チケットのことならチケットぴあチケットぴあ

こんにちは、ゲストさん。会員登録はこちら



9月12日(日)にお台場で行われたジェフ・トークバトルの模様を完全レポート。 


ぴあPresents
ジェフユナイテッド市原 トークバトル

Supported by 君津住宅

前編

<ホスト>
中西 哲生(なかにし てつお)
'69年、愛知県生まれ。同志社大から名古屋グランパス入り。'97年に川崎フロンターレへ移籍し、'00年には主将としてチームをJ1昇格に導いた。Jリーグ通算95試合7得点。現在はスポーツジャーナリストとして「ズームイン!!SUPER」(日本テレビ系)、「Get Sports」(テレビ朝日系)などに出演中。

<ゲスト>
茶野 隆行(ちゃの たかゆき)
'76年、千葉県生まれ。市立船橋高3年時には高校選手権優勝を経験し、'95年ジェフ市原入りしてJリーグデビュー。ルーキーイヤーからコンスタントに試合に出場する、ジェフ不動のセンターバック。'04年には初めて日本代表に選出され、4月のハンガリー戦で初出場を果たした。

阿部 勇樹(あべ ゆうき)
'81年、千葉県生まれ。ジェフ市原ユース時代の'98年、16歳333日というJリーグ史上最年少記録(当時)でデビューを果たす。ジェフではキャプテンマークを巻き、'04年には五輪代表としてアテネオリンピック3試合にフル出場。イタリア戦では得意の右足でフリーキックを決めた。

中西:「ぴあPresents ジェフユナイテッド市原 トークバトル Supported by 君津住宅」。このイベントは、株式会社君津住宅の協賛でお送りいたします。お待たせいたしました。本日の出演者、プレーヤーの皆さんをご紹介いたします。皆さん、盛大な拍手でお迎えください。茶野選手、そして阿部選手です。
会場:拍手
中西:阿部さん、阿部さん、マイクを使ってしゃべってくださいね。恥ずかしいですか。
阿部:はい。
中西:しゃべるの苦手だって。普段はトークショーはやらないですか。
阿部:ないです。
中西:茶野さんは。
茶野:初めてです。
中西:本当ですか。 阿部さんは。
阿部:初めてです。
中西:トークショーが。
阿部:はい。
中西:それは貴重ですね。どうですか、こうして人を前にして話すのは。
茶野:緊張しますよね、やっぱりね。
中西:でも、徐々に慣れますから。今回まずは11の質問を考えてきましたのでそれに答えていただいた後で話を伺います。一応、「yes 」と「no」の札がありますので。それではさっそくいきましょう。質問1 「オシム監督就任後、チームは変わった」。茶野選手「yes 」。阿部さん、何で下を向くんですか。「yes 」ですね。質問2 「オシム監督は、ハッキリ言って怖い」。茶野選手は「no」。阿部選手は…どっちですか。茶野さんの答えを見ないで、自分の気持ちを素直に出しましょうよ。じゃあ、「yes 」。まあ、話は後ほど聞きましょう。質問3 「練習量はどこにも負けない」。茶野選手は早いですね、「yes 」。阿部選手も、「yes 」ですね。質問4 「毎週土曜日に試合があるのに、水曜日に練習試合をするのはキツい」。阿部さん「no」。茶野さんどうですか、「yes 」。いいね、息が合わなくて。質問5 「昨年、優勝争いに加わっていることが信じられなかった」。ふたりとも「no」。質問6 「昨年の1st ステージ3 位、2nd ステージ2 位という結果は上出来だ」。茶野さん「no」。阿部さんは「no」と「yes 」の札を重ねて出してますけど、それは「no」? 微妙な表現ですね。質問7 「今年の1st ステージは7 位だったが、相手チームのマークもきつくなっている」。おふたりとも「no」ですか。質問8 「日本代表、五輪代表での経験はジェフで生きている」。何で考えてるんですか。ふたりとも「yes 」。質問9 「チームは着実に成長している」。初めて早く「yes 」の札を挙げたね。質問10「自分自身は着実に成長している」。考えるな、考えるな、もう。ふたりとも「yes 」。質問11「2nd ステージの優勝はいただく」。ちょっと、ちょっと。考えるな、考えるな。ふたりとも「yes 」。以上、11の質問でした。
