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@ぴあ/HOTスポーツ人気連載コラム「金子達仁のサッカーコラム~グリーンカード~」で健筆をふるうスポーツライター・金子達仁をホストに、スポーツについて熱く語る「ぴあトークバトル」。3月4日に行われたイベントの模様を、そのままお届けします。
 vol.8 前編
 SUPPORTED BY Honda

「どうなる! 2001年のJリーグ」(前編)

出演者プロフィール
ホスト:金子達仁(スポーツライター・右)
'66年、神奈川県生まれ。法政大卒業後、「サッカーダイジェスト」記者を経て、'95年にフリーライターとなり、スペインに移住。「28年目のハーフタイム」「決戦前夜」などベストセラーを生み出した。今、日本で最も売れ、最も刺激的なスポーツ・ノンフィクション作家。
ゲスト:中西哲生(スポーツジャーナリスト・左)
'69年、愛知県生まれ。同志社大から'92年に名古屋グランパス入り。'97年から川崎フロンターレでキャプテンを務め、2000年にJ1昇格を果たした。昨シーズン限りで現役を引退し、現在はスポーツジャーナリストとして、テレビ、雑誌などで活躍している。著書に「魂の叫び J2聖戦記」(金子達仁、戸塚啓共著)。中西哲生オフィシャルサイト:www.tetsuo-n.com。
宮澤ミシェル(スポーツコメンテーター・中央)
'63年、千葉県生まれ。国士舘大から'86年にフジタ工業(元ベルマーレ平塚)に入社。'92年にジェフ市原に移籍した。'93年に日本国籍を取得した後、アジア大会日本代表候補に選出された。'96年に現役引退。現在はNHKや東京スポーツ、ラジオなどでサッカー解説を行っている。

金子:Jリーグ開幕が近づいてきましたので、まずそこからだと思うんですよね。NHK解説でご覧になっている方もいると思いますが、宮澤さん。
宮澤:昨日のゲーム(ゼロックススーパーカップ、鹿島アントラーズVS清水エスパルス)はどうでしたか。
中西:鹿島ヒドイ。
(会場:爆笑)
宮澤:話、終わりましたね。
金子:宮澤さんの今年の優勝候補は?
宮澤:ジュビロ磐田。1stステージは。
金子:おもしろくないですよ、それ。
宮澤:いや、今まで予想を外しまくってて。去年も1stステージにアントラーズを挙げさせていただきました。ところが、ちゃんと2ndステージには来たでしょ。1stステージの鹿島にはね、準神様がいたんだよなぁ。
金子:準神様ねぇ。
宮澤:ベベット様(元ブラジル代表)が。あそこまで動けないとは計算外した、俺もね。オイオイと思って。それでまた、ベベットを途中で帰す。
金子:思い切りましたよね。
宮澤:あれが球団の力だね。
金子:じゃあ、本命はジュビロ? 対抗は?
宮澤:まあ、柏レイソル・・・・・・屈辱を味わってるところね、去年。ガンバ大阪、柏レイソル・・・まあそんぐらいかな。
金子:1stステージに屈辱を味わったセレッソ大阪は?
宮澤:セレッソはね、ちょっと西澤(明訓・エスパニョール)が出張行ってるから。あれが戻ってくれば、森島(寛晃・セレッソ大阪)とのコンビでね、と思うんだけど。どうかな?
中西:その通りでしょ。モリシ(森島)も西澤がいると力倍増するけど、ピンだと苦しいよね。
金子:単品だとね。
宮澤:疲労症候群だしな。困ったもんだ。
金子:テツ(中西)は?
中西:ジュビロ。
金子:つまんないねぇ。
中西:1stステージはジュビロ、絶対。
宮澤:でき上がってるよな。
中西:というか、ジュビロでしょ。去年からずっとジュビロって言ってんだけどね。
宮澤:球回しを見ても、やっぱ、レベルがちょっと違うよな。
中西:違うね。練習とか凄いらしいですよ。
宮澤:中山(雅史・ジュビロ磐田)がついていけるか心配になっちゃうくらいだよ。
中西:でも中山さんが一番怒ってるっていうからね。
金子:じゃ、おうかがいしたいんですけど、ジュビロが強いっていうのは選手もわかってますよね。当然ジュビロ戦になると気合いが入るわけじゃないですか。
宮澤:燃えるよね。
金子:でも、野球の巨人ほどの戦力を持ってるわけじゃないんでしょ?
宮澤:そこまではいってないな。
金子:となると、どお?
