて、点差ほどの差は感じられなくて。こういう相手と2年に1回でも試合をできれば、結果はもっと違うものだったと試合直後に感じました。いろいろと難しい面もあると思うので、まず気持ちの面で負けないというところですね。世界1位のオールブラックスだからと言って、腕が2本、足が2本の変わらない人間なので。日本人の気持ちを見せれば、かなわない相手ではないと実感しました。
矢野：ではキャプテン、お願いします。
廣瀬：今、世界一とおっしゃいましたけど、個人として世界一のプレイヤーになることをやっていくのはとても大事だと思います。トップ10という現実的な目標がありますけど、世界で一番のチームになりたいと思ってやるのが本当に大事だと思っています。
矢野：ではエディーさん、お願いします。
エディー：キンちゃんが上手く言ってくれたのですが、弱いチームが強い相手とプレーする時はよく、弱いチームが試合中に傍観者に回ってしまうんですね。今、多くのオールブラックスの選手が日本に来ているんですが、ひとりひとりを見ると、確かにいい選手です。例えば、10試合中2、3回くらいラインブレイクをするんですね。でも、そんなものなんです。日本のラグビー選手のポテンシャルを、そこでまた感じられると思います。まず何が必要かと言うと、選手たちの物の考え方を変えないといけない。試合に入る時に相手がこっちのやることを見る側になるような、それくらいの気合いで試合を進めなければいけないと思います。例えば相手が日本代表を見るようになった場合、チームとして前進することができると思います。
矢野：強いチームを倒すという意味では、2013年のリポビタンDチャレンジで、ウェールズとの対戦が2試合ありますよね。その前にこういった機会も設けていただきたいと思います。皆さん、質問ありがとうございました。
会場：拍手

矢野：そろそろお別れの時間が近づいて参りました。では11月10日、ルーマニア戦ですね。選手たちは11月2日、成田発です。ルーマニア戦、グルジア戦をはじめ、15日間で何と４試合を戦うという過酷なスケジュール。そこに向かう桜の選手たち。ひと言ずつ、力強いメッセージをいただきたいと思います。まず初めに山田選手、お願いいたします。
山田：見ていて楽しいプレーができるように頑張ります。よろしくお願いします！
会場：拍手
矢野：期待しています。大野選手、お願いします！
大野：2004年以来の欧州遠征です。あの時は酷い結果に終わってしまって、ファンの皆様をガッカリさせた責任を感じています。今回はいい報告をできるようにやっていきます。皆さん、応援よろしくお願いします！
会場：拍手
矢野：では廣瀬キャプテン、お願いします。
廣瀬：今日は本当に楽しい時間をありがとうございました。皆さんとお会いしてパワーをもらいました。昨日どこかで負けちゃって、本当にガッカリしていたんですけど、皆さんの笑顔で吹っ切れました。遠いヨーロッパに行きますけど、いい結果をご報告できるように頑張ります。テレビで、もしくは現地で応援していただければなと思います。ありがとうございました！
会場：拍手
矢野：ではエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ、お願いします。
エディー：まずは今回、このようなサポートをありがとうございます。本当に日本には素晴らしいラグビーファンがたくさんいると思います。私たちは本当にすべてをやり尽します。それで世界から認められる国を作っていきたいと思います。そして日本のラグビーをしっかりプレーしていきます。本当にいい選手、廣瀬、キンちゃん、山田選手がいるので、彼らを誇りにやっていきたいと思います。ありがとうございます。
司会：本日ご出席いただきました、山田選手、大野選手、廣瀬キャプテン、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ、本当にありがとうございました。皆さん、拍手でお見送りください。
会場：拍手
司会：矢野さん、時間が足りないですね。
矢野：そうですね。もっといろいろ聞きたいし、質問も受けたいんですが。
司会：力強い言葉を聞けましたし、プライベートのこともいろいろ聞けて。これからまた1カ月、楽しみな戦いになりそうですね。矢野さん、今日を振り返ってみていかがでしたか？
矢野：春シーズンからですけど、今のジャパンは見ていてワクワクさせてくれるので、これが日本代表だなと思います。外国のマネをするのではなくて、日本らしいというのが伝わってきます。2015年が頂点。そこまでの逆算の段階なので、暖かく、一生懸命応援していきたいなと思います。
司会：本日は誠にありがとうございました。矢野武さんでした。
矢野：どうもありがとうございました！
会場：拍手
司会：Ustreamでご覧になった方もきっと、エンジョイしていただけたと思います。ありがとうございました。最後に、ヨーロッパ遠征の日程をお伝えしておきます。11月10日、ルーマニア戦。11月17日、グルジア戦の2試合をJ Sportsでお伝えしますので、ぜひご覧になっていただいて。今日のトークの内容も頭の中に浮かべながら、ぜひ見て、ポイントを確かめていただきたいと思います。日本代表の活動も気になりますけど、これからは日本選手権、大学選手権も待っています。これからラグビーシーズンの本番を迎えます。引き続き、ラグビーへの熱い声援、お力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。また皆さんとはスタジアムでお会いしたいと思います。パトリック・ユウでした。今日はありがとうございました。サンキュー、バイバイ！