会場:笑い
中西:何ですぐに札を挙げないの。
阿部:ちょっと迷います。

質問阿部氏茶野氏
1:オシム監督就任後、チームは変わった。yesyes
2:オシム監督は、ハッキリ言って怖い。yesno
3:練習量はどこにも負けない。yesyes
4:毎週土曜日に試合があるのに、水曜日に練習試合をするのはキツい。noyes
5:昨年、優勝争いに加わっていることが信じられなかった。nono
6:昨年の1st ステージ3 位、2nd ステージ2 位という結果は上出来だ。nono
7:今年の2st ステージは7 位。相手チームのマークもきつくなっている。nono
8:(日本代表/五輪代表)での経験は、ジェフで生きている。yesyes
9:チームは着実に成長している。yesyes
10:自分自身は着実に成長している。yesyes
11:2ndステージの優勝はいただく。yesyes

中西:最初の質問1 「オシム監督就任後、チームは変わった」。これは迷ってなかったよね、ふたりとも。
茶野:はい。
中西:茶野さんどうですか。監督が変わったから変わるに決まってるんだけど。いい方向に変わったってことですよね、これ。
茶野:まあ、皆さんが見る限り変わってると。
中西:自分たちでやっていてどうですか。
茶野:そうですね。まあでも、練習量とかすごく多いんで。今まで僕、10年いるんですけど、一番しんどい。
中西:まあ、その話は後ほどあるんですけど。最初に監督を見たときどうでしたか。一番最初。こう来た瞬間。あの顔とあの体の、がたいの大きさ。
茶野:韓国キャンプだったんですよ、初対面が。デカさにやっぱりびっくりしました。
中西:デカいですよね。さっき、デカいからビビるって話がありましたけど、大きいですよね、本当に。
茶野:ちょっと猫背で、やたらデカい。
中西:阿部さんは最初の印象はどうでしたか。オシム監督の第一印象。
阿部:韓国遠征で。
中西:どうでしたか。
阿部:……。
中西:大丈夫ですか。今、違う方向にちょっと行ってた気がするんですけど。
阿部:いや。怖い監督だというのを、ミリノビッチ(ゼリコ、ジェフユナイテッド市原)選手から聞いてたんで。
中西:ミリノビッチ選手はスロベニア代表にもなってました。何て言ってましたか。
茶野:あんまり聞いてないです。
中西:聞くの止めたんですか。
茶野:怖いので。
中西:あ、変なイメージを植えつけるよりも、自分が見た通りに感じようと。
茶野:そのまんまを。
中西:で、どうでしたか。
茶野:見たまんまでした。
中西:まあ、ちょっと怖そうな感じだったんですか。
茶野:威圧感がありましたね。
中西:それは阿部さんも同じですか。威圧感があったんですか、やっぱり。
阿部:はい。潰されそうでした。
中西:どうやって潰されるんですか。
阿部:威圧感に。
中西:話した感じはどうでしたか。指示とか出るじゃないですか、パッパッパッていきなり。例えばこういう練習やるよとか。
茶野:最初はですね、スタッフと監督がかみ合わなさ過ぎて。
中西:そうなんですか。
茶野:かみ合ってなかったんです。
中西:どうしてかみ合ってなかったんですか。
茶野:練習のメニューとか、監督がやりたいことを優先するんですよ。前もって決めてることを急に変えるんです。スタッフが練習メニュー通りコートを作ったりした後に。
中西:サッカーの練習をやるときは、10時から練習だったらまあ、選手は9 時前に来ると思うんですけど、監督とかコーチはだいたい8 時ぐらいに来て、その日にやる練習メニューを決めるわけです。監督とコーチがミーティングをして、「じゃあ、最初はこういう練習をするから、こういうコーンの並び方」とかね。どこに並べるのかっていうのはミーティングをしていて、ほとんど決まってるんですよね。
茶野:決まってるんですけど。
中西:それを変えるんですか、監督本人の意思で。
茶野:ちょっとイメージと違ったんじゃないですか。自分のやりたいイメージと。