宮澤:だけどね、俺らの頃はヴェルディが強かった、一時ね。「このヤロー!」と思ってヴェルディに向かったけれども、やっぱり強かったもんな。
(会場:爆笑)
金子:ダメじゃない、それ。だけど国立競技場での初対決の時勝ちませんでしたっけ、ヴェルディに。
宮澤:勝ったよな! でもあの時俺、スタンドで観てたんだよ。
(会場:爆笑)
宮澤:だから、やっぱり優勝候補はジュビロ。
中西:ジュビロ。だって、みんなそういう気持ちなのもわかってるしさ。僕はつい最近まで選手だったから、そういう話も聞くじゃないですか。「狙われるよ、厳しいんじゃない」って。でも「大丈夫」って言うからね。
金子:でもJ2の時、川崎フロンターレも狙われて散々苦労したじゃない。
中西:でもブッチ切りで優勝したからね。
金子:3年目にね。
(会場:爆笑)
中西:それ言われるとキツイなぁ。でも去年イヤな思いしてるっていうのも、僕が今年ジュビロが来るって予想する理由のひとつ。タイトルひとつも取れてないからね、去年。
宮澤:ひとつも取れてないもんなぁ。
中西:今年は名波(浩・ジュビロ磐田)も最初からいるし。
宮澤:でも高原(直泰・ジュビロ磐田)だとか中山だとか誰かひとりケガしたら・・・・・・。
中西:でも川口(信男・ジュビロ磐田)もできるし、鳴尾(直軌・ジュビロ磐田)も入ったし。
宮澤:鳴尾来たね~。アルビレックス新潟からだっけ?
中西:新潟。
金子:よく見てましたよね、フロントが。
宮澤:見てたよなぁ。
中西:最近そういうのうれしいっすよ、僕。バロン(ヴァンフォーレ甲府、ジェフ市原を経て今シーズンよりエスパルスに加入)だって昨日もすごく活躍してたけど、僕JFLの時から一緒にやってるから。あの甲府のクソ暑いグラウンドでね、気温45度くらいの中で試合してブイブイ点取ってたから、J1でもやると思うよ。昔そういう状況の中でやってるから。
宮澤:昨日もバリバリやってたな。
中西:だって涼しいもん。
(会場:爆笑)
中西:でもバロンは甲府の頃から凄かったですもん。別に今凄くなったわけじゃないよ。
宮澤:だってあのチームでなぁ、それで2年連続あれだけ点取ってんだぜ。
金子:よく放出しましたよね。
宮澤:うん。それには驚いたよな。
金子:確かに崔龍洙(ジェフ市原)は悪い選手じゃないですよ。でも未知数じゃないですか。
宮澤:そうだよなぁ。崔龍洙を取るなんて聞いてなかったもんなぁ。
金子:話は変わりますが、ひとつ聞きたい。去年、なんでFC東京と川崎フロンターレ(昨年ともにJ2より昇格。FC東京は中位にとどまり、フロンターレはJ2に降格)、あんなに差がついちゃったの? J2ではフロンターレの方がブッチ切ってた。
中西:僕言っていいんですか?
金子:いいよ。だってもう関係ないでしょ。
中西:いや、僕フロンターレのアドバイザリースタッフなんですけど。
宮澤:お前カッコいいな、横文字で。
中西:そういう訳でコメントは差し控えさせてもらいます。
宮澤:なんでだよ!
中西:簡単に言うと、僕が今年サッカーしなかったのは、精神的な部分も大きいわけですよ。去年は監督とケンカし続けたから、もう疲れたんです。
金子:誰と?
中西:去年監督だった人全員。全員に干されたんですよ! 3人いたのに。
宮澤:よく変わったよ、シーズン中になぁ。解説者は覚えるの大変だよ!
中西:あそこまで嫌われたら本望だよね。今だから言いますよ。ここで3人のうちのどの監督かは言わないですけど、去年夏に・・・・・・。
金子:夏っていうと5月から9月くらいだよな。
(会場:爆笑)
中西:とにかくなんでこんなにダメなんだってことを監督が言うから、じゃあ選手とミーティングをしようと。で、言いたいことを言ってくれって言うから、僕は言いたいことを言ったんですよ。選手は監督やコーチがいない所ではすっげえ文句言ってるんだけど、でもその場ではまず誰も何も言わないんですよ。
宮澤:ロッカールームで言うんだよ。ダサイんだよなぁ。
中西:そう。で、言ったらケンカになると思ったけど、誰も言わないから僕が言ったわけ。すっごい冷静にね、「まず戦術がないです。どこからどうボールを取るんですか。どこへどう追い込んでどうやってディフェンスするんですか」と。
金子:それはさあ、監督サイドから見ると「お前バカだ!」って言われたのと同じじゃない?
中西:そしたら監督が「お前にそんなこと言われる筋合いはない。毎日やってるじゃないか」と。「やってないから僕たち怒ってるんですよ」って言い返したんです。そしたら、今大ブレイクしている鈴木隆行君(現鹿島アントラーズ)が、「そうだよ!」って同意してくれて。
(会場:爆笑)
中西:うれしかったね~。で、隆行が「みんなそう思ってるよ」ってポロッと言ったんですよ。そしたら監督黙っちゃって。その後「少なくとも俺とお前の間には信頼関係はない」って言われたんです。選手もコーチングスタッフも全員いる前でですよ。そんな監督初めて。それくらいチームのやりたいことが何もなかったし、監督もはっきり言ってダメでした。選手は別に悪くはなかったと思う。結構質のいい選手はいたし。FC東京は、幹は変えずに枝葉を変えたんですよ、選手をね。フロンターレは枝葉を残して幹を変えたんです。だから僕が出ても出なくてもそれは関係ないですよ。奥野選手(僚右・現サンフレッチェ広島)が固定してやっていれば良かったんだけど、いかんせん奥野選手だって干されたんだから、最後はね。結局僕と隆行が戦って、隆行は9月に鹿島に移って。でも、隆行みたいに貫いてるヤツはブレイクするんだな、俺も貫こうと。で、11月まで貫いてたんですけど、貫き過ぎてもう疲れちゃったんですよ。
金子:「俺とお前の間に信頼関係はない」。どう考えてもその間に通訳が入っていたとは思えない会話だけど。
中西:まあそのあたりは推測していただいて。
金子:では、今年J2に落ちるチームは?
中西:コンサドーレ札幌。厳し過ぎます、エメルソン(川崎フロンターレに移籍)がいないんで。エメルソンが活躍できるかどうかは未知数ですけど、どのチームも完全に研究してますから。それでも速さはあるから。昨年はエメルソンを軸としたチームを作ってたんで、カウンターの形ができ上がってましたけど、そのエメルソンという軸を失って、ウィル(大分トリニータから移籍)が入ったものの、どうなるかですよね。いい選手だけど、彼の場合タメは作れるけど縦に速い攻めはできないわけですよ。そうなるとやっぱり苦しいなと。ディフェンスもJ1で通用するかと言うと、僕は難しいと思う。
金子:何が違うの? J1とJ2。
中西:判断の速さ、パススピードの速さ。パススピードの速さが違うと、考える時間がなくなるわけじゃないですか。J2の時の半分の時間で考えなきゃいけなくなると、その間にもう崩されてる。
金子:もう1チームは?
中西:ん~、崔龍洙が出られなかった場合の市原。
宮澤:う~ん、小倉(隆史・東京ヴェルディ)も出しちゃったし、酒井(友之・名古屋グランパス)も、バロンもね・・・・・・。今チームが若いから・・・・・・って俺がいた時からチームは若かったんだから。中堅とベテランが力を合わせてGo! って時にみんな別のチームに行っちゃうんだ。
金子:永輔(中西・ジェフ市原)だけは残ってますね。
宮澤:永輔ね。今年は長谷部(茂利・ヴィッセル神戸から移籍)も来てキャプテンも代わったし。永輔が右サイドでグングン行ってくれるところが見たい! チームのことを気にしなくていいから。
中西:また問題発言。でも、永輔はキャプテンじゃない方がいいと思うんだよな。
金子:もともとキャプテンタイプの性格じゃないですもんね。
宮澤:そう。俺もそれが言いたかったんだ。
金子:で、宮澤さんはジェフは大丈夫だと見てるんですか?
宮澤:いや危ないですよ。でも3回残留したからね、それだけでも評価してもらわないと。でもレッズだってわかんないよ。噛み合えばすごく楽しいけど、噛み合わなかったら大変よ。
金子:じゃあ、ジェフとレッズ?
宮澤:うん。なんか、この2チームはメンバーを混ぜちゃえばいいんだよな。
中西:トランプじゃないんだから。
金子:それをしたら一方的に損をするのはレッズって気がしません?
宮澤:言うねぇ。でも今日プレシーズンマッチ(ちばぎんカップ)でレイソルとジェフは1-0だから。どっちが勝ったと思います?
客:レイソル!
宮澤:そうよ、その通りよ。
(会場:爆笑)
中西:ダメじゃん。
宮澤:でも0-1だから。ニカノール(前柏レイソル監督)がいた頃、0-4か0-3でやられてシーズンそのままだったからね。今日の0-1は選手はOKとしているはず。
金子:もうひとつ聞きたいんですけど、プロ野球だとオープン戦と公式戦、似ているようで違うもので、得るところは得る、関係ないところは関係ないっていうのがファンの中にも認識としてありますよね。Jリーグも、プレシーズンマッチの内容と結果というのは、選手に影響を与えるものなんですか?