中西:なるほど。それで、コーチも大変だったんでしょうね。
茶野:コーチも結構、メラメラ、メラメラしてて。
中西:江尻(篤彦、コーチ)さんとか。
茶野:はい。小倉(勉、コーチ)さんとか。結構イライラして。
中西:最初はでも、そうですよね。新しい監督が来ると、特に海外から来ると、その監督のイメージとのギャップに、選手が戸惑う前にスタッフが戸惑う。
茶野:スタッフが一番戸惑ってました。
中西:結構それで、そのまま空中分解してチームが終わっちゃうこともありますからね。ギャップが埋まりきらずに。僕のいた某チームもそうでしたけど。最初の印象から、コーチも選手寄りみたいな。そういうことありましたね、本当に。それが最初はあったと。
茶野:そうですね。最初の数カ月は。
中西:それは阿部さんから見てても思いましたか。
阿部:はい。
中西:見ていてどうでしたか。
阿部:コーチ陣はわかんないですけど、最初は監督が選手と話すことはあまりなかったんですよ。今はすごいしゃべったりしますし、似合わないジョークを言ったりしますし。
中西:でも、ジョークはよく言うじゃないですか。最初は全然。
阿部:グラウンドに来るもそんなに早くないですからね。
中西:グラウンドに来るの、遅いんですか。
阿部:あ、いや。そんなことはない。
中西:それは事実だからいいんじゃないですか。みんな見てるし、ファンだって見てるし、僕も知ってるし。どれぐらいで来るんですか。
茶野:時間通りにあんまり来ないですね。練習時間通りには。
中西:例えば10時スタートだと。
茶野:10時過ぎてますね。クラブハウスには来てるんですけど、グラウンドに出るのは、のんびりしてます。
中西:10時と言っても10時からじゃないんだ。
茶野:いつも待ちくたびれて、選手はチョロチョロチョロチョロ遊んでる。
中西:いつもボール回ししてますよね。僕もいつもジェフの練習を見に行くと、「練習2時からって言ったのになあ」って思いながら。2時10分ぐらいになっても、「あれ、まだ出てこないな」って。
茶野:だからウォーミングアップとかはいらないです。
中西:でも、ウォーミングアップやってるじゃないですか。
茶野:あのボール回しで十分です。それにプラスα、ウォーミングアップするんで、逆に疲れちゃうんですよ。
中西:その時点ですでに疲れちゃう。
茶野:汗だくになってるんです。
中西:監督が来るの遅いし、そこまでは話す機会がない。
阿部:でも話したいじゃないですか、監督と。
中西:話したいの。
阿部:僕は話せないですけど、通訳。
中西:当たり前じゃないですか。直接は話せないけど、通訳を介して。会話したいですか、やっぱり。
阿部:そうですね、何を考えてるのかなとか。去年とかやっぱり、上の選手とか結構いて、「言いに行け」って。
中西:どういうことですか。
阿部:「休みをください」とか。会話のきっかけがほしかったんですけど。
中西:それは茶野さんとかが仕向けてたんですか。
茶野:俺が?
中西:「お前、行けよ」、「行ってきてくれよ」みたいな。
茶野:あ~でも、たまにあるかな。
中西:誰が言いに行けって言うんですか。上の人、限られてますけど。しかも、フィールドプレーヤーだとより限られてますけど。僕の後輩、斎藤大輔(ジェフユナイテッド市原)君とか。
茶野:えっ、そうだったんですか。
中西:大輔君は愛知FCの後輩ですから。中学校、高校と隣で練習してるんですよ。一つのグラウンドで練習してて、ハーフコートで中学生、もう半分で高校生が練習してて。ずっと僕は知ってます、大輔君のこと。
茶野:全然知らなかったです。
中西:だってプレースタイル似てるでしょ、俺と。ガツガツしてて。
茶野:当たり屋みたいな。
中西:そうそう。テクニックより、とりあえず削っとけよみたいな。
茶野:似てますね。
中西:だから同じチームにテクニックのある選手いっぱいいたんですけど、Jリーガーになれたのはそういうタイプ。
茶野:残れるのはそういう選手。
中西:そうそう、たくましい人しか残れないので。大輔君はどうですか。