宮澤:まあちょっと気になるよね。ちょっとだな。でも開幕1週間前の今だと、シーズンに近過ぎるというのはあるよね。ジェフの救いは阿部勇樹が復帰するのかとか・・・・・・、だいたいゲームの流れは見えちゃうよね。だって、ほかに手は少ないでしょ。
金子:「少ない」っていうのと、「ない」っていうのは違いますよね。
宮澤:まあワン・トップをツー・トップにするのも手としての話だよ。難しいこと言わないでくれよ!
中西:上の方のジュビロ、アントラーズ、レイソル、エスパルスくらいは、プレシーズンマッチが気になると思うんですよ。でも、そこから下のチームの選手は、チームのことより自分のことが気になってるわけです。例えば僕がプレシーズンマッチの最終戦に出るじゃないですか。そしたら勝ちたい。勝ったらメンバー変えずにそのまま行くじゃないですか。もし自分が出てなかったら「負けろよ!」と思ってるわけですよ。開幕前はメンバー固まってないから、プレシーズンマッチに自分が出て、いいプレイをした試合では勝って欲しいし、負けたとしても自分のプレイのクオリティが高かったらそれでいいし。そういうもんだと思いますよ、僕は。だから今日負けたってことはジェフにとってはあんまり関係ない。レイソルにとっては意味があるんですけどね。ジェフは今日出ていた選手がそれをどう受け止めたか、個人の問題なんですよ。
宮澤:新しいチームでやってて、今の選手はまさしく試合に出ることが精一杯なメンバーなんだよ。だから今日0-1だったら、自分も他の選手も良かったとか、惜しかったとか思うじゃない。そしたらリーグ戦につながるゲームができたと。俺は今日朝起きて、おてんとうさまありがとう! という気持ちだったね。大雨だよ。ボールなんてろくに進みゃしないよ。
(会場:爆笑)
宮澤:これがニカノールの時みたいに0-3だ0-4にされちゃったら、もう立て直しきかないよ。それにベテランは出たら勝たなきゃいけないよな。試合に出るだけじゃダメ、絶対勝たなきゃ。まず外されるのはベテランからだから。それからうるさいヤツもね。黙ってりゃ俺は、あと3年はいけたんだから。
(会場:爆笑)
中西:だいたい俺らは草サッカーじゃなくて口サッカーだからね。
宮澤:そうそう。「行け行け~!」なんて言って自分は行かないんだから。
中西:一緒だよ。「森川行け~!」なんて言ってましたからね。でも俺は何もやんない。でも何もやんない時ほど、自分のプレイはいい日なんですよ。ボロが出ないから。
宮澤:でもそうだよな。
中西:口でいかに他の人を操るか。
金子:じゃ、そろそろいいですか。
宮澤:こんな話、始めたら止まんないよ。さあ、次の球団行こう!
金子:これはテツに聞きたい。グランパス。
中西:ダメです。次行きましょう。
(会場:爆笑)
宮澤:早いねぇ。ピクシー(ストイコビッチ・名古屋グランパス)は最後だよ。半年延ばしたんだぞ、引退。
中西:ピクシーは機嫌が悪い。ピクシーは優勝したいと思ってるけど、いかんせんチームの雰囲気が悪すぎる。グランパス-レッズ戦は、totoを買うんだったらホントわかんない。ここはマルチでよろしく。僕が持ってる電話ネットワークで選手と話したんですけど。とりあえず聞いたのは森山(泰行・名古屋グランパス)・・・・・・。
宮澤:森山はまた、8時30分の男じゃねえけど途中から出てきてガーンと行くのかな。
金子:相変わらず元気でしたけどね、プレシーズンマッチでは。
中西:ピクシーがいれば大丈夫。去年フロンターレではあいつにボールが出なかったから。ボールが出れば絶対点取るんで、ピクシーがいるうちは大丈夫だけど、いなくなったらわかんないですね。
宮澤:話変わるけど、あの3人がいないのは痛いな。もっちゃん(望月重良・ヴィッセル神戸)と平野(孝・ジュビロ磐田)と大岩(剛・ジュビロ磐田)な(3選手とも昨シーズン中にグランパスを退団)。
金子:よく出した。
中西:僕がここで言うのもなんですけど、彼らはホントにいいヤツですから。おとといも神戸で望月に会いましたけど、いいヤツでしたよ。
宮澤:お前、なんかもらってんじゃないだろうな。
(会場:爆笑)
中西:ひとこと言いますけど、ジョアン・カルロス(名古屋グランパス監督)が雰囲気を悪くしてるらしいんですよ。もともと負けた理由を選手に押しつける監督なんで。
宮澤:そうなの?
中西:はい。アントラーズの時もそれでチームを去ったけど。その時に誰をターゲットにしたかっていうとジョルジーニョ(元ブラジル代表)だったんですよ。それで、ジョルジーニョが辞めるか俺が辞めるかどっちかだって言って、軽く負けちゃったんですよ。チーム側はジョルジーニョを残しちゃったんです。
宮澤:それは正解だな。
中西:そう、アントラーズはそれで良かったんですよ。でもグランパスは天皇杯で優勝した後、全然歯車が噛み合わなくなって負け始めて、そこで監督が、あの3人の素行が悪いとか、練習の時に若手をののしるからだとかいろいろ言ってたんですよ。でもそんなの全部ウソで、自分が勝てないから選手のせいにしたわけですよ。それで俺が辞めるかあいつら3人が辞めるかどっちかだと。もともと問題児だったからって。それで辞めさせたら、監督は自分のせいにせざるを得ないじゃないですか。でも負けると、今度は残った選手のせいにしてるらしいんです。
宮澤:そこまでグランパスに言えるのに、なんでグランパス-レッズ戦がマルチなんだよ。浦和が勝つって言えばいいじゃない。
中西:そうなんですけど、ピクシーがキレキレだったら誰もかなわないから。
金子:メンツは凄いもんね、グランパスは。
中西:だからピクシーさえ調子が良ければね、機嫌が悪くてもね。
宮澤:酒井(友之・ジェフ市原から移籍)がいるよ!
(会場:爆笑)
中西:グランパスはさあ、前はいいの、前は。素さん(山口素弘)とウリダと酒井、岡山(哲也)、ピクシー、まあ滝澤(邦彦)か森山か。そこはいいんだけど、後のメンバーが不安なの。
宮澤:海本(慶治)入って、大森(征之)、古賀(正紘)と平岡(靖茂)か?
中西:楢崎正剛(日本代表)がいても、止められないもんは止めらんないよ。ゴールキーパーって案外無力ですよ。
金子:1シーズンで30失点したとして、ゴールキーパーのセーブってせいぜい5点くらいだろ?
中西:だからこれはマルチでしょ。
(会場:爆笑)
金子:天皇杯ファイナルまで行ったことのあるおふたりにおうかがいしたいのですが、ピクシーって聞いた時に、確かにあんまり状況は良くないんだけど、去年に比べてひとついいのは、天皇杯がなかったのでチームの始動が早いと。完成度としては去年よりはいいだろうということなんですが、どうなんでしょう?
宮澤:確かにアントラーズなんかいい例かもしれないよね。
金子:だから僕的には1stステージは、アントラーズ、“捨て”かなと思ってるんです。
宮澤:昨日も観た? やっぱり疲れはあるよ。欲張って3冠も取っちゃダメ。
(会場:爆笑)
中西:最後の天皇杯は奇跡的だったもんね、あの3-2も。
宮澤:いいゲームだったでしょ。名良橋(晃・鹿島アントラーズ)とアレックス(清水エスパルス)を見てるだけで。聞いてくれました? 俺の解説。
中西:それが一番素晴らしかったんですね。
宮澤:それはやっぱりな。でも、名良橋はあのレフェリーじゃなかったら退場だぞ。
金子:間違いないね。
宮澤:テレビでスネ当ての音がするって言ったけど、本当だぞ。いやぁあのふたりの戦いは迫力ありましたよ。
中西:でも、僕は天皇杯の決勝に出る出ないは関係ないと思うけどな。僕がいた頃のグランパスだって、ベンゲル(アーセナル監督)がいた時はリーグ戦2位で終わって、天皇杯優勝して、ゼロックススーパーカップ勝って、その次の1stステージで2位か3位で、問題ないっすよ。だから監督の問題だって。ベンゲル監督なんて全然余裕だよ。休ませないもん。
宮澤:ベンゲル、良かった?