茶野:……いやあ、いい先輩ですよ。
中西:一瞬今、溜めましたね。
茶野:そんなことないですよ。本当にいい先輩ですよ。
中西:頼もしくないですか、彼がいると。ガツガツ行ってくれるから。
茶野:そうですね。見た目がすごいんでね。
中西:いくつ違うんですか、大輔君と。
茶野:2歳ぐらいですかね。
中西:重良(望月)君の方が上ですか。
茶野:重さんが上ですね。
中西:監督に言ってこいって言うのは、もしかして重良君のことですか。
茶野:……
中西:重良君が言ってましたか。
茶野:遠くの方から何か聞こえる。
阿部:たまに。
中西:ちょっと最近、試合に出てませんからね。落ち込み気味ですからね。
茶野:うーん。
中西:何でコメントしないんですか。別に言っても平気ですよ。僕、仲がいいんで。
茶野:重さんですか。
中西:はい。名古屋グランパスのときに、毎日家まで迎えに行ってたんですよ、僕。しかも、練習場と彼の家とは逆方向。僕、逆方向に迎えに行って。朝、重良君と西ヶ谷(隆之、現東京ヴェルディ1969ユースコーチ)君と、大岩剛(鹿島アントラーズ)君と、平野孝(東京ヴェルディ1969)君と、4人で朝飯を食べてたんですけど、重良君は「哲生、迎えに来て」って毎日。でも最近、落ち込み気味だったんで。この間話したら、元気なかった。元気になりましたかね。
茶野:元気ですよ。でもケガがね、ちょっと大変ですけど。
中西:ケガしてるからね。大変だよね。でも、重良君も言ってたんですけどオシム監督は「やっぱりいい監督だ」ってすごく言うんですよ。ベンゲル(アーセン、イングランド・アーセナル監督)に共通するところがあるって重良君は言ってました。僕も2 回ぐらい、監督と話したことがあるんですよ、練習場で。そしたら、ベンゲルを知ってるし、ストイコビッチ(ドラガン、セルビア・モンテネグロサッカー協会会長)も知ってるし。ベンゲルのことを話してくれたりして。尊敬してるみたいなんですよ、歳下なんですけど。で、すごくいい監督だと思うんですけど、茶野さんが感じる、オシム監督の良さはどういうところですか。たくさん練習すること以外。
茶野:監督はアイデアが豊富ですね。
中西:どういうところのアイデアですか。練習内容とか、そういうことですか。
茶野:内容もそうですし、一つのプレーでも、パスにしても、ボールを持っていない人の動きとか、そういう細かいことを。
中西:ディフェンスに関しても言う。
茶野:ディフェンスでもよく。
中西:「そんなことまで気にしなきゃいけないの」と思うようなことはありますか。自分が言われたり、他の人が言われてたこととかで。
茶野:今まで僕は、攻撃参加っていうのはあまりなかったんですけど、オシム監督になってから。
中西:行ってますよね、最近。
茶野:ちょっと、きついんですけど。
中西:行くと帰ってこないといけないからね。でも、行きますよね。
茶野:それなんで、結構体力もついたし、パスの精度とかもすごく言われますし。
中西:例えばどういう風に言われるんですか。
茶野:センタリングとかでも。
中西:クロスを上げるタイプの選手じゃないじゃないですか。
茶野:意外とそういうのが要求されるんですよ。サイドを上がると。
中西:上がって、右からクロス上げて。左からも上がりますよね。
茶野:上がりますけど、そういう部分。
中西:ディフェンスにも求めてくるんだ。
茶野:そうですね。ひとりがボールを持ってると、その後ろを回れとか。オーバーラップしろとか、そういうことをすごく言われます。
中西:そうですか。ディフェンスの人には言わないですよ、普通は。
茶野:言わない。
中西:ね。ディフェンスの人はディフェンスのことやってて、攻めのところである程度クロスの精度が悪くても「まあ、それはディフェンダーだからね」みたいな。ダメでもしょうがないっていうのがあるよね。
茶野:はい。
中西:それがない。
茶野:妥協しないです。
中西:妥協しない。茶野さんはいつも怒られてますか、阿部さん。
阿部:茶野さんは怒られてないです。
中西:誰が怒られてるんですか、じゃあ。
阿部:僕です。