中西:いいとかそういう問題じゃなくて、レベルが違う。
宮澤:選手たちのモチベーションの上げ方だとか、口の聞き方だとか。
中西:まず人間的に素晴らしいんで、尊敬できるしね。それありきですから。信用できない人間多すぎるもん、サッカー界。特に監督ね。
金子:微妙な問題に入ってきたな。
中西:昔あいつあんなことしてたのに、監督になったらこんなんだよ~、みたいな。
宮澤:あるぜ、ホントによ~。指導者実習に行って帰って来ると、変わったコメントする解説者多いよ。それだけ影響力あるんだな。
中西:お前理論派じゃなかったのに、なに理論派になってんだよみたいな。全部受け売りだってわかっちゃうからね。一歩踏み込むと何も答えられなくなっちゃう。
金子:次のチームに行きましょうか。東京ヴェルディはどうですか?
宮澤:面白いですね。リベンジかけたのがいっぱいいるからね。前園(真聖)、永井(秀樹)、武田(修宏)、菊池新吉まで帰って来たからね。柱谷哲二(サッカー解説者)あたり、俺も戻るって言いそうだからな。
(会場:爆笑)
中西:テツさん(柱谷)ホントやりそうだよ。
宮澤:まだ自分がやった方がいいと思ってんじゃないか。「貸してみろ俺に、ユニフォーム! 冗談じゃねえよ!」なんて叫んでるんじゃない。
中西:でも与那城(ジョージ・読売クラブ時代に在籍)さんだって、選手よりうまいもん。ボール取れないんだもん。ジョージさんとラモスさんはレベルが違う。
金子:フットサルは一緒にやったことあるんだけど、ブラジル人たちと。もちろんみんなうまい。太ってて動かなくて文句ばっかり言ってる人がひとりいますよねぇ。これはちょっとモノが違う。他のブラジル人も「すまん、セルジオとは次元が違う」って言っちゃう。やっぱ凄いですよね、あの人は。
中西:俺も行ってたもんなぁ、セルジオ越後のサッカー教室。
宮澤:俺は昔、フットサルでブラジル人チームで出させてもらったことがあるの。そん時俺、高校生でよくわかんなくて、裏取られて点を取られたケースが2回くらいあったわけ。そしたらセルジオにね、観客もみんないる所で「お前のミスで2点だ!」って凄い勢いで怒られて。
金子:負けず嫌いだからね。で、サッカーに関しては絶対自分で責任取らないからね。
宮澤:ホントそうだよね。でもさ、そのくらい熱い気持ちでやれるっていうのはさ、もういい歳だけども、相変わらず熱いよな。ここにセルジオいたら、しゃべれるのは金子さんくらいで俺らしゃべれないからな。しゃべる間合いがないんだよ。
金子:相手にスペースと時間を与えないですからね。
(会場:爆笑)
金子:で、ヴェルディよ。この間坂田社長(ヴェルディ球団社長)とお話させていただいたんですけど、昔の読売クラブの匂いは戻したんだと。あとは選手が頑張ってくれるのを期待しているということだったんですけど。
宮澤:アメリカのロサンゼルス・ギャラクシーとやった試合、素晴らしかったらしいね、つなぎはね。でも途中でギアチェンジしちゃったね。急にローに入れちゃったんじゃないのって感じだったけど。ただ匂いはするらしいよ。
金子:高校サッカー界の天才児を揃えたって感じのチームになってますもんね、今。
中西:ヴェルディは開幕戦で勝てば行く。
金子:開幕の東京ダービー(対FC東京戦)は非常に楽しみ。だけど大分に行かなくちゃいけないんだ、日帰りで。自分の好きなカードに行けるんであれば、1に東京ダービー、2にグランパス-レッズ戦。
中西:俺は2にトリニータ-アルディージャだね。
金子:行く?
中西:行くよ! 観たいもん! 場所が大分じゃなかったらね。
金子:だろ! あそこの陸上競技場の場所ねぇ。お前よく試合してたけど。
中西:よくやったよ! 行くのにホバークラフト乗んなきゃいけなくて、俺酔っちゃうんだよ!
(会場:爆笑)
金子:ヴェルディの話に戻しましょう。
中西:だからヴェルディは開幕戦だと思いますよ。
金子:どっちだと思う?