中西:怒られてるんですか。何を言われますか。やっぱり細かいんですか。
阿部:はい。去年よりも上の選手が少なくなって、例えばミスしたりとかすると、言ってくれる人があんまりいないんです。
中西:言ってくれるって何をですか。
阿部:「ミスすんな」だとか。
中西:チーム内で。「集中しろよ」とか。
阿部:オシム監督はそういうことを言ってくれる監督なので。
中西:「ミスしたらダメだ」とか「集中しろ」とか。
阿部:そういうのがなかったから。
中西:今まで。
阿部:今までとかじゃなくて、去年とか。それはうれしかったなって思って。
中西:うれしかったって、どういう。
阿部:逆に言ってくれる人がいた方が、直す余地がありますし。だからもっと大輔さんもそうだし茶野さんもそうだし。あと坂本(將貴)さん。
茶野:おまけみたい、今の。
中西:おまけみたいになってましたね、坂本さんが。
阿部:言ってほしいですね。
中西:茶野さんから見て、阿部さんがオシム監督になって言われてるところで、「こんなこと言われてるんだ」というのはありますか。客観的に見て。
茶野:記憶にないですね。
中西:他には何かないですか。フリーキックのときにどうしろとか、チェンジサイドのボールはどういうふうに蹴るかとか。技術的な部分とか。
阿部:とりあえず「走れ」と。
中西:「はしれ」。
阿部:その三文字で、言われます。
中西:「はしれ」って言うの。日本語で。
阿部:はい、日本語です。
中西:僕がオシムさんと話してて一番いいなと思ったのは、「サッカーは2 つのことを同時にしないといけない。ただ走るだけじゃダメだ。走りながら何かをしなきゃいけない」ということを言ってたんですね。「チェスだったら、チェスのことだけ考えればいいけど、サッカーの場合は、走りながら次のことを考えないといけないから、走ることが普通じゃなければ、他のことは考えられない。2つのことを、走りながらどうするかってことができるから大事だ」と。
茶野:「賢くやれ」とはよく言われます。どう賢くやればいいのかわからないときがあるんでけどね、たまに。
中西:意図することがきっとあるんでしょうね。
茶野:自分のプレーでどう賢くしたらいいのか。よくわかんないで返事しちゃったりすることもあるんですけど。
中西:でも、そういうこと言っても怒んないと思いますよ。分からなかったら分からないって言った方がいいですよ、絶対。でも、阿部さんはチームが変わったと思いますか。
茶野:変わりましたね。
中西:どういうところが変わりましたか、前と比べて。
茶野:キャプテンになってから、責任感がやっぱり。チームに対しても。
中西:阿部さん、責任感がつきましたか、キャプテンになって。
茶野:自分では自覚してないかもしれないけど。
中西:責任感というか、キャプテンになって変わりましたか。自分で引っ張っていかなきゃいけないとか。
阿部:それは多少、変わりました。
中西:でも、小学校のときとか中学校のときとか、キャプテンじゃなかったんですか。
阿部:じゃなかった。
中西:ジェフユースのとき、キャプテンじゃないですか。
阿部:じゃないです。
中西:そう言えば、ふたりとも同じ中学校なんだよね。歳は離れてるけど。
茶野:偶然にも。
中西:でも阿部選手はトップの試合に出るのが早かったですよね。
茶野:そう。
中西:史上最年少で。
茶野:高校…
中西:高校2 年生のときじゃないですか。出てきたとき、「何だコイツ」って思いましたね。本当にあり得ないですよ。
茶野:考えられないですよ。
中西:市立船橋高校の2年生のとき、ジェフの試合、出られないですよね。
茶野:無理です。
中西:でも、市船の練習の方がきついんじゃないですか。
茶野:確かにプロに最初に入ったときは「何だコレ」と思ったんですよ。「楽勝」って。
中西:おお。
茶野:まあ段々、レベルが高くなって。体力には自信があったんですけど。よく、高校時代に走ってたので。だから最初、清雲(栄純、大宮アルディージャ・ゼネラルマネージャー、元ジェフユナイテッド市原監督)さんだったんですけど、監督が。ミニゲームとかしかやってないんですよ。