中西:ヴェルディに賭けてます。FC東京は、去年トゥット(浦和レッズ)が効いてたと思うし、トゥットもアマラオ(FC東京)がいないと生きない選手なんですけど。しっかり守って速く攻めるのがFC東京のサッカーだったわけですよ。そのスタイルにトゥットはバッチリとハマったし、他のチームにマークされてなかったってことで去年はうまくいったと思うんです。今年FC東京に入った呂比須(ワグナー)はアマラオと同じタイプの選手なんですよ。しかもアマラオはケガが多いんで、年間を通してプレイできないと。それでふたりのうちどちらかが抜けると厳しいというのが俺の意見なんです。あとはサッカーのスタイルが変わるんじゃないかと思うんですよ。ボランチに入るのが下平(隆宏)選手と三浦文丈選手、どちらもいい選手なんだけど、これまでボランチは「それ誰?」っていう選手がやってたんです。でも彼らはすごく実力があって、守りをしっかりできる選手だったんで、前の2、3人で点が取れたんですよ。でもそこから180度転換して、つないで遅攻で点を取るサッカーに変わると、馴染むのに半年はかかると思うんで、開幕戦は負けると思います。
宮澤:去年のFC東京はリアクション・サッカーがハマったよな。
中西:だから俺がフロンターレにいた時は、東京戦ではわざわざ相手にボールを持たせて一回引いたんですよ。そういうサッカーを他のチームもやり始めたら東京は厳しいわけですよ。
金子:FC東京は、他のチームに警戒されるチームになってきたらホントに厳しいよね。
中西:そうそう、それは結構気になってるところ。
金子:去年も前半は飛ばしてたんですよね。オイオイやるじゃんてことになると、パタッと足が止まっちゃう。
中西:そう。後半戦は5連敗しちゃったしね。だからサッカーを転換してね、僕は下平と浅利(悟)君か小池(知巳)君を組ませて、もともとセンターフォワードの三浦文丈を前に持っていって呂比須とアマラオの併用でやった方がいいと思いますね。三浦文丈は前の方が、かき回してくれるし、スペースに飛び出してくれるし。
宮澤:チームとしてのスピードはやっぱり落ちるんだよな、去年に比べてね。
金子:去年は凄かったですもんね。あれは世界のどこに出しても恥ずかしくない、胸のすくようなカウンターだったね。
中西:うん、観てて面白かったもん。俺、試合出られないからいつも家でテレビ観てたけど。「東京が頑張ってくれれば、去年フロンターレが弱くなかったってことになるんだぞ!」と思ってうれしかったもん。
宮澤:セレッソも同じようなチームだけれど、2ndステージでやっぱりブレーキかけられたよね。
金子:相手チームが前に出てこないと厳しくなっちゃいますよね。
宮澤:だから一時のヴェルディの強さっていうのは、つなぎきっても相手を崩して、遅攻だろうがなんだろうが、やっぱりゴールするんだよな。そこまでいくと強いよ。
中西:遅攻でボールをつないでも点が取れる、相手が引いた状態でも。しかも真ん中で崩せたからね。さらに相手が攻めてきても速攻で点が取れるっていう、ふたつの形があるっていうのが常勝になる秘訣だから。去年はアントラーズがそうだったけど、まあ層が薄いっていうのは露呈しちゃったけど。その秘訣を持ったチームは、ジュビロはそうなる可能性はあるんだけど、今年はまだないんでね。そう考えると東京ダービーは魅力のあるカードだよね。やっぱり遅攻するチームとしてはヴェルディの方が一枚上手なのかなと思うし、武田さんも辛い思いをしてきたんで、点を取るんじゃないかなと。底を見てる人間は強いですから。
金子:じゃあ、ヴェルディが開幕戦勝ったとしよう。どこまで行けると思います?
中西:僕は息切れすると思う。優勝はできない。
金子:選手層?
中西:同じタイプの選手ばっかりなんですよ。右の前にいる永井、前園、三浦淳宏、桜井(直人)、飯尾(一慶)、平本(一樹)。このあたりは選手がいっぱいいるんだけど、そのほかのボランチとセンターバックに人がいない。だからそこが崩れた時は厳しい。
宮澤:安定感があって点が取れるとは思わねえしな。「いいよ、いいよ」って言いながらも点が取れるかっていうと、また別の問題だから。
金子:トゥットはレッズに行ったけど、フロンターレの頃は正直言って「頼りにならん」ってイメージだったんだけど。
中西:みんな信じられないと思うけど、トゥットはあまりうまくないですから、シュート。
金子:レッズのファンはかなり期待してると思うんだけど、どう?
中西:いやぁすごくいい選手で・・・・・・。
金子:おい、今言ってたことと違うじゃないか。
(会場:爆笑)
中西:人間的には素晴らしいヤツなんだけど、決定力のない選手なんです。練習を見てもらうとわかるんですけど、シュートはボコボコ外してますからね。だからチャンスがたくさんあればね、あとはアマラオみたいな選手が近くにいれば生きるし。それに速さはあるから止められないしね。要するにチャンスメーカーなんです。去年はちょっと点が取れ過ぎた。だから近くに来る選手なんですよ、問題は。
金子:小野伸二(浦和レッズ)ではない?
中西:伸二がトゥットの良さを引き出せればいいと思うけどね。ただ伸二もケガが多いじゃないですか。開幕直前の今までほとんど一緒にやってないから、そういう意味では未知数。それに後ろは不安。
宮澤:井原(正巳・浦和レッズ)がいても?
中西:いや、井原さんは大丈夫ですよ。井原さんは3バックの選手じゃないんで、4バックだったらいいと思います。そう考えると、井原さんが今年復活する可能性は十二分にありますよ。
宮澤:レッズは去年後ろが落ち着かなかったから、どんな状況でも「今はこうなんだ」と言ってくれるベテランがいるとな。例え間違ってても、井原が言うと、合ってるように思えるじゃない。それが大事なの。何も指示が出ないラインほど雑なラインはないの。寄せちゃいけない場面かもしれないけど、「寄せろ!」って指示を出してOKになることってあるもんね。いっつもレッズのディフェンスが崩れていくのはそういう所だからね。ザッペッラ(元浦和レッズ)行っちゃった~、帰って来ないとかさ。
(会場:爆笑)
宮澤:「凄いんですよ、強いヤツが入って来たんですよ」って路木(龍次・浦和レッズ)がさんざん言うから見たら、「うわ~、またダメだよ」って思った。
金子:J2から上がって来たチームは初戦が大事じゃない? 去年、FC東京とフロンターレ、一番明暗を分けたの開幕戦じゃない。FC東京はF・マリノス食ったでしょう。あれでやれるんだと自信が持てた。やれるのかやれないのか不安だったでしょう? やれるとは思っていても、でも違ったらどうしようというのはあったでしょう?
中西:でも俺、不安とか思う以前に開幕戦の前からAチームに一度も入ったことなかったし。
金子:最初から上にいたチームより、下から上がったチームの方が簡単に負けを受け入れちゃいますもんね。
宮澤:そうだなぁ。レッズは小野伸二がチームを背負うんじゃなくて、駒になって働いて欲しいんだよ。
中西:キャプテンなんてやんなきゃいいのに。
宮澤:そう。キャプテンやらないでひとつの駒として動いた時に、彼の凄さって絶対出て来ると思うんだよ。高校から上がって来た時に何試合か観たけど、やっぱり凄いよ。
金子:モノが違いますよね。
宮澤:チームを背負ってJ2でやっててさ、ペトロビッチ(元浦和レッズ)が一回怒ってきたことがあるの、札幌で試合の前に。「あいつ何歳だと思う? あの歳で自分がパス出した後にゆっくり自分のパス見てんだよ!」って。
金子:晩年のマラドーナになっちゃってるんですね。
宮澤:それじゃダメなんだよ。伸二は駒になって動いたら凄いんだから。今年はやって欲しいな。
金子:確かに。日本のミッドフィールドであのポジションやってる選手で、彼が一番の才能の持ち主だということに関しては、たぶん3人とも意見は一致すると思うのですが、このままいくと彼は2002年ワールドカップには出場できないですよね。
中西:厳しい。
金子:その状況を果たして彼がどれだけわかっているか。危機感を持ってやって欲しいですよね。
中西:本人も言ってましたよ。ただ、本人が危機感を持っていても、まわりが彼をキャプテンにして小野伸二のチームだってことにすると、そういう現象が起きちゃうじゃないですか。僕は海外に行って欲しいし、ひとりでどこまでやれるかとか、逞しさも身につければ伸二は絶対ひと皮むけると思う。今はチームのことを背負わされ過ぎ。かわいそう。
宮澤:レッズに入って最初の試合が終わった後、原監督(前浦和レッズ監督)がプレス用のインタビューを受けて、続いて小野選手のインタビューってひとりでプレスに囲まれてさ。そういうことを10代の選手にやらせちゃダメだと思うな俺は。海外ではちゃんとフォローがあるじゃないですか。
中西:あるある。この間、某雑誌で小野伸二のインタビューしたいなと思って連絡入れてもらったら、半年先まで埋まっててできませんって言われた。チームの精神的支柱と言われる前にサッカーに専念して、パスのスピードを上げるとかそういうことをやって欲しいんだけど。
金子:その場にいた訳じゃないからわからないけれど、願わくば小野伸二が危機感を口にしたという事実じゃなくて、テツが話を聞いていて、伸二からその危機感がひしひしと感じ取れたのであればいいと思うのね。本当に危機感を持ってたら言えないはずだよ。たぶん本人も危機感を持たなきゃとは思ってると思うのね。でもその程度じゃいけないでしょう。周囲の人間としては、このままじゃ2002年はないよと、いろんなメディアで伝えていかなくちゃいけないよね。
宮澤:小野はいいものを持ってますからね。

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構成・文:CREW
撮影:星野洋介