中西:練習で。走りとかないんですか。
茶野:走りとかあんまりない。「全然いけるな」と思って。
中西:「これは大丈夫だな」って。
茶野:「大丈夫だな」って思ったら、案の定、壁にぶつかって。ちょっと痛い目に遭いました。
中西:遭いましたか。阿部さんは自分で高校生のときにトップチームに入って、どうなんですか、自分でやってて。大丈夫だったんですか。
阿部:先輩方が怖かったです。
中西:茶野さんが。
阿部:いや。僕、制服で移動とかしてたんですけど。だいたい茶野さんの後をくっついて行ってました。
中西:本当ですか。
茶野:まあ、一緒に行動してましたね。
中西:誰が怖かったんですか。もう今、いないでしょ。
阿部:もういないですけど。
中西:でも試合に出てたじゃないですか。そのときはオドオドしながらやってたの。
阿部:出る前が、けっこう。練習参加した時も。
中西:最初に試合に出るとき、どうでしたか。「出るの?」みたいな感じですか。普通、あり得ないじゃないですか。
阿部:それがガンバ大阪との延長戦だったんです、出たのが。そのときにアーノルド・スコルテンという選手がいたんですけど。
中西:はい。細くて髪の短いオランダ人選手。
阿部:その選手と交代して出たので。
中西:ディフェンスだったでしょ。ボランチか。
阿部:たぶんボランチだったんですけど、その直後に決められてしまったんです、V ゴールを。たぶん僕、関係してたんで。
中西:関係してましたか、客観的に見て。
茶野:してたかなあ。
阿部:覚えてないでしょ、絶対。
中西:ちょっとミスしちゃったとかあったんですか。
阿部:マークが重なってて。播戸(竜二、ヴィッセル神戸)選手に決められちゃって。
中西:Vゴール。で、どうだったんですか。
阿部:泣きました。
茶野:これが高校生ですよ。
中西:間違いない、間違いない。高校生、泣くよね。Jリーグの試合に出て。
茶野:泣いちゃいます。
中西:それで「やっぱりプロは厳しいな」って思いましたか。
阿部:そうですね、はい。
中西:スタメンで初めて試合に出たときはどうだったんですか。スタメンのときの方が緊張するでしょ。途中からだったらもう、「えいっ」って感じ。
茶野:まあ、何とかなるかなって。
中西:なるよね。スタメンで出たときはどうだったんですか、高校生で。
阿部:チャンスをもらえたので、とりあえずミスをなるべくしないようにやれたらなって思ってたんですけど。
中西:普通に考えたらあり得ないじゃないですか、高校生で。ミスしないでやれたらなんて思わないですよね。で、高校生で出てる頃があって、オシム監督に出会って、キャプテンになって変わったという。阿部さん自身は自分で変わったなというのはありますか。
阿部:ちょこっと変わったかな。
中西:具体的にはどこが。
阿部:試合中、あんまりしゃべんなかった方なんですけど。
中西:黙々とやってましたよね、結構ね。
阿部:指示してるわけじゃないですし。そういうのがあったんですけど、それがちょっとずつしゃべるようになってきたかなと思います。
中西:試合中、自分で声を出すことはあり得なかったんですか。でもグラウンドから離れたら、よくしゃべるじゃないですか。
茶野:一番うるさいかもしれないです。
中西:でしょ。だって、僕がインタビューしたときとか、しゃべってくれるもん。何でここに来て、こんなにしゃべらないんですか。
阿部:いや、人がいっぱいいるから。
中西:ものすっごい伏目がちなんですけど。普段、何を話してるんですか。いつも一緒にいるでしょ。
茶野:あんまりね。
中西:仲悪いんですか、ぶっちゃけ。
茶野:仲悪いっすよ。
中西:阿部さんはいつも誰といるんですか。
阿部:えーと、背番号2 番と4 番。
中西:茶野さん4 番じゃん。
茶野:4 番だ。
中西:坂本さんはおもしろそうですね。この間僕、初めて話をしたんですけど。僕、毎朝「ズームイン!! SUPER」(日本テレビ系)という番組をやってるんですけど、その番組の司会の大桃美代子さん、羽鳥慎一アナの隣にいる女の人なんですけど。坂本さんは彼女の親戚なんですよ、いとこなんですよ。本当ですよ。トリビア78ぐらい。
会場:笑い
中西:そうなんですよ。大桃美代子氏が僕に、3 年前かな。「哲ちゃんさあ」、僕のこと「哲ちゃん」って呼ぶんですけど、「哲ちゃん、坂本君って知ってる?」って。「ああ知ってるよ、ジェフの」。まだ、あんまり試合に出てないときなんですけど、3年くらい前なんで。「私、いとこなんだよね。将来性あるかなあ」って聞かれて。「今まだあんまり試合に出てないね。でもまだ若いから、わかんないんじゃないの」って話をしてて。この間、坂本選手に「どうもはじめまして」と挨拶して、「大桃さんのいとこなんですってね」と言ったら、「ああ、美代子ね」って。呼び捨てだよ。子どもの頃、よく遊んでたらしいですけど。そういう話を聞いて、この人ファンキーな人だって思って。普段はどうですか。
茶野:顔と声が…ギャップがあり過ぎて。
中西:何か高いですよね。
茶野:響くんですよね。
中西:何か一つ高音域に行っちゃってますよね。
茶野:たまに耳障りなときがある。
中西:9 月11日のヴェルディ戦はへこんだでしょうね。坂本選手、レッドカードで。若干かわいそうでしたけど。あれね、僕、思ったんだけど、触ってないでしょ。
茶野:触ってないです。
中西:ね。あれ、触ってないですよね。長年、桜井直人(東京ヴェルディ1969)君の倒れ方を見てるけど、触ってることってあまりないんで。でも本当に倒れるのうまいよね。
茶野:うまい。
中西:実際、ドリブルもうまいし。まあ、見てる角度によってはしょうがないかなとは思うけど。でも如何せん、89試合続けて出てただけに。ちょっと痛いよね。
茶野:あの日、ドーピングだったんですよ、僕と一緒に。
中西:ドーピングは、皆さん、ご存じかもしれないですけど、ハーフタイムにふたり。
茶野:くじ引きみたいに。
中西:僕のときは箱に番号が付いた球が入っていて、それを引くんです。無作為のふたりを、試合が終わった後に、そのままドーピング室に連れていかれる。で、坂本選手はそこに連れていかれて。退場したのに。どうでしたか。
茶野:すっごい落ち込んで。やたらテンションが低いのか高いのかよくわかんない。
中西:どんな感じなんですか。
茶野:最初は点決めて、すっごい大喜びして。
中西:2 点目、いいシュートでしたよね。
茶野:で、3~4分後に。
中西:まさに天国から地獄、奈落の底に。一発だもんね。
茶野:僕も経験ありますけど。
中西:もう、かなり落ち込んでましたか。
茶野:落ち込んでました。いろんな人に嫌がらせメールを打ってましたよ。
中西:選手に。
茶野:選手とか友だちとか、みんな来てたみたいです。
中西:「なんであれがレッドなんだよ」って言ってましたか。
茶野:もう開き直ってました。「しゃーねーか」みたいな。
中西:と言いつつも、でも。
茶野:「もうちょっと100 試合だったのに」。
中西:そうでしょ。連続出場で100 試合なんてないもんね。すごい記録だったのにね。だって、イエローカードもほとんどもらわないでしょ、あの人は。
茶野:累積ないですね。
中西:それがいきなりレッドだったら、へこんでると思いますよ。
茶野:僕みたいにね、何枚も何枚ももらってたら。
中西:茶野さん結構もらいますよね。イエロー2 枚で退場とか。何回ぐらいあるんですか、今まで。3 回くらいですか。
茶野:いや、そんなにないです。
中西:2 回ですか。僕、国立競技場かどこかで1回見たことが。
茶野:国立はないです。市原で1 回と山形で1 回。
中西:どっちが一発ですか。
茶野:一発はないかな。
中西:そうなんですか。阿部さんは坂本さんとは、試合の後一緒じゃなかったですか。
阿部:一緒でした。
中西:どうでしたか。
阿部:えーと。たぶん、退場したことじゃないんですけど、出場記録がダメになってしまったので、それで落ち込んでました。
中西:何て言ってましたか。
阿部:「あれはファウルじゃねえよ」って。「たぶん俺が行かなかったら、お前が退場だよ」って。
中西:一緒にスライディングしてきたの、阿部君?
阿部:中西さんの後輩です。
中西:あ、大輔君。両方から来てたもんね。
茶野:挟みうち。挟みうち好きだもんね。
中西:僕も大好き。それしかやることないんだもん。ペナルティエリアの中ではあんまりしないけど。イエローもらうのイヤなんで。あと、PKになるのイヤなんで。で、かなりディープに落ち込んでましたか。
阿部:そうですね。でも、声の高さとかは変わってないです。
中西:普段は、一緒に買物に行ったりとかするんですか。
阿部:いや、行きますね。
中西:「いや」じゃないでしょ。「はい」でしょ。
阿部:はい、行きます。
中西:どういうところで買物するの。
阿部:えーと。
中西:阿部さん、ものすごい茶野さんのこと見てました。3 人で買物に行きますか。
茶野:最近は行ってないです。
中西:それはトリオとして息が合わなくなったんですか。
茶野:時間がない。
中西:あ、行けないですもんね、練習が。今日も練習してきたんですよね。昨日、ナイターやってて、朝も練習。何時からですか。
茶野:10時から。
中西:10時から練習。今日は何をやったんですか。
茶野:軽くランニングして。
中西:それで終わりですか。で、ふたりで「これからトークバトルだよ。貴重な時間を」って、話してたんですか。
阿部:笑い
茶野:それは言ってないです。
中西:「2 時間、なげーよねー」。「2 時間、何話すんだろう」って思ってたでしょ。
阿部:いや、お昼ご飯どこで食べようかなって。
茶野:そう。お昼ご飯にちょっとパニくったんです。
中西:時間が時間だったんで。
茶野:はい。
中西:お台場で食べるか、市原で食べるか。けっこうありますよね。市原からお台場まで、距離が。今日も「お台場かよ」って言ってませんでしたか。
茶野:言ってないです。
中西:でも、なんで2 台で来るんですか、思ったんですけど。ふたりで1 台で来ればいいのに。そこまで仲良しじゃないんですか。でも、車は同じでした。
茶野:はい。
中西:車が一緒なのは狙ってるんですか。
茶野:こいつが真似したんです。
中西:じゃあ、先に茶野さんが買ったんですか。
茶野:そうですね。
中西:で、色だけ変えようって。
茶野:はい。オセロみたいに。
中西:まさかと思いますけど、坂本さんも一緒じゃないですよね。
茶野:違うんですけど、危うく同じになる可能性はありました。
中西:じゃあ、惜しかったんですね。
茶野:危なかったですよ。
中西:3 人が同じ車だったら、ちょっと気持ち悪い。どうなのかなと思っちゃいますよね。じゃあ、時間があるときには坂本選手と一緒に買物に行ってますか。でも、着てる服の系統とか違うじゃないですか。普段、何を着てるんですか。
茶野:普段着はジャージですよ。
中西:いやいや、普段着って私服、私服。
茶野:あ、私服。
中西:ベイプとかですか。
茶野:あーベイプは好きですね。
中西:あと、裏原系ですか。
茶野:哲生さんみたいな。
中西:僕、裏原系ですか。
茶野:インテリ系みたいな。
中西:インテリ系かどうかはわからないですけど、僕はソフとか。
茶野:きれい系。
中西:あ、きれい系。僕はあとセオリーとか。
茶野:渋い。
中西:渋くはないでしょ、別に。だって仕事着ですから。ジャージみたいなもんですよ。それはしょうがないんですけど。阿部さんだってソフとかでしょ。
阿部:服のブランドとかあんまり知らない。
中西:だって、バーバリー着てるじゃないですか。
阿部:そういうのしかわかんない。裏原系って言ったけど、それが何のことだかさっぱりわかんない。
中西:うそー。
茶野:作ってますよ、これ。
阿部:本当に知らない。
中西:でも着てるじゃん、そういう服。ソフ、着てるでしょ。
阿部:ソフ、持ってないですね。
中西:持ってないの。着てないか。でも雑誌とか出てるじゃない、着て。ファッション誌とか出てますよね。
阿部:向こうで用意してくれるんで。
中西:普段、どういう恰好してるんですか、ジャージじゃなくて。
茶野:私服もこんな感じですよ。
中西:バーバリーブラックレーベル。あれ、そうだよね。何ですか、普段。
茶野:いろんな恰好しますよ。
中西:ちょっと気になってるんですけど、茶野さんの指輪と阿部さんのしてるネックレスってお揃いなんですか。
阿部:違います。
茶野:違います。
中西:微妙に違いますか。阿部さんは時計とか好きじゃないですか。
阿部:あー好きですね。
中西:時計はどこで買うんですか。東京ですか。
阿部:東京1 回、千葉2 回。
中西:3 個は持ってるってことですね。
阿部:そのぐらいです。

後編へつづく

取材・文:CREW
撮影:フレンダー